経理標準化のためのテクニック -税務申告へ転記できる帳簿作り-

経理標準化のためのテクニック -税務申告へ転記できる帳簿作り-

経理業務を標準化することは、コストの削減や品質の向上に大きな影響をもたらしてくれることになると思います。
経理の標準化のテクニックをシリーズでお届けしたいと思います。

今回は、法人税の申告書に転記できるように帳簿を作るという点にフォーカスしてお話しをしたいと思います。

法人税の申告書へ転記できるように帳簿を作る

会社の経理は自社で行っているけれど、法人税の申告書は税理士さんにお願いしているという会社は多いと思います。なかには、税務は難しいからといって丸投げになってしまっている会社もあるのではないでしょうか。
そのような会社によく見られるパターンが、帳簿が法人税の申告書を作るのに作りやすい構造になっていないというパターンです。

税理士さんに丸投げしていることで効率化の枠外に

こうした場合、申告書を作る税理士さんは必死に会社の帳簿を見て、そこから申告書を作成するのに必要な情報を探し出すことになります。そういった場合、かなりの工数がかかるので、申告書を作成するための報酬が多額になってしまうかもしれません。

申告書を作成するために必要な情報としてはたとえば、つぎのようなものがあります。

  • 消耗品費の勘定で処理したものの中にある、3年一括償却資産で一括損金処理した金額
  • 消耗品費の勘定で処理したものの中にある、3年一括償却資産で一括損金処理した金額
  • 寄付金のうち、国や地方公共団体、特定公益増進法人等ごとにいくら支払ったのか

「補助科目」を使えば簡単に申告書が作成できる

3年一括償却資産を3年で償却せずに一時の損金で処理した場合は、別表16(8)を通じて、税務調整を行います。
また、加算税や延滞税といった税金は損金になりませんので、別表5(2)を通じて税務調整をする必要があります。
寄付金は支払った相手先別に損金算入できる金額に違いがありますので、別表14(2)で区分記載して、損金算入限度額を計算します。

このように帳簿から税金計算に必要な情報をどのように拾ってくるのかですが、実務上最も使われている方法が、勘定科目の「補助科目」を使うという方法です。
会計ソフトの中にある勘定科目のマスタ設定の補助科目設定の機能を使うことで総勘定科目の中身を細分化出来ます。
たとえば先程の例で消耗品費に関して言えば、一時に損金となる消耗品と一時の損金にならない3年一括償却資産とを区分して補助設定しておけば、申告書作成する段階で、後者の一時の損金にならない金額を別表16(8)に転記すれば良いだけとなるのです。
このように補助科目を活用することで、申告書作成する時に、帳簿と格闘することなく転記をするだけで作業が進むのです。
こうすることで、申告書作成にあたってミスも減るでしょうし、時間も削減できると思います。
勘定科目マスタ設定を税務の申告書を意識して行うかどうかという違いが、大きな違いとなって来るのです。

交際費は内容ごとに損金になるものとならないものがある

勘定科目の補助区分をしておくと非常に便利となる科目のひとつとして、交際費もあげられます。
交際費については、大企業かどうかによって損金算入限度額の取扱いは異なりますが、企業規模に関わらず、交際費の内訳を次のような種類ごとに区分しておく必要があります。

  • 社外の人との飲食費のうち一人あたり5,000円以下のもの
  • 社外の人との飲食費のうち一人あたり5,000円超のもの
  • 社内の人との飲食費
  • 飲食費以外の交際費
  • 交際費科目で処理しているが、税務上交際費にならないもの
  • 交際費以外の科目で処理しているが、税務上交際費に該当するもの

特に社外の人との飲食費については、把握しておくことで税金上のメリットを享受することが出来ますので、きちんと把握する仕組みを作ることは、重要です。

>>国内累計導入社数No.1※ の経費精算システム「楽楽精算」について詳しくはこちらから

※デロイト トーマツ ミック経済研究所「電帳法対応進むクラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2021年6月号: https://mic-r.co.jp/micit/)より

申告書の質が高まり、効率もあがる

通常は、交際費の科目やそれ以外の科目に上記の区分が分かるような補助科目を設定する方法で、把握をします。
こうすることで、法人税申告書の交際費の別表の中で記載すべき次の項目を会計ソフトから算出される補助科目別残高一覧表の数値を転記すれば良いだけとなるのです。

  • 科目別の支出額
  • 交際費等の額から控除される費用の額
  • 交際費等のうち接待飲食費の額

逆に補助科目の設定をしていない場合は、総勘定元帳を分析して申告書に転記すべき数値を算出しなければなりません。
まして、期中に一人あたり5,000円以下か5,000円超かの判定をしていない場合は、申告時に改めて作業を行わなければならず、間違った処理になってしまうこともあるでしょうし、決算作業に大幅な時間を割かなければならなくなるかもしれません。
作業の質を高めたり、時間を平準化したりするためにも交際費に関する補助科目の設定を行うようにしましょう。

>>経費精算のペーパーレス化、電子帳簿保存法対応を検討しているなら、国内導入社数No.1※の経費精算システム「楽楽精算」

※デロイト トーマツ ミック経済研究所「電帳法対応進むクラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2021年6月号: https://mic-r.co.jp/micit/)より

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」

著 者 公認会計士 中尾 篤史

CSアカウンティング株式会社専務取締役  公認会計士・税理士 日本公認会計士協会 租税調査会 租税政策検討専門部会・専門委員 会計・人事のアウトソーシング・コンサルティングに特化したCS アカウンティング㈱の専務取締役として、中小企業から上場企業及びその子会社向けに会計・税務のサービスをひろく提供している。 著書に「BPOの導入で会社の経理は軽くて強くなる」(税務経理協会)「たった3つの公式で「決算書」がスッキリわかる」(宝島社新書)「経理・財務スキル検定[FASS]テキスト&問題集 」(日本能率協会マネジメントセンター)など多数

CSアカウンティング株式会社