早期退職制度とは? 処理方法や日本基準と国際基準の違いとは?

早期退職制度とは? 処理方法や日本基準と国際基準の違いとは?

従業員の事情や企業の雇用調整など、さまざまな理由によって退職者が出るケースがあります。雇用調整などで早期退職を行う企業もあり、その経理処理については確認しておきたい項目ではないでしょうか。

今回は、早期退職の概要や退職金の計上の仕方などについて解説していきます。退職者が出たときにスムーズに手続きができるよう、ぜひ本記事を参考にしてください。

早期退職募集に伴う退職金とは

従業員が退職するタイミングは、大きく分けると「定年退職」と「早期退職」の2つがあります。定年退職とは、企業が定める年齢(定年)を全うして退職するものです。一方、早期退職は、定年を待たずに退職するものです。個人の都合によって早期退職する希望退職もありますが、企業が業績などの悪化で雇用調整が必要になり、早期退職となるケースもあります。

早期退職者の募集について

早期退職は、制度として取り入れている企業も少なくありません。日本の企業には終身雇用として長く勤務を続ける思想が定着していました。賃金も年功序列で、長く勤務することで収入がアップするという考え方が一般的とされていたわけです。

しかし、近年は終身雇用という形も確実なものではなくなりつつあります。企業は自社の業績によって早期退職を促すこともあるということは、すでに一般的に認知され始めているでしょう。このように退職者を企業が募り、従業員が応募することによって退職するのが早期退職制度です。

早期退職支援制度とは

早期退職制度は、一般的に退職金が割増しされることが特徴です。早期退職というと会社の業績悪化をイメージするかもしれませんが、必ずしも「早期退職=業績悪化」というわけではありません。従業員の将来の目的を尊重する前向きな退職もあるからです。

また、早期退職制度と混同しやすいものに、選択定年制があります。選択定年制は、定年を60歳にするか65歳にするかなど、あくまで定年の歳を選択できる制度であり、早期退職制度とは異なるものです。

早期割増退職金の費用計上について

一般的な定年退職、自己都合による退職の場合は、「退職金」または「退職給付引当金」勘定で経費計上します。

 借方貸方
退職給付引当金    3,000,000円  当座預金       3,000,000円

一般的な退職金は、損益計算書の販売費及び一般管理費に計上されることがスタンダードな方法です。

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参考までに、役員の退職の場合は、従業員の退職金の勘定とは異なり「役員退職金」で計上します。

早期退職制度での退職は、退職金の割増分があります。「退職給付引当金」ではなく、「特別退職金」や「特別加算金」などになりますが、割増分の支給額が合理的と認められるなら一般販売費として経費計上をします。たとえば、期末時点で支給されていなくとも、経費計上できるということです。

早期退職で発生する割増分の支給額が「臨時的に発生した」とみなされる場合は、特別退職金の勘定で特別損失として計上することになります。一度に従業員が大量退職をした際の退職金の会計処理においても、臨時的なものとなる場合は、特別損失として計上されます。これは損益計算書の「特別損失」欄に計上されることになり、一般的な退職金とは区別します。

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国際基準と日本基準の違いなどについて

早期割増退職金の取り扱いについては、国際基準と日本基準で異なります。

日本基準の場合

日本では、早期割増退職金に関する費用について、「従業員が早期退職金制度に応募し、割増退職金が合理的とされる時点で費用処理できる」と定められています。期中においての実務上では、どのような影響があるのでしょうか。

期末時点で早期退職制度を利用した募集期間が完了していないとした場合、早期割増退職金の費用計上には以下のような二つの捉え方があるようです。

  1. 期末日前に早期退職金制度の実施を決めたが、期末日までには応募が開始されなかった(ただし、監査報告書日のとき応募期間は終了していた)
  2. 期末日前に従業員の早期退職の応募が開始されたが、期末日までに応募期間が完了していなかった(ただし、監査報告書日のとき応募期間は終了していた)

一般的には、期末日前に早期退職の実施決定など事象が発生しており、のちに金額が確定した場合は、計上する流れになります。

国際基準の場合

IFRSでは、早期割増退職金への考え方として、解雇給付で定められている内容が影響します。費用計上は次に挙げる時期のいずれか早い方の日と認識されています。

  • 企業が当該給付の申し出を撤回できなくなったとき
  • 企業がIAS第37号の範囲であり給付の支払いを伴うリストラクチャリング費用を認識したとき

日本と国際基準との違いは、早期割増退職金として認識するタイミングです。日本が「従業員が早期退職金制度に応募し、退職金額が合理的とされる時点での費用計上」に対して、国際基準では、「企業が計画を承認、影響を受ける従業員に対し計画の詳細を通知したとき」となり、日本での「従業員が早期退職金制度に応募したとき」よりも早い時系列であると考えられます。そのため、費用計上の時期の基準が異なるケースがあるでしょう。

まとめ

早期退職金制度には、「従業員側のメリット」と「企業側のメリット」がそれぞれ存在します。目的に応じて前向きな取り組みになることもありますが、企業にとしては業績によって早期退職制度を実行するケースも少なくありません。大きな景気変動も考えられる背景もありますので、早期退職の概要や会計処理などの実務などを参考にしてみてはいかがでしょうか。

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この記事は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。