消費税の超基本!軽減税率導入に合わせて消費税をおさらい!

ついに日本でも導入された軽減税率(多段階税率)。適切に対応するためにも、まずは「消費税の基礎」について知っておく必要があります。誰が負担する税金なのか、どうやって納税額は計算されるのか、その概要について学んでいきましょう。

消費税には国税と地方税が混ざっている

消費税は国税と地方税に分けられます。一般的には8%、10%など一括して表記されていますが、実際に申告書を作成するようなときには、この分類について知っておく必要があります。

  • 2019年9月まで
  •  国税 6.3% 地方税 1.7% 計8.0%

  • 2019年10月から
  •  国税 7.8% 地方税 2.2% 計10.0%

  • 軽減税率対象
  •  国税 6.24% 地方税 1.76% 計8.0%

消費税の負担者は文字通り「消費者」

消費税は商品やサービスを購入し、消費する人が負担者となる税金です。
その一方、消費者が支払った消費税を税務署に納めるのは事業者です。つまり「負担をする者」と「納税者」が異なります。このような税金を間接税と呼びます。消費税以外には酒税やタバコ税、ガソリン税などが該当します。

なお、負担者と納税者が一致する税金を直接税と呼びます。法人税や住民税、事業税などは直接税です。

納税額の計算方法

各事業者が次の算式により計算します。

納税額 = 売上などから預かった消費税 - 費用などで支払った消費税

売上だけでなく、費用側の消費税を把握することが必要です。収益、費用(固定資産の取得なども含める)など、すべての取引について「消費税がかかっているか」「どの税率が適用されているのか」を把握しなければなりません。

軽減税率の導入について、飲食物や定期発行の新聞などを販売していない人は、売上については特に分類が不要です。しかし、費用側については「飲食物等の購入」について分類をしなければなりません。軽減税率の導入は、すべての事業者の消費税計算に影響を及ぼすのです。

消費税の対象となる取引の種類

消費税は取引の内容によって扱いが異なるため、以下の4つの分類に分けて考えます。

  • 課税取引
  • 一般的な商品、サービスの販売が対象。
    軽減税率導入後は適用される税率に注意。

  • 非課税取引
  • 課税対象になじまないものや社会政策的配慮から限定的に定められる。
    例として(土地の譲渡および貸付け、預貯金の利子、商品券売買、国などの役務提供、社会保険医療の給付など 住宅の貸付 その他)
    ※参考:国税庁「No.6201 非課税となる取引」

  • 免税取引
  • 国際競争力確保のため、輸出取引については消費税が免税(0%課税)。
    一見すると非課税取引や不課税取引と変わらないが、納税額計算に影響を及ぼすため、特に輸出業者を中心に正確に分類する必要がある。

  • 不課税取引
  • 消費税課税対象は「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」であるため、以下のようなものは対象にならない。

    • 賃金給与(雇用の結果であり事業ではない)
    • 寄付金(対価性がない)
    • 保険金の受取(「資産の譲渡等」の対価ではない)
    • 資産の廃棄、盗難、滅失など(「資産の譲渡等」に当たらない)

この分類を正しく行うことが、消費税計算では非常に大切です。特に非課税・免税・不課税は混同しがちなので、注意をしましょう。

参考:国税庁「No.6209 非課税と不課税の違い」

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小規模事業者の特例

繰り返しになりますが、消費税の納税者は事業者です。しかし、その計算は複雑で、また小規模な事業者にとっては納税資金の確保も大きな負担となります。そこで小規模事業者については、いくつかの特例が用意されています。

納税義務判定

売上高が一定の金額に達さない小規模事業者については、納税義務が免除されます(免税事業者)。

消費税では、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます

 ※特定期間における課税売上高による判定や、資本金などによる別途の判定もある

参考:国税庁「No.6501 納税義務の免除」

小規模事業者にとって、免税期間の活用はとても有利な制度です。しかし、2023年10月以降にインボイス制度が始まると、免税事業者であることが原因で取引先から値下げや取引停止を強いられる可能性があります。小規模事業者にとっては「免税事業者であることのメリット」と「取引先から強いられるデメリット」を慎重に検討する必要が出てきます。

経理プラス:インボイス制度とは?消費税軽減税率導入時の留意点

簡易課税制度

上述の通り、消費税計算では「収益と費用の両方について」すべての取引を把握する必要があります。しかし、規模が小さな事業者は対応するのが難しいのも実情です。そこで、一定規模に満たない事業者については、特例の適用を希望することで「収益の金額だけから消費税額を計算する」ことが認められています。

その課税期間に係る基準期間における課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を提出していると適用されます。この場合、課税売上高から事業分類に応じて納税額を計算します。

参考:国税庁「No.6505 簡易課税制度」

簡易課税制度を活用すると、計算の手間が省けるだけでなく、納税額が大きく減る事業者にとって有利な結果になることが珍しくありません。その一方、収益のみしか計算に用いないため、大規模な設備投資などを行った場合には、事業者に不利な計算を迫られてしまうこともあります。

今回は概要のみの確認ですが、消費税の計算ではさらに以下のような論点があります。

  • 課税売上割合(売上の中に課税取引が占める割合)
  • 期間をまたいだ調整(課税売上割合の著しい変動や一定の固定資産を転用した場合など)

軽減税率導入により、消費税計算はより難しくなっていきますので、継続的に学習していくことが重要です。

まとめ

消費税は国税と地方税が含まれていて、負担者と納税者が異なる間接税にあたります。各事業者は、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた残額を納税するため、売上、費用ともに適用されている税率を正しく把握しなければなりません。そのため、各取引について課税、非課税、免税、不課税に正しく分類することが、正確な納税額計算に必須です。また、小規模事業者に向けては、納税義務の免除や簡易課税制度といった制度も用意されています。経理担当者は、これらの内容を全体的に学ぶ必要があります。

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● 著者

高橋 昌也

高橋 昌也

高橋昌也税理士・FP事務所 税理士 1978年神奈川県生まれ。2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。