社内で経理社員がいなくなる!?~今後無くなる経理業務と無くならない経理業務~

社内で経理社員がいなくなる!?~5年後に無くなる経理業務と無くならない経理業務~

ビジネスにおいて、経理業務は必要不可欠な業務です。
個人事業を始めるにしろ、会社を設立するにしろ、事業を継続していく上で経営成績と資金収支の把握はとても重要な要素となります。

従来、経理と言えば、知識を持った熟練社員のみに許された専門的業務がその業務の大半を占めていました。しかし、ITやWEBサービスの進化によりその前提は崩れつつあります。
今回は、今後無くなる経理業務と無くならない経理業務をまとめました。

今後無くなる経理業務

単純な仕訳作業が無くなる!

近年、クラウド型の会計サービスが急速に普及しているのをご存知でしょうか?
クラウド会計サービスとは、会計ソフトを購入する代わりにインターネットブラウザを使って経理作業を行うものであり、「MFクラウド」や「freee」などが有名です。
これらのサービスは、経理知識を持たない人でも、経理業務を行えるようにすることを目的としており、領収書の整理入力といった単純作業は自動化されています。
また、預金やクレジットカードのデータについてはシステム連携による自動取込が行われ、従来の手作業による伝票入力といった単純な仕訳作業は不要となる利点があります。

さらに、場所や端末の種類(パソコン、スマホ、タブレット端末など)を問わず同じ会計帳簿にアクセスできる利便性が生まれます。
これまで会計帳簿を作成するには、市販の会計ソフトを購入し、会計伝票に基づき作成した仕訳データをハードディスク内に保存するというのが、一般的な作業手順でした。クラウド会計サービスでは、作成したデータもインターネット上に保存されるのです。

クラウド会計サービスは、いずれも通帳及びクレジットカードでの入出金取引の入力は不要となる点では同様ですが、「MFクラウド」は複式簿記の形式による入力、「freee」は単純な選択形式による入力、といった仕様の違いがあります。

交通費・経費精算システム「楽楽精算」 交通費・経費精算システム「楽楽精算」

小口現金の管理が無くなる!

経理担当の業務負担となっている小口現金での経費精算業務も、今後無くなるかもしれない業務の1つです。
理由は、社員への経費精算を、システムを活用することで小口精算から銀行振込に切り替える企業が、増えているためです。

従来行われていた小口現金管理とは、金庫内で現金を管理し、経理担当が都度手渡しで精算する非効率なものです。特に、このようなアナログな現金管理では、金庫内の金額と、精算金額が合わないといった人的ミスも起こりがちです。
しかし、Web上で入力・精算が完結する経費精算システムを活用すれば、小口現金管理での精算を見直すことができます。
経費精算システムでは、申請された経費をもとに、自動的に振込データを作成してくれるものが一般的で「振込データ作成作業がゼロ」になります。小口現金管理で都度精算をする手間を考えると、合理的と言えるでしょう。

毎月の請求書作成業務が自動化される!

毎月の請求書発行作業も、今後は無くなっているかもしれない業務です。
日本の慣習では、請求書は印刷をし、紙で発行するのが一般的ですが、1件1件手作業で行うのは、あまりに非効率だと感じている方もいらっしゃるでしょう。
請求書の発行が集中する月末・月初に残業をする経理担当の方も多いのではないでしょうか?

これらの作業を効率化させるため、システムを活用し、請求書をメールやWEBで一斉送信する企業が少しずつ増えています。
普及の背景としては、手間の削減と、郵送費といった経費の削減にもつながる点をあげることができます。

また、請求書作成サービスの導入により、「消費税加算」や「源泉税調整」等の、本来は請求書発行業務に必要な知識が無くても担当できるようになります。

今後も無くならない経理業務
ご紹介した通り、単純作業や毎月発生する業務についてはどんどん自動化が進みますし、5年を待たずしてサービスが普及する可能性も大いにあります。

…では今後も無くならない経理業務とはなんでしょうか?

答えは、「自動化できない、知識と経験を生かさなければできない業務」です。
経営計画の作成、資金収支の予測、会社特有の会計処理や定型化出来ない伝票入力といった業務については、属人的な知識とスキルが必要不可欠であり、いかに経理業務の自動化が広がり浸透しようとも、今後も無くなることはありません。

まとめ

今後は、ITサービスを上手く活用しながら経理担当が人間にしかできない業務に集中し、会社にとって高い価値を生み出していくことが重要になります。
従来の単純経理業務をこなすのみでなく、経営判断に必要な情報を適切に経営層に提案することのできる人材が求められるようになるでしょう。
 

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 公認会計士 服部 峻介

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北海道大学経済学部卒。有限責任監査法人トーマツ入社後、上場企業の監査、内部統制、IPO支援、株価算定、M&A、不正調査等を実施。経営コンサルティング会社役員を経て、Seven Rich会計事務所を開業。スタートアップ企業を中心に、3年で160社以上の新規クライアントに対して会社の設立から会計税務、総務、ファイナンス、IPOコンサルなど幅広い支援を行っている。

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