複数ある収入印紙の貼り方は?消印の押し方と複数通の書類への対処法

複数ある収入印紙の貼り方は?消印の押し方と複数通の書類への対処法

経理の日々の業務に欠かせない「収入印紙」。しかし、いざ貼るとなると正しい場所や貼り方、複数枚必要な時の扱い方などが分からず、困ってしまうこともあるでしょう。この記事では収入印紙について、基本的な知識から複数枚の貼り方や消印の押し方、さらには複数の書類への対処法まで詳しく解説していきます。また、Q&A形式でよくある疑問にも答えていますので、ご自身の業務に役立ててみてください。

また、収入印紙の詳細については以下の記事をご参照ください。

経理プラス:【税理士監修】領収書に貼る収入印紙はいくら?金額や種類、購入方法を解説

そもそも収入印紙とは?

まずは、収入印紙の意味や注意点を確認しておきましょう。

収入印紙とは?

収入印紙は、税金や手数料などの収納金の徴収のために国が発行する証票です。契約書や領収書などの課税文書への貼り付けが求められ、納税を証明するための目的を持っています。収入印紙の購入場所は郵便局や役所、コンビニなどがありますが、コンビニでは高額の収入印紙は取り扱っていないことが多いでしょう。

収入印紙の取り扱い時の注意点

収入印紙の取り扱い時の注意点として、収入印紙を貼り忘れた場合に課される過怠税があります。これは、本来納めるはずの収入印紙代の3倍の金額となります。しかし、収入印紙を貼り忘れた書類を受け取った側に、過怠税は課されません。

また、収入印紙を貼った後は消印を忘れずに押すことが必要です。こちらも、押し忘れた場合は収入印紙の不備にあたり、過怠税が課される可能性があります。

なお、受け取った領収書に収入印紙がない場合でも、書類の法的効力自体は有効です。

複数枚の収入印紙の貼り方と消印の押し方

複数枚の収入印紙を貼る場合について、正しい貼り方や消印の扱いについて確認していきます。

複数枚の収入印紙の正しい貼り方

複数枚の収入印紙を貼る場合、書類のタイトルが記載されている部分の左右いずれかの余白に貼ることが一般的です。ただし、厳密には収入印紙を貼る場所は決まっていないため、適切な場所を選んでください。

また、2枚以上の収入印紙を貼る場合は、上下または左右に並べて貼ると良いでしょう。なお、請求書の場合は貼り付け場所が指定されていることがありますので、それに従ってください。

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収入印紙を複数枚貼るときの消印の押し方

消印の押し方

複数枚の収入印紙を貼った場合でも、すべての収入印紙に消印を押すことが必要です。消印は収入印紙の彩紋(模様)にかかるように押します。押す場所は印紙の上下左右どこでも良いのですが、1枚ずつ押すか複数の収入印紙にまたがって押すという方法もあります。そして、印影が収入印紙と書類にまたがるように押すことが大切です。

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使用する印鑑

消印に使用する印鑑は、契約当事者のどちらの印鑑でも構いません。ただし、領収書の場合は作成者が押すことが多いでしょう。

また、実印や角印、ゴム印など、印鑑の種類については特に規定はありません。会社名や氏名、屋号などが入っている印鑑を使います。印鑑の代わりに、ボールペンなど消えないペンを使って署名することも可能です。

複数の契約書に収入印紙を貼る際の注意点

複数の契約書に収入印紙を貼る際には、以下の点に注意してください。

すべての原本に収入印紙を貼り付ける

課税文書となる契約書の原本を当事者の人数分作成するときは、すべての原本に収入印紙を貼り付ける必要があります。「写し」などと表示された文書であっても、契約の成立を証明する書類の場合は例外なく収入印紙の貼り付けが必要です。収入印紙を貼る場所は、表紙の右上もしくは左上の余白に貼ることが一般的です。

消印以外に必要な押印を忘れずに行う

さらに、同一の契約書が複数ある場合は割印を押します。これは、契約書同士に関係があることを示すために押すもので、複数の契約書にまたがるように押すことが一般的です。また、場合によっては割印の他に必要になる押印もあります。例えば契印、捨印、止印、訂正印などがそれに該当します。

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正しく収入印紙を貼って、過怠税の課税を防ごう

本記事では、収入印紙の貼り方、特に複数枚の収入印紙の貼り方と消印の押し方、そして複数の契約書に収入印紙を貼る際の注意点について解説しました。収入印紙の適切な取り扱い方法を理解し、過怠税が課されるのを避けることが重要です。

収入印紙の貼り方についてのQ&A

収入印紙の貼り方について疑問を抱かれがちな項目を、Q&Aでご紹介します。

Q1.電子契約にも収入印紙は必要?

電子契約の場合は、基本的には収入印紙は必要ありません。これは、電子文書に物理的に収入印紙を貼ることができないためです。

Q2.収入印紙を貼り間違えた場合の対処法は?

収入印紙を貼り間違えた場合、剥がして再度貼り直すことは認められています。ただし、収入印紙が破損した場合は新しいものに交換が必要です。

Q3.収入印紙の貼り付けが必要な課税文書の種類は?

主な例としては、契約書、領収書、請求書などがあります。ただし、すべての契約書や領収書に収入印紙を貼るわけではなく、金額や内容によります。

Q4.収入印紙を貼らなくていい場合はある?

収入印紙を貼らなくていい場合もあります。例えば、契約金額が一定金額未満の場合や、電子契約の場合などです。

Q5.収入印紙はどちらが費用を負担して貼る?

原則として、収入印紙の費用は文書を作成する側が負担します。しかし、契約により変わる場合もありますので、具体的な取引の状況を考慮する必要があります。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

監修 税理士 臼井 雄志

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税理士、行政書士、臨床工学技士。大学は臨床工学科へ進学し、臨床工学技士免許を取得しました。クリニックで透析治療に従事した後、税理士法人に勤務しながら税理士試験を受験し、税理士資格を取得。現在は税理士事務所を経営しています。