RPAは経理の仕事を楽にする?経理業務におけるRPA活用を考えてみた
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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より
RPAとは
RPAとは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、作業や業務をロボット(ソフトウェア)を使って自動化する仕組みです。総務省によると、2017年におけるRPAを導入する企業は国内で14.1%となっています。
(参考)総務省「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」
RPAは主に入力作業や定型書類の作成といった、定型業務を自動化することを目的としたものです。また、ユーザー・インターフェース上の操作もできるため、異なる2つ以上のシステムを使用する業務の自動化にも対応できます。つまり、たとえばAのソフトで作成したデータをBのシステムに入力する作業がある場合、このデータの移管もRPAが行ってくれるというわけです。新しいソフトウェアでAとBの作業を一元化する方法よりも、使い慣れたシステムを自動化できることにメリットがあるといえるでしょう。
ただし、RPAには画像解析や音声解析といった機能がありません。そのため、たとえば画像を読み込んで、その内容から処理を行うといった業務はできません。また、AIではないため分析に基づく意思決定を行うといった高度な業務はできません。
RPAが経理業務を変える?
会社の事務業務は定型的な業務が多いため、RPAを導入した場合の影響を特に受けやすい分野といえます。特にシステムへの入力や照合作業といった工程が多い経理の業務は、RPAが得意とする部分です。そのため「RPAの登場で経理の仕事が無くなるのでは」と考える方もいるかもしれません。
実際には、RPAによる定型業務の自動化を行うことで、確認や入力といった一部の業務が削減され、定型業務の負担が減り、他の業務により注力できるようになるという捉え方をするのがいいでしょう。こうした定型業務が削減されれば、経理担当者はよりデータ分析などに力を注げるようになります。経理部門がより経営側に貢献できるようになれば、RPAの導入は、会社としてメリットの大きい改革になるはずです。
経理部門におけるRPAの適用例
経費精算
経費精算は、通常以下のステップで進められます。
- 社員が経費精算書を作成
- 上司が確認し承認
- 経理担当者が確認し、仕訳入力、精算
経費精算は、その内容に不正がないかの承認に時間を要しますが、こうした業務フローもRPAによって自動化することが可能です。たとえば交通費であれば、電車賃などをホームページから調べて突合する操作も、RPAに記憶させればあとは運賃を調べて自動で突合してくれます。
ただしRPAに、レシートを読み込んで認識する機能はありません。そのため、OCRによるスキャンなどで代用する必要があります。
売掛金や買掛金の管理
売掛金や買掛金は、取引先とやり取りした請求書などの情報から仕訳し、その後に口座の入出金の額との突合を行わなければなりません。RPAを利用すれば、申込書や請求書の内容をデータ化した後は書類作成フォームに自動反映して取引先に書類データをメール送信したり、仕訳や入出金データとの突合まで行ったりすることが可能です。
RPAを使うメリット
適切な人員配置と生産性の向上
RPAを導入すると、これまで人がやることが当たり前だった定型業務を人が行う必要がなくなります。定型業務を自動化すれば、それに従事していた従業員がその専門知識を活かして非定型業務に従事することができるようになります。
多くの従業員を知的業務に集中させることができれば、業務の生産性を高めることも期待できます。
処理量がアップ
定型業務は、機械が行った方が正確に短時間で処理できます。また、人間のように労働時間や集中力に左右されないため、長時間稼働させることが可能です。したがってRPAを導入すれば、定型業務の処理量そのものがアップします。
RPAを使うデメリット
コミュニケーションが必要な作業には向いていない
経理では、他部門の職員に確認しながら行う業務も少なくないでしょう。しかし、RPAには人間への確認はできません。
最初は検証が必要
RPAにどういった操作をさせるかは、あくまで人間が指示することとなります。そのため、最初は操作が適切に行われているか確認しながら導入することが必要です。作業に慣れるまでの時間や、責任者の教養期間が求められるでしょう。
RPAをどうやって導入すればいい?
まずは、RPAを使うことができそうな業務を担当者から聞き取り、その業務フローを検証します。その中で、人間にしかできない部分を明確化し、それ以外作業でRPAの導入を検討するとよいでしょう。そのためには、RPAの性能と業務内容の細かい実情の両方について、経理部門の幹部が把握しておく必要があります。
RPAは単純作業しかできない?
RPAはAIと組み合わせて開発することにより、より複雑な業務も自動化することができるといわれています。これによって自動化できる業務は、定型業務から非定型業務、つまり知能や判断が必要な部類にまで及ぶようです。総務省の資料によると、RPAには機能によってクラス1からクラス3までの3段階の自動化レベルがあります。上記でご紹介してきた一般的なレベルのRPAはクラス1に該当します。
主な業務範囲 | 具体的な作業範囲や利用技術 | |
---|---|---|
クラス1 RPA | 定型業務の自動化 | 情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業 |
クラス2 EPA | 一部非定型業務の自動化 | RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化 自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの搭載 非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能 |
クラス3 CA | 高度な自律化 | プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化するとともに、意思決定 ディープラーニングや自然言語処理 |
参照元:総務省 RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上) RPAのクラス
クラス3になると、それまで機械化はできないと言われていた知的業務の自動化が可能となるとされています。
まとめ
RPAについて、中には「RPAは経理業務を奪う」などと聞いたことのある人がいるかもしれません。しかし実際には、定型業務の部分を担ってくれる頼もしい存在です。人間ではどうしても時間がかかる、あるいはエラーが出やすい部分をRPAに任せて、本当に必要な部分に効率よく労働力を分散させること。それがRPAの目的なのです。 「経理プラス」メルマガでは、定期的に記事のランキングやおすすめ情報などをお届けしています。読み逃しがないよう是非ご登録ください!
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より