3つの立場から考える決算業務の効率化 正しく効率的に対応しよう

3つの立場から考える決算業務の効率化 正しく効率的に対応しよう

決算とは

決算とは、会計帳簿の締めのことです。その大きな目的は社内の業績確認のほか、株主などへの報告に使用される「決算書」を作成することです。なお、決算には締めの周期によって、月次決算と年次決算があります。

月次決算とは

毎月末に行う決算のことです。会社の業績を1ヶ月という短期間ごとに把握できるため、経営の軌道修正に役立つでしょう。社内会議の資料となるほか、顧問税理士等に提示したり、融資申し込みの際に金融機関へ提出したりします。

年次決算とは

年次決算とは事業年度ごとに行う決算のこと。月次決算の積み重ねに決算整理仕訳を加えた数字が、年次決算の数字です。株主などへの決算報告に使用されるほか、税務申告のベースにもなります。

 

決算業務を早期に終わらせるべき理由とは

決算は、なるべく早期に終わらせなければなりません。その理由は3点あり、それぞれ詳しく解説していきます。

経営分析をスピーディにするため

常に変化する経営状況へ素早く柔軟に対応するには、現状を早期に分析することが不可欠です。もし早期の段階で業績や財務状況の問題点を発見できれば、対策の幅は広がります。また、軌道修正が早いほど会社への悪影響も抑えることができるでしょう。
会社がスピーディな対応をとるためには、タイムリーに作成された毎月の決算書が必要です。したがって、月次決算書は翌月初めに、なるべく早く作成しなければなりません。

株主総会で正しい情報を開示するため

多くの会社は、会社の決算日からおおむね3ヶ月後に株主総会が予定されているでしょう。株主総会までには、決算に関する様々なスケジュールがあります。まずは年次決算書の作成、続いて監査役や会計監査人がいる場合は作成した年次決算書の提出、そして取締役会の承認を経て株主総会の招集手続きという流れです。
なお、株主総会からスケジュールを逆算すると、年次決算書の作成は会社の決算日からおおむね1ヶ月以内に作成することが望ましいと言われています。しかしながら、監査で修正があった場合などを考慮すれば、可能な限り前倒しすると良いでしょう。

また、多くの会社では月初めの経営会議などで暫定値を求められるため、1ヶ月も猶予はないはずです。特に、連結決算がある場合は自社の決算が終わってからの作業となるため、よりタイトなスケジュールになります。

上場会社は30日以内の開示が推奨されているため

上場会社は、決算の内容が定まれば直ちにその内容を開示することが義務付けられています。決算短信の開示時期について東京証券取引所では「遅くとも決算期末後45日以内」、より望ましいものと考えるのは「決算期末後30日以内」と基準を示しています。

(参照)株式会社東京証券取引所:決算短信・四半期決算短信 作成要領等

 

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決算の早期化・効率化に向けて

決算を1日でも前倒ししたいのは、経営者だけでなく経理担当者も同じ気持ちです。しかしながら、決算を早めるのは容易なことではありません。
決算の早期化が阻害される要因は、一言でいえば決算担当者の会計システム入力が追いつかないというものです。しかしその背景にあるのは、決算と併行して行わなければならない業務が多いという部内体制の問題や、請求書などが届かず入力そのものができないといった体外的な問題が密接に関連しています。このことから、決算を早期に行うには経理担当者1人の責任ではなく、組織レベルで効率化対策を考える必要があるでしょう。

 

決算業務を効率化するため方法

決算を効率化して1日でも早く決算を終わらせるためには、「経理担当者」「経理部」「会社」という3つの立場から対策を考える必要があります。

経理担当者ができる効率化:決算の準備を前倒し

決算を効率化するため、期中にできる決算作業は、なるべく期中のうちに済ませておくことが重要です。たとえば、ほとんどの会計ソフトに備わっている仕訳登録機能を活用すれば、決算で必要になる仕訳を手の空いているときに、勘定科目だけ入力してスタンバイしておくことができます。もし利息計算が必要になる仕訳(例:預金、借入金、リースなど)があれば、事前に計算フォームを作成しておくことで、請求書を見てから計算を始めるというタイムロスを防ぐことも可能です。
そのうえで対外的な対策として、日頃から直接やり取りのある取引先があれば、年次決算だけ早めに連絡をもらえる手配も検討しましょう。

経理部ができる効率化:業務分担の見直し

決算に必要な請求書や領収書は、期末から翌期首にかけて集中的に届くでしょう。そのため、この時期に決算担当者は、決算のための仕訳入力に追われます。ところが、一つの請求書からは仕訳入力だけでなく、掛代金の消し込みや支払予定表の作成、振込予約など、目的の異なる様々な作業が連鎖的に発生します。そのため、決算担当者が決算期にもかかわらず、他の作業を同時に行わざるを得ない状況も少なくありません。

このような状況で決算を効率化するためには、経理部で職員の業務分担の見直しが必要です。支払予定表の作成や振込予約は、別の人間が担当すれば、内部統制にも繋がります。また、なるべく早く決算資料が収集できるよう、他部署と経費精算の締切日の調整をすることも大切です。

会社ができる効率化:システムを導入した業務の効率化

決算を効率化するには、決算担当者の工夫や経理部のバックアップが重要になります。しかし、もっとも効率化しやすい対策は、経費精算システムの導入です。
決算業務が遅れる要因は、決算期の業務集中にあります。せめて社内で分かる経費だけでも早期に仕訳登録することができれば、決算はかなり効率化できるでしょう。そこで、会計システムと連動した経費精算システムを導入すれば、経費の精算処理と同時に仕訳処理ができたり、確定した情報を会計ソフトに手入力せずにデータ連携できるため、決算はもちろん社内全体の業務効率化に繋がります。経費精算システムで国内累計導入社数No.1※の「楽楽精算」にはその他にも申請前にルール違反をエラーで表示できる規定違反チェック機能や、交通系ICカードの履歴で交通費精算ができる機能があり定期区間控除などのチェックが楽になるなど、経費精算全体の作業時間を削減する機能が備わっています。決算担当者や経理部だけで行う効率化対策よりも、大きな効率化が期待できるはずです。

※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2022年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/)より

まとめ

決算の早期化には、スピーディな経営分析ができるという大きなメリットがあります。そして、決算は色々な立場から効率化することが可能です。
決算を効率化するためには、まずは社内で、何が決算早期化の阻害要因となっているか、その原因を丁寧に分析することが第一歩となります。それぞれの会社の体制に合った決算効率化の方法を探してみましょう。

 

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 石田 夏

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理士事務所、上場企業の経理職を経てフリーライターに転身。 簿記やファイナンシャルプランナー資格を活かして、税務・会計に関する企業向けコンテンツを中心に執筆中。 ポリシーは、「知りたいをわかりやすく」。