棚卸資産の評価方法をマスター! その6:移動平均法

棚卸資産の評価で、平均原価法のひとつに移動平均法があります。期中での棚卸資産の把握ができるため、会社の業績をリアルタイムに知れる方法となりますが、どのような処理方法なのかは、知らないという人も多いでしょう。
今回は、移動平均法とは何か、移動平均法のメリット・デメリットの他に実際の計算方法などの実務内容にも触れていきます。ぜひ参考にしてみてください。

 

移動平均法とは

移動平均法とは、棚卸資産となる商品を仕入れるたびに平均単価を算出し、算出された単価を売上原価として、期末の棚卸資産の評価額とするものです。
具体的にどのような方法によって平均単価を算出するのかは、後ほど解説しますが、移動平均法を採用することで、期中や期末で棚卸資産の評価ができるということを覚えておきましょう。
仕入の受け入れのたびに平均単価を算出することで、なんとなく平均単価を予測するのではなく、しっかりと計算式に基づくことになりますので、売上単価を確定することなどにも役立ちます。
また、移動平均法は平均原価法のひとつとなり、他に一定期間に仕入れた棚卸資産の単価をまとめ、平均単価を算出する総平均法などもあります。

 

移動平均法のメリット・デメリット

移動平均法のメリット・デメリットにはどのようなものが考えられるのかを見ていきましょう。

メリット

移動平均法は、商品を受け入れるたびに、平均単価を算出していきますので、期中でも棚卸資産の単価把握ができる点が大きなメリットでしょう。安定して販売業績を把握することが可能なため、精度の高い経営状態を知ることができます。

デメリット

移動平均法は、商品を受け入れるたびに平均単価を算出する方法です。そのため、都度計算する手間がかかることがデメリットといえます。取り扱う商品が多い場合は、それだけ算出する頻度が高くなりますので、実務での負担があるでしょう。

なお、平均原価法のひとつである総平均法では、一定期間の間でまとめて平均単価を算出しますので、手間が大幅に削減されますが、期中での棚卸資産の単価を把握することはできません。これが総平均法におけるデメリットと言えるでしょう。双方の特徴をよく理解した上で、原価計算の方法を選択することをおすすめします。

 

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移動平均法の会計実務

移動平均法ではどのように平均単価を算出しているのか、ひとつの商品の流れを例に確認してみましょう。

平均単価=(受入棚卸資産取得原価)+(在庫棚卸資産金額)/(受入棚卸資産数量+在庫棚卸資産数量)

たとえば、4月1日から3月31日までの決算期において、商品を以下の期日で仕入れたと仮定します(期首の単価が最初の計算の基準値になります)。

・4月1日期首・・・・・・50個:単価100円
・5月20日仕入・・・・・・50個:単価120円
・8月1日仕入・・・・・・20個:単価130円

商品を受け入れるたびに平均単価を算出しますので、5月20日に仕入をしたときに、計算をします。

(期首商品の50個×100円+50個×120円)/(50個+50個)=110円

5月20日までの平均単価は110円となります。続いて、8月1日に仕入をしたときの計算です。

(8月1日時点の商品100個×110円+20個×130円)/(100個+20個)=113円

8月1日に仕入れたときの平均単価は113円となります。

当然ながら仕入れるばかりではなく、途中で販売されて出ていくこともあります。その場合、在庫数が減少した数で平均単価を算出することになりますので、仕入とともに、売上での在庫移動もしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
5月20日の単価計算後に、50個の売上が発生したときには、8月1日の計算式で、(100個+20個)の部分は、(50個+20個)で計算されることになります。

また、上記の計算式の例は、1年の中での在庫移動の頻度が少ないことを想定していますが、実際には、1ヶ月の中での数回の取引があることが一般的です。そのたびに算出することになりますので、担当部署は漏れのないように気を付けましょう。
このように手間はかかりますが、平均単価をあいまいに決めることを避けられるため、しっかりと現状の相場を見極めることができます。さらに仕入の段階での価格変動を早く知ることができる点でも安心した在庫管理につながります。

 

まとめ

今回は移動平均法とは何か、また移動平均法のメリット・デメリットや実際の計算方法などについて紹介しました。
取り合う商品のバリエーションが多い業種の場合、仕入や売上の頻度によっては、非常にこまめな管理が必要で手間がかかります。
計算にミスがあると、次の仕入れの計算式にも影響が出てくるなど、次々と不正確な単価が設定されることになります。そのため、日々の単価(相場)を把握できるというメリットの一方で、会計処理に手間がかかることは十分に理解した上で選択するようにしましょう。
しかしながら、期中でいつでも平均単価が把握できることは大きなメリットと言えるでしょう。平均原価を算出する方法を迷っている場合は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

 

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● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。