資格取得で経理のスキルアップ!おすすめの資格と活用方法

経理業務に関連する資格は数多く、選択に迷う人は多いでしょう。資格取得をきっかけに税理士として独立したり、社内で昇進したりする人は存在します。しかし一方、苦労して資格を取得しても選ぶ資格が適切ではなかった場合、それがすぐにスキルアップにつながらないこともあります。そこで、経理のスキルアップに役立つ資格とその活用方法について紹介します。

 

スキルアップの前に経理業務を知ろう

経理の業務内容は多岐にわたります。業務が広範囲にわたっていることが、スキルアップの方向性や取得すべき資格の選択に迷う原因の一つといえるでしょう。そこで、経理業務のアウトラインを整理してみます。ここから自分の担当する業務範囲を確認し、取得するべき資格を考えてみましょう。

会計・税務

会社の費用にまつわる業務です。

  1. 支払業務
    営業社員などが使った経費の精算、取引先への代金振り込み、給与天引きの所得税・住民税の納付など業務はさまざまです。
  2. 請求業務
    商品の売上代金などを得意先へ請求する業務です。また、請求後の入金チェックも行います。
  3. 会計帳簿の作成
    領収書などのデータを参照し、金額や仕訳項目を会計ソフトに入力したり、給与計算ソフトの給与データや販売管理ソフトの売り上げデータを会計ソフトに反映させたりします。
  4. 業績管理の資料作成
    会社によっては、部門やプロジェクトごとに原価や採算などの業績を管理しています。会計帳簿とは別に、会社独自のフォーマットで業績管理の資料を作成します。
  5. 決算・税務申告業務
    会社は年1回以上、決算書と確定申告書を税務署へ提出します。
  6. 書類の整理業務
    1〜5には領収書や請求書などの書類を整理する業務が付随します。

人事関連

給与計算など社員にまつわるお金の計算業務です。3種類に分けて紹介します。

  1. 給与計算
    基本的に社員の勤務日数などのデータを給与計算ソフトへ入力します。
  2. 社会保険の手続き
    年1回以上は厚生年金・健康保険・雇用保険・労災保険など社員の社会保険について手続きを行います。
  3. 年末調整
    年収をベースに社員の所得税を計算する業務です。

高度な業務

ルーチンワークのほか、必要に応じて行う経理業務が存在します。会社の資金繰りに直結し、難易度が高いのが特徴です。

  1. 税務調査の対応
    決算書や確定申告書の信ぴょう性について、税務署は会社へ実地調査を行います。税務調査を担当する経理担当者は税金の知識が必要となります。
  2. 銀行交渉
    銀行から融資を引き出すため、融資担当者と交渉します。借入金の返済が可能なことを相手へ説得するためには、決算書を分析するスキルが要求されます。

 

交通費・経費精算システム「楽楽精算」 交通費・経費精算システム「楽楽精算」

 

経理のスキルアップを目指すならこの資格

経理業務のアウトラインを確認したところで、それぞれスキルアップに役立つ資格を見ていきましょう。

経理業務を一通り学べる2つの資格

  1. FASS検定
    経済産業省から委託を受けた日本CFO協会が主催する資格です。「請求業務などの資産分野」「業績管理などの決算分野」「確定申告書の作成などの税務分野」「支払業務などの資金分野」と会計・税務について一連の業務を理解するのに最適な内容です。
    (参考)経済産業省 経理・財務人材育成事業 公式サイト 「FASS検定の背景」
  2. 給与計算実務能力検定試験
    一般社団法人実務能力開発支援協会が主催する資格です。人事関連の経理業務を網羅しており、2級では給与計算、1級では社会保険や年末調整が出題されます。
    (参考)一般社団法人 実務能力開発支援協会 「給与計算実務能力検定試験®とは」

会計をマスターする第一歩は日商簿記2級

日本商工会議所が主催する資格です。日商簿記2級では、会計帳簿や決算書を作成する際に必要な勘定科目など簿記の知識、業績管理に欠かせない原価計算などの基礎が出題されます。会計の知識を生かしたり、税理士の資格取得の足掛かりとするのに最適です。
(参考)商工会議所の検定試験

英語の知識を活用できる英語版FASS

FASS検定の受験と同時に、オプションとして無料で受験できるのが英語版のFASSです。日本語版の問題のうち30問が英語に翻訳して出題されます。海外に拠点のある会社などで英語のスキルを活かすのに役立つでしょう。
(参考)一般社団法人日本CFO協会 「オプション科目について」

やる気がある人は税理士の資格取得もアリ

税理士試験は国家資格となり難易度が高いです。試験科目11科目のうち5科目を取得すれば合格です。5科目まとめて取得する必要はなく、年間で1科目ずつ学習することが可能です。
特に、試験科目のうち法人税法と消費税法は決算書や確定申告書の作成業務に直結し、スキルアップにつながります。
(参考)国税庁 「税理士試験の概要」

経理に役立つコミュニケーション検定とは?

コミュニケーション検定は、日本コミュニケーション能力認定協会が主催する資格です。コミュニケーション検定では、人間関係の構築能力を養うためのコミュニケーションについて学習できます。
税務調査の対応や銀行交渉などに役立つため、論理的に話す能力が身につけられるディベートとセットに学ぶことをおすすめします。また、転職活動で面接担当者に好印象を与えるのにも有効でしょう。
(参考)日本コミュニケーション能力認定協会 「コミュニケーション能力認定講座」

 

経理のスキルアップを図る資格の選び方のポイント

経理業務と主な資格について見てきました。ここからはスキルアップに役立つ資格選びのポイントについて解説します。

将来の目標から逆算して資格を選択しよう

将来の目標といっても、仕事とプライベートとの両立を図りたい、CFO(最高財務責任者)や独立を志望しているなど、人によって異なります。特にCFOを目指す人なら、税理士の資格など難易度の高い資格に挑戦するのもよいでしょう。

スキルアップに直結する資格を選択しよう

将来の目標があいまいな人は資格選択に悩むのではないでしょうか。たとえば、海外進出の予定が無い企業の若手社員が、英語版FASSに挑戦したとしても、すぐにそのスキルを発揮する機会が訪れるとは考えにくいです。まずは経理の基本業務を理解するための資格に挑戦するべきでしょう。このようにすぐ業務に活かすことができない資格を選択してしまうケースが見受けられます。

 

まとめ

経理担当者やこれから経理を目指す人にとって、スキルアップに役立つ資格を選択するポイントは次の2つに集約されます。
・経験年数や現在従事している業務を確認して、経理のスキルを客観視する
・経理のスキルアップに役立つ資格を知る
経理のスキルについて現在の自らの状況を把握し、ベストな資格取得を目指しましょう。

 

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● 著者

阿部正仁

阿部正仁

TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。