【2021年】の年末調整の変更点は?令和3年の改正ポイントを解説

【2021年】の年末調整の変更点は?令和3年の改正ポイントを解説

年末に向けて重要な経理業務のひとつに「年末調整」があります。全ての従業員に対して対応が必要になり、それぞれのケースに応じた処理が求められるため、負担が大きい企業も多いでしょう。

年末調整とは、年間の収支が確定した後に正確な税額を計算し、源泉徴収額との過不足を清算する手続きを指します。社員は毎年申告書を提出し、企業は提出された資料を元に差額を計算します。2021年は押印義務の廃止など、ポイントとなる見直しもあります。そこで今回は、2021年の年末調整手続きの変更点を中心にご紹介します。年末業務が本格化する前に、ぜひ理解しておきましょう。

2021年(令和3年)の年末調整手続き変更点

2020年の年末調整は、給与所得控除額や基礎控除の変更、配偶者特別控除の対象となる配偶者及び扶養控除要件の変更など、やや大きな変更がありました。それに伴い年末調整書類の書式も変更されたため、書き方で少し戸惑いがあった方もいたのではないでしょうか。

2021年の年末調整では、昨年のような大幅な変更は予定されていません。ただし、税務上の見直しなどがあり、該当する従業員も少なくないことが予想されるため注意が必要です。ここでは、年末調整を進める際に影響がある4つの変更点について解説します。

①税務関係書類の押印義務を見直し

デジタル化推進の流れを受け、税務関係書類の押印義務見直しが施行されています。年末調整に関するものでは、次のような書類が対象です。実際に提出する申告用紙には押印欄が削除されていますので、確認しておきましょう。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
  • 住宅ローン控除申告書

②年末調整申告書の電磁的方式の事前申請廃止

年末調整申告書を電子データでまとめる場合に必要だった、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」について、2021年4月1日以降管轄する税務署への事前申請が廃止されました。面倒な手続きがなくなったことで、電子データの取り扱いが容易になるため、年末業務の効率化も期待されます。
参考:国税庁「源泉所得税の改正のあらまし 令和3年4月」

③住宅ローン控除特例の見直し

住宅ローン控除とは、住宅の購入やリフォームなどを行った際に税金が還付される制度です。住宅ローン控除特例措置として「控除期間13年」とされていた制度が、さらに2年間延長されます。適用されるのは次の要件を満たすものです。取得の初年度は個人が確定申告しますが、2年目以降は年末調整での対応となります。

要件
契約期限新築住宅:2020年10月1日~2021年9月30日
既存住宅等:2021年12月1日~2021年11月30日
入居期限2020年1月1日~2022年12月31日
建物条件等床面積40㎡以上50㎡未満、ただし合計所得金額1,000万円を超える年度は対象外

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④退職所得課税の見直し

従来の退職所得に関しては、下記の計算式により所得税が課税されていました。

  • 2020年までの計算式
    退職所得金額=①(退職金の金額-退職所得控除額) ②×1/2
    2021年の見直しにより、勤続年数が5年以下の従業員は①(退職金の金額-退職所得控除額)の計算部分で300万円を超える場合、続きの②「×1/2」の計算式が対象外となります。
  • 勤続5年以下、①で300万円超えの2021年以降の計算式
    退職所得金額=①(退職金の金額-退職所得控除額)
    勤続5年以下と限定的なケースであるため、対象となるのは稀なものと思われますが、短期間の在籍で高額な退職所得である場合には注意が必要です。

また、2020年の改正内容の詳細についてはこちらをご覧ください

経理プラス:2020年の年末調整 押さえておきたい控除額と書類の変更点

年末調整の電子化を促進

年末調整は、従業員の家族構成や控除要件などを手書きで個別に対応するため、記載内容の確認や添付資料との照合などに時間を要します。従業員からの書類回収なども管理が必要で、他の年末業務とも重なるため、煩雑になりやすいものです。チェックミスなども含めて業務効率化を図るには、年末調整の電子化が有効な手段といえます。

年末調整の電子化メリット

従業員側のメリットとしては、手書きのわずらわしさから解放される点が挙げられるでしょう。書類の紛失なども防げるため、スムーズな書類作成につながります。

企業側のメリットとしては、入力されたデータをもとに年末調整用ソフトで作成することで、検算が不要になる点が挙げられるでしょう。控除証明書もデータ化すれば添付書類の整理も削減され、大幅な業務削減が期待できます。一元管理されることで、後からの確認作業も容易になるでしょう。

電子化の導入方法と活用年末調整申告書を作成できるソフトは国税庁でも提供されていますが、会計ソフトや人事・労務系ソフトなどを扱う企業などでも対応できるサービスがあります。個人情報を入力したり保存したりすることを踏まえると、利用しているシステムと連携できるサービスを利用し、迅速な対応に繋げるのが効果的です。人事・労務系ソフトとの連携は入社時からのデータ蓄積も活用できるため、導入検討の際には候補のひとつに入れてもよいでしょう。

まとめ

今回は、2021年の年末調整の変更点についてお伝えしました。押印義務が省かれたこと、電子化の事前申請が不要になったことで、紙での配布・回収する方法からから電子化への移行に取り組みやすくなったのではないでしょうか。

経理部署内で変更点の情報共有を行う際には、年末業務を圧迫しがちな年末調整の効率化もぜひ検討してみてください。

経理プラス:年末調整の仕訳と勘定科目 還付あり・追加徴収の2パターンで解説

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この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。