【リース取引の経理】オペレーティングリースとは?仕訳から概要・会計処理などを解説
あなたの企業では、リースを活用していますか?自動車やコピー機、工作機械、果ては太陽光発電システムまで、多種多様な資産をリースで導入することができます。初期費用が抑えられ、固定資産等の会計処理負担が減るというメリットがあります。ただ、経理担当者の中には、その仕訳や会計処理に不安を抱えている人も。今回は、リース取引の中でも「オペレーティングリース」の借手側に焦点を当て、概要や会計処理について解説します。
なお、2019年1月1日以降に開始する事業年度からは、「新リース基準」が適用されます。
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オペレーティングリースとは
オペレーティングリースとは、リース取引の一部です。「リース取引」とは、「リース会社が設備を購入し、それをリース期間に応じて賃貸する」という取引形態です。導入する企業は、利用料としてリース料を支払います。
このリース取引は、大きく分けると「オペレーティングリース」と「ファイナンスリース」の2形態に分類されます。
オペレーティングリース取引とは
オペレーティングリース取引とは、「借りているだけ」の取引。契約期間に応じたリース料を支払い、期間が終わると相手にリース資産を返却せねばなりません。
実際に所有しているわけではないので、資産として計上する必要もなく、リース資産が故障した時は、貸主がその費用を負担します。
日常生活に置き換えると、レンタルビデオなどと同じようなお金・モノの動きをイメージしてもらうと、分かりやすいと思います。
ファイナンスリース取引との違い
一方、ファイナンスリース取引は、すこし実態が異なります。ファイナンスリース契約は、中途解約ができず、故障した時の費用は試用者が負担する必要があるという特徴があります。つまり、リースという名称はありますが、実態としては「お金を借りて、資産を購入して、それを使いながら返済する」という状態。ローンを組んで購入したことになります。ファイナンスリース取引は、リース期間終了後に所有権が移転するか否かで、さらに「所有権移転ファイナンスリース」と「所有権移転外ファイナンスリース」に分類されます。
また、オペレーティングリースは、リース料の総額がリース資産の価格より少なくなるのに対し、ファイナンスリースは、リース料の総額がリース資産の価格を上回るという特徴があります。
リース期間についても、違いがあります。オペレーティングリースは、柔軟に期間を設定することが可能です。しかし、ファイナンスリースの場合は、最短でも法定耐用年数の60%~70%の期間を設定する必要があります。
このように、オペレーティングリースと、ファイナンスリースの間には、経済実態において大きな違いがあるのです。
オペレーティングリースの事例
リース取引の対象物は広く、コンピューター等のIT関連機器や工場で使う機械、建設機材、車、建物…ほぼすべてのものが該当します。ただ、オペレーティングリースの場合は、一つ制限が加わります。それは、「残価設定が可能かどうか」ということ。つまり、リース期間終了後に、中古市場性があることが条件で、対象物件は汎用性があるものに限られます。
オペレーティングリースのメリット
オペレーティングリースを活用することのメリットは、以下のとおりです。
- 必要に応じて、柔軟なリース契約が行える
たとえば3年間という短期間リースも可能。途中解約もできます。 - オフバランス効果が得られる
オペレーティングリース取引をする資産は、貸借対照表に計上する必要がありません。これを「オフバランス効果」と呼びます。総資産にリース資産が含まれないので、株式市場からの評価を高めることが見込めます。 - 初期費用が抑えられる
リース取引をする資産は、概して総額が大きいもの。自社で購入しようとすると費用の工面に苦労しますが、リース取引であれば月々の支払が固定されるので、負担が減ります。 - 会計負担が軽減する
オペレーティングリース料金は、賃貸借処理。請求書通りに仕分けするだけでいいので、会計処理が非常にシンプルです。
オペレーティングリースの仕訳・会計処理
では、最後にオペレーティングリースの会計処理について確認しましょう。
オペレーティングは、「契約期間のみ、リース会社から借りているだけ」という経済実態です。そのため、会計処理としては通常の賃貸借処理と同じです。たとえば、100万円の資産を、1ヶ月5万円で10ヶ月リース契約を締結したと仮定します。
この場合、取得時(リース契約開始時)や、決算時に、特段仕訳をする必要はありません。リース料支払い時にのみ、下記の通り請求書に沿った仕分けを行うだけで結構です。
リース料 | 5万円 | 現金 | 5万円 |
まとめ
いかがでしたか。2018年までのリース取引には複数の形態がありますが、オペレーティングリースはその中でも一番シンプルなものでした。なお、冒頭でもお伝えした通り、2019年1月1日以降に事業年度開始した分については、「新リース基準」が適用され、ファイナンスリースもオペレーティングリースも、ひとつに一本化されています。最新の情報に注意して進めるようにしましょう
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