求められる業務効率化…経理業務を見直す重要な3つのステップ
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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より
この記事では、将来的な労働人口の減少、経理部門の業務の増加を背景に、財務経理部門の労働生産性の向上に、ITを活用していくための方法について解説します。ITの中でも特に、RPA(Robotic Process Automation)を用いて業務の生産性向上を図るための進め方、重視すべきポイントなどについて触れていきます。今後の財務経理部門の業務見直しに役立てていただければ幸いです。
現状の経理部門が置かれている状況
偏重し増加し続ける経理業務
近年上場会社の経理部門は、経営情報をタイムリーに報告すべきであるという市場等からの要請により、月次、四半期ごとの決算スケジュールが年々早まる傾向にあり、業務負荷も月末~月初付近に偏る傾向にあります。また、国際会計基準(IFRS)の導入や新たな会計基準、開示情報の充実など制度への対応もあって、定常業務がますます増加していく傾向にあります。
慢性的な人材不足
経理部門に求められる業務は偏重し増加する一方で、人員の増加は長期的な視点で考えると望めない可能性が高く、ますます業務負荷が高まることが予想されます。
求められる経理部門の役割のシフト
これまで、経理といえば日常の伝票処理や月次決算、開示書類、税務申告書作成といった財務会計における役割が中心でした。しかしながら、経営環境の変化スピードが早まり、経営判断に必要な情報がタイムリーに報告され、その内容がビジネスに関連付けられた説明が求められてきています。
このような背景の中、近年経理部門では、継続的な業務の見直しだけでなく、ITなどの活用によって、生産性の向上を追求し、将来的な人員不足への対応策を構築するとともに、より付加価値の高い業務へのシフトを目指している企業が多いです。ここからは具体的な経理業務効率化のためのステップについて説明していきます。
経理業務の効率化のための3つのステップ
(1) 経理業務現状調査・分析
まずは、既存の経理業務において、誰が、いつ、何の業務を、何時間かけて、どのように実施していて、それは何のために行なわれているかという全体像を把握することが必要です。その際に、決算スケジュール表、経理業務一覧表などがあれば効率的でしょう。全体像を把握したうえで、ターゲットとする業務について、実際の資料やExcelツールなどを確認しながら、各業務の手順を把握し、ボトルネックポイントを把握していきます。結果として、業務の自動化以前に業務自体をなくせる可能性も多くあります。
(2) 現行業務における問題点抽出
業務現状調査・分析後に、現行業務における問題点を把握してリストにまとめていきます。具体的には、「手作業(入力、集計、転記)が多く存在する」、「元データが紙でしか存在しない」、「人が判断している(金額基準による費用処理・資産計上の判断)」、「Excelツールが複雑である」等の属人化・非効率化している業務の洗い出しを行っていきます。
問題点抽出の際には、それぞれの業務の目的を明らかにすることが重要です。特に管理資料や帳票類で定期的な見直しを行っていない場合、今は誰も使っていないが作り続けている資料が存在するケースがよくみられます。このような場合、経理部長や役員クラスが業務を止めることの意思決定を積極的に行うことが重要です。なぜなら、担当者が業務の必要性に疑問をもったとしても、最終的には上長の意思決定無しに業務を止めることは難しいからです。
現場主導で業務効率化の工夫をすることは重要ですが、時にはトップダウンで積極的に業務スリム化の意思決定を行うこともポイントになります。
(3) 経理業務における改善案策定と実行
現行業務における問題点を把握した後に、それぞれの課題ごとに改善案を策定し、実行していきます。改善の手段は様々あるものの、業務が属人化しているものや非効率化の改善という観点で業務フローを整理していくことが重要です。その際、「1.業務を止める」、「2.自動化する」、「3.業務のシェア」等の施策に分解されていきます。自動化の中には、システム開発以外にもパッケージのシステムやRPA(Robotic Process Automation)などを利用して業務を自動化していくことを検討していくことが含まれることになります。
自動化や業務シェアを行う前に、業務を整流化することやマニュアル化することによって標準的なプロセスを作ることが大前提となり、どのような業務改善施策を取り組むにしても、まずは問題点のある業務プロセスを標準的なものに改善する必要があります。
また、業務改善策を考える際には、既存ワークシートの改善等の経理部門内で実施できるものと他部門からの入手資料の効率化等の他部門を巻き込んだ改善とがあり、どちらも並行して取り組む必要があります。他部門を巻き込んだ改善は効果も大きいですが、時間もかかる傾向にあるので、推進にもパワーが必要になってきます。
まとめ
業務効率化を考える企業は非常に多くありますが、経理部員や関係者に対し、効率化したあとにどのような業務を行っていきたいかを初期に明確にすることが有効です。業務効率化の目的を明確化することで、自分の仕事がなくなってしまうのではないかとのメンバーの不安感の解消や他部門の巻き込みを効果的に実施することにつながっていきます。
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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より