【最新版】2020年の年末調整 押さえておきたい控除額と書類の変更点

【最新版】2020年の年末調整 押さえておきたい控除額と書類の変更点

年末調整書類の変更

以上のような各種変更があったため、毎年記入している年末調整の書類も変更があります。ここでは、変更があった箇所を取り上げます。国税庁のホームページには、入力可能なPDF形式の用紙もダウンロード可能になっているので、そちらを使用すると手書きで記載する必要がなくなります。

令和3年 給与所得者の扶養控除等(異動)の申告書

参照:国税庁「令和3年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

この用紙は令和3年1月からの源泉所得税の源泉徴収税額を計算するための用紙で、令和2年の年末調整のための用紙ではありませんので注意が必要です。
ひとり親控除が新設されたため、C欄「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の記載が変わりました。ひとり親控除を受ける際にはここにチェックを入れてください。これに伴い地方税法が改正になり、令和2年の同申告書にあった「単身児童扶養者」の欄は無くなりました。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

参照:国税庁「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」

基礎控除などの変更に伴い新設された所得金額調整控除は、この書類の一番下の箇所「所得金額調整控除申告書」に記載することで年末調整の計算に含めることができます。基礎控除や配偶者控除の計算もこの用紙で行うことになっていますが、見込みの金額で記載しなければならず、それに伴う計算も複雑なため、最低限必要な箇所(氏名・住所や配偶者の所得欄など)以外の記載をどうするかは、会社の給与計算の担当者に相談してください。

年末調整手続きの電子化

令和2年の年末調整より、生命保険料控除・地震保険料控除・住宅借入金特別控除については、マイナンバーを使用して電子データを取得し、会社へ電子データで提出することで紙での控除証明書の提出を不要にすることができるようになりました。

参照:国税庁「年末調整手続の電子化概要図」

これは、マイナンバー導入の目的の第一歩ともいえる内容です。しかし、会社での導入のためには準備が必要です。国が提供するソフトウェアも9月7日にプロトタイプ版が提供されているだけなので、本年の年末調整には事実上間に合いません。ただ、毎年普及率が上がっていくことで税務行政や会社経理の効率化につながるため、今後は民間の給与ソフトが先導して進んでいくでしょう。

年末調整手続きの電子化のためには以下の準備が必要になると思われます。

  • 従業員のマイナンバーカード取得
  • 会社で年末調整申告書作成用ソフトウェアの導入
  • 会社は所轄の税務署へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」の提出
  • 従業員は保険会社等から電子データを取得するために必要な手続きの完了

会社が従業員データをマイナンバーで取得した場合、マイナンバーにかかわる情報取得状況を確認できるサイト「マイナポータル」に情報が残ることになります。この先マイナンバーにより情報を提供する場合、個人情報を提供する本人はマイナポータルで「誰がどういう目的で自分の個人情報を取得したか」を確認する必要があります。

参照:内閣府「マイナポータル」

まとめ

今年の年末調整は多くの改正があり、会社の給与担当者はこれまで以上に細かい計算をする必要があります。10月に入ったら控除証明書も届き始めますので、今年は早めの年末調整手続きの開始をおすすめします。

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● 著者

須栗 一浩

須栗 一浩

税理士法人エムエスオフィス 代表税理士 平成7年税理士登録・開業。平成27年より税理士法人へ合流。現在に至る。会社税務から個人の確定申告、相続税に至るまで活動範囲は広い。 固くない、いつでも話せる税理士としてクライアントからの信頼は厚い。ファルクラム租税法研究会研究員