製造業のためのコスト削減のポイント ―「経理コスト」を「原価計算」してみた―

製造業のためのコスト削減のポイント ―「経理コスト」を「原価計算」してみた―

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

どの業種の経理担当者も日々業務に追われ大変なのは同じですが、その中で製造業の経理担当者は原価計算などさらに煩雑な業務を抱えています。
今回の記事では、製造業に限らない内容も含みつつ、経理担当者が経理コスト削減のために抑えておきたいポイントをお伝えします。

経理コストを「原価計算」してみる ―労務費が最大の削減ポイント―

製造業にたずさわる経理担当者の方には「原価計算」は馴染みの深い言葉だと思います。製造「原価」を「計算」するために行うのが「原価計算」です。
製造原価は一般に「材料などの原材料費」、「人件費などの労務費」、「外注加工費や水道光熱費などの製造経費」の3つに分けられます。会社でかかっている経理コストをこの3つのコストに当てはめて、経理コスト削減のポイントがどこにあるのか考えてみましょう。

経理における原材料費 ―用紙代や封筒などの費用―

材料費削減のポイントは「すぐ使うものだけ買う」、「有効活用する」です。
よくある失敗だと、単価を抑えるために一度に大量に購入したけれども、使い切るまでにかなりの時間がかかったためその購入費用や管理コストがかかってしまったというケースです。対策として、必要なものを必要な分だけ買うことで在庫管理が不要になり、長期保存しておくことによる備品の劣化なども起きなくなります。
また、買いすぎて使い切れないといったこともなくなり、買ったものを「有効活用」することができます。

経理における労務費 ―集計、入力、確認、印刷などの単純作業―

経理コストでもっともかかっているのは労務費です。
用紙代や封筒などの「経理における原材料費」、郵送費用などの「経理における製造経費」は取引件数が増えるほどかかってはいきますが、「経理における労務費」に比べると1件1件にかかる金額は大きくはありません。
単純作業なのに経理担当者の時間がかかってしまっている代表的な業務に請求書発行があります。経理担当者がかけている手間を考えてみると、請求の内容を確認、データを入力し、請求書の印刷、封詰めして、切手を貼り、郵便局に提出と、非常に多くの手間がかかっているのは経理担当者の皆様には改めて説明するまでもありません。
労務費削減のポイントは「時間あたりの生産性を上げる」ことです。いつも行っている業務の作業工程を分析し、ITによって効率化できる部分がないか検討しましょう。

経理における製造経費 ―郵送代やシステム料金―

郵送代やシステムの料金が経理における製造経費にあたります。経費は「避けられるコスト」と「避けられないコスト」に分けられますが、製造経費において大切なことは利益貢献の高い「避けられないコスト」まで無暗に削減しないことです。安易な経費削減は、製品の質(経理においては、速度と精度)を下げたり、納期(経理においては請求日)を遅らせたりする可能性があります。

経理担当者はITを活用し、経理の労務費を削減なければならない―自動化できる「作業」はないか考えてみましょう―

経理担当者のマンパワーに頼った方法では、製造業の経理担当者が抱える原価計算などの会計処理、取引先への請求業務、社内の経費精算などの多岐にわたる業務は今まで通り膨大な時間がかかり、その「労務費」は一向に減りません。無理に時間内に終わらせようとすればミスが出ます。

経理コスト削減のためには、まずは現状の作業の中にITで自動化できる作業がないか考えてみましょう。

製造原価や棚卸を自動計算する

複雑な原価計算をするためには一定の手作業は必要になりますが、基礎データさえ入力してしまえば製造原価から棚卸計算や工程管理など様々な計算が連動するシステムを使うことで経理担当者の負担が軽減され、結果として経理コストを削減することができます。

会計仕訳の自動取り込み機能を活用する

最新の会計システムでは預金取引やクレジットカード取引は、クラウド会計を活用することにより自動で仕訳に取り込むことができます。仕訳をひとつずつ手入力している場合には、時間的なコスト(労務費)がかかるだけでなく、人的ミスによる精度の低下が起こり、経理担当者の業務負担はいつまでも大きいままです。

請求書作成を電子化する

紙やエクセルを使って請求書を作成している会社は今も多く存在します。請求データを手入力するところから始まり、請求書の印刷、封詰め、切手を貼り、郵送と時間も手間も支出も多くのコストがかかっています。
請求書発行システムを活用するとこれまで紙で作成し郵送していた請求書を電子化し、請求データをシステムに取り込むだけで簡単に電子請求書を発行することができます。請求書作成の時間も手間も支出も大幅に削減されます。

経費精算を自動化

交通費などの経費精算を、所定のフォーマットに手書きしたり、エクセルの様式に手入力したりしている会社は毎月膨大な手間と時間がかかっています。細かな金額のチェックを経理担当者が行い、仕訳にもう一度打ち直すという無駄が存在しています。
経費精算システムを使うと、複雑な経路の金額もシステムが自動計算、仕訳は会計ソフトと連携し自動入力されるなど、これまでかかっていた時間を大幅に短縮することができます。

製造業の経理担当者だからこそできる「その他」のコスト削減

ここまでITを活用した経理コスト削減をお伝えしてきましたが、他のコスト削減についても紹介します。

「小さな経費削減」を積み上げる

どの会社でも、電気代・暖房代の節約、印刷費用の削減、LCCの活用など様々なコスト削減の取り組みを行っていると思います。他の記事で「会社全体で検討したい『小さな経費削減』項目一覧」と題して13個の削減方法を紹介しているので、新たに組み込めるコスト削減はないかチェックしてみてください。

経理プラス:今期最高益を出すための経費削減を命ぜられた

経理担当者の腕の見せ所、「製造業の節税ポイント」

製造業の他の業種の一番の違いは、「製造原価があるかないか」です。商品を仕入れてその商品をそのまま売るという受け売りの業態とは異なり、「製造原価」の計算に当たっては会計・税務上で「上手なやり方」があります。
たとえば、「製造原価を大きく」するためには、「期末在庫を小さく」すればいいわけです。棚卸資産の計算方法について何も届け出ていない場合には最終仕入原価法(その期の一番最後の仕入れ時の単価で期末在庫の金額を計算する)で計算されますが、原料価格が高騰している場合には本来よりも「期末在庫が大きく」なってしまう可能性があります。節税として、総平均法などの計算方法を用いることで短期的な原料価格の影響を受けにくい製造原価の計算をすることができます。
他にも、生産設備の「固定資産計上しなければならない新たな取得」なのか「一発で経費計上できる通常の維持管理に必要な修繕費」なのか、材料仕入や外注加工費は期末時点における買掛金・未払金を納品書ベースで徹底的に計上するなどがあります。

最後に

経理担当者は会社のお金の流れを把握しているので、その特殊性を活かして「経理担当者だからできるコスト削減をしていかなければなりません。そしてITを活用しなければならないのは製造業に限った話ではありません。
今回の様に経理コストを「材料費」、「労務費」、「製造経費」に分けて考えるなら、「労務費」を削減するためには様々な経理ソフトを活用することはもっとも有効な手段です。どの業種でも経理担当者が考えなければならないポイントは、経理担当者の手間と時間という業務負担を減らすために「現状の作業でITにより自動化できる作業はないか」、「経理担当者だからこそできるコスト削減は他にもないか」を考え続けることです。

今回の記事を参考に、自社のコスト削減を今一度見直してみてはいかがでしょうか。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

著 者 公認会計士 服部 峻介

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北海道大学経済学部卒。有限責任監査法人トーマツ入社後、上場企業の監査、内部統制、IPO支援、株価算定、M&A、不正調査等を実施。経営コンサルティング会社役員を経て、Seven Rich会計事務所を開業。スタートアップ企業を中心に、3年で160社以上の新規クライアントに対して会社の設立から会計税務、総務、ファイナンス、IPOコンサルなど幅広い支援を行っている。

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