税務調査におけるチェックポイント -基本編-

今回は税務調査においてチェックをされるポイントについてお話をして参ります。

どのような視点で調査官が税務調査を行うのかを知っておくことで、日頃の実務でのミスをなくすようにしましょう。
今回は、どのような会社でも必ずと言っていいほど税務調査で確認がされる売上、在庫、グループ内取引のことを中心にお話しして参ります。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」です。

 

必ず見られる売上の期ズレ

税務調査において初期段階で見られるのが、売上関連項目です。
売上については、主に次のような視点でチェックがされます。

  1. 売上を除外していないか?
  2. 今期の売上を翌期以降にずらしていないか?

1.の売上を除外しているパターンの場合は、そもそも売上を会社の帳簿から外しているような事象ですから脱税に他なりません。
会社の預金口座に入れるべき売上代金を会社以外の口座に入れることで売上を除外するケースがあります。
会社の社長が売上除外に加担している場合は、社長の個人口座であったり、社長の配偶者の口座に入れてしまうことが考えられます。現金商売の場合は、レジを打たないなんていうケースも考えられます。

税務調査でたまに見つかるのは、従業員が不正をしているケースです。
本来であれば、会社の口座に売上代金をもらうのに、そうせずに従業員本人がお客様からお金を現金で収受してしまうのです。
従業員の不正が分かるという点では、会社にとっていいことかもしれませんが、組織の内部牽制が利いていないという視点で考えると、仕事の流れなどを変える必要があるかもしれません。

ただし、1.のような売上を除外するケースは現金取引が恒常的な会社でなければあまり見受けられることは少なくなっているように思います。

2.の売上を翌期に先送りしているケースは、必ずと言っていい程、確認の対象となります。
例えば、3月決算の会社が3月に引き渡しをして売上を計上しなければならないにも関わらず、4月の売上にしているようなケースです。
調査官は、引き渡しの日付けが実際3月なのか4月なのかという観点で資料を確認します。
納品書や検収書をチェックすることで売上計上日の妥当性を確認することになります。

 

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在庫は粉飾されやすい

在庫の金額が少ないとその分だけ売上原価が多く計上され、結果として利益は少なくなります。税金の計算で考えると、所得が少なくなるということは、税額が少なくなりますので、税務調査官は在庫の計上漏れがないかという視点で確認をします。
期末近くに仕入れた商品等が在庫として計上されずに原価に計上されていないか、棚卸表に改ざんがないかどうかという点の確認がされると思います。

最近は、仕掛計上漏れという視点で調査を受けることも多いです。
例えば、ゲームの製作会社が、製作途中のゲームが完了しないままに期末を迎えた場合、そのゲーム製作にかかる原価があれば仕掛品として貸借対照表に計上する必要があります。
原価の中には、ゲーム製作に関する人件費もありますが、それらの人件費を仕掛品として計上していなかったり、計上しているとしても計上する金額を過少にしる場合は、指摘を受けます。

 

経費の中でもグループ間取引は注目の的

経費に関しては、税務調査では必ずチェックされますが、チェック対象として抽出される取引としては次のようなものがあります。

  1. 多額な取引かどうか
  2. グループ内の企業との取引かどうか

1.については、税務上否認することとなった場合に、多額の追徴等が発生することになるので調査官としては念入りに見ることになります。チェックする際には、請求書だけではなく、支出する経緯がわかる稟議書などを見せるように依頼されますので、稟議書に経費として計上することができる妥当性が分かるように記載をしておく必要があります。

2.のグループ内の取引がチェック対象になるのは、実態がないにも関わらず所得を移転させるために無理矢理取引を生じさせている可能性があるからです。
グループ内の黒字の会社が赤字の会社に対して、多額の手数料を支払うことで黒字が圧縮されて、納税額を引き下げることが可能となります。
税務調査官は、このような場合に取引の実態があるか、実態がある場合に金額に妥当性があるか、という視点が確認をしてきます。

特に金額の妥当性については、グループ内なので、なあなあに決めてしまっているケースもあると思いますが、必ず金額が妥当かどうかという点については考慮して金額を決定するようにしましょう。
妥当かどうかを判断するひとつの基準は、同じ仕事をグループ外の企業に依頼したらいくら払うのか、つまり第三者に対してならいくら支払うのかです。
第三者に支払うべき金額で基準にグループ内の取引金額を決定していれば調査で否認される可能性は低いと思います。
金額決定の経緯も稟議書に書いておくことが肝要です。

今回は多くの会社で必ずチェックを受けるような税務調査時のポイントについてお話をしました。気になる点がある場合は、備えを万全にしておきましょう。

 

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● 著者
中尾 篤史

中尾 篤史

CSアカウンティング株式会社専務取締役  公認会計士・税理士 日本公認会計士協会 租税調査会 租税政策検討専門部会・専門委員 会計・人事のアウトソーシング・コンサルティングに特化したCS アカウンティング㈱の専務取締役として、中小企業から上場企業及びその子会社向けに会計・税務のサービスをひろく提供している。 著書に「BPOの導入で会社の経理は軽くて強くなる」(税務経理協会)「たった3つの公式で「決算書」がスッキリわかる」(宝島社新書)「経理・財務スキル検定[FASS]テキスト&問題集 」(日本能率協会マネジメントセンター)など多数

CSアカウンティング株式会社

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