【経理ニュース速報】オリックスが会計ソフト「弥生」を800億円で買収−背景とその狙いとは?—

【経理ニュース速報】オリックスが会計ソフト「弥生」を800億円で買収−背景とその狙いとは?—

総合リース業で国内首位の売上を誇るオリックスは11月13日、会計ソフト大手の弥生を買収すると発表しました。
買収金額は約800億円。年内でMBKパートナーズより弥生の株式99.9%を取得し、顧客基盤の拡大と非金融分野の事業拡大を狙います。

[引用]オリックスは小規模事業者向け業務ソフトウエア大手の弥生(東京・千代田)を買収する方針を固めた。買収金額は既存借り入れの返済分を含めた総額で800億円台前半になる見通しだ。弥生が持つ120万社を超す豊富な顧客基盤を生かし、リースなどオリックスの取引を拡大させる。(2014年11月13日 日本経済新聞)

買収までの背景—弥生とは—

弥生は、1978年に米Intuitの日本法人として創業、2003年にMBO(Manegement Buyout:経営陣による自社の買収)で独立し現在の弥生という社名に変更、2004年にライブドアに買収され、その後2007年にアジア系投資ファンドMBKパートナーズに売却されて今回の買収に至ります。
主力商品は「弥生会計」や「弥生の青色申告」など、会計ソフトのNo.1企業であり、小規模事業者向け会計ソフトで国内シェアは68%(2014年)となっています。

【参考】2004年:ライブドアによる弥生買収
ライブドアは、サポートでも安定した収益を上げる弥生をソフト事業の中核に据え事業の安定化を図る目的に加えて、弥生の顧客基盤を活用しライブドアの金融サービスを拡大するという目的で買収を行いました。

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オリックスの弥生買収の狙い

オリックスは、リースを始め貸付金や保険など幅広い金融事業を手掛けており、顧客としては大企業や中堅企業が中心となっています。
オリックスが弥生を買収する狙いは大きく二つあり、ひとつは顧客基盤の拡大、もうひとつは非金融分野の事業拡大です。

1つ目の狙い:顧客基盤拡大

オリックスは弥生を買収することで、従来の大企業から中小企業に至るこれまでの顧客に加えて、これまでアプローチが手薄だった小規模事業者という新たな層まで、顧客基盤を一気に拡大するという狙いがあります。

中小企業庁の調査によると日本の小規模事業者数は約334万社です。弥生の顧客は全国に125万社以上いるため、日本の小規模事業者の4割近くが弥生のユーザーということになります。つまりオリックスには、弥生と組むことによってこれまでリーチできていなかった小規模業者へのアクセスが可能になるという狙いがあるのです。
また、弥生にとっても、オリックスからオフィス用品などを一括して購入することで仕入れ費用を抑えることや貸しオフィスなどが提供されることにより、顧客へのサービスを拡充できるという利点があります。

2つ目の狙い:非金融分野の事業拡大

弥生を買収するオリックスのもう一つの狙いは「非金融分野の収益を伸ばすこと」です。
オリックスはリース、ファイナンス、レンタル、シェアリング、保険など2014年3月期の売上高にあたる営業収益の4割弱が金融分野の収益となっています。日銀の大規模な金融緩和で低金利が続いており、弥生の買収で収益源を非金融分野に多様化させる狙いがあります。

オリックスから見た弥生の魅力

オリックスから見た弥生の魅力は「顧客基盤として小規模事業者を多く抱えていること」に加えて、「安定した事業基盤」、「市場の成長性」、「新たな事業シナジー」など多くあります。

・安定した事業基盤
弥生では、パッケージソフトを購入したユーザー約125万社のうち、約41万社が有料会員に登録しています。その会員企業から得た年会費などのストック収入は、売上全体の約8割を占めており強固な収益構造を構築しています。また有料会員の継続率は約9割と高く、買収により長期安定的な収入基盤を得られることが予想されます。

・市場の成長性
業務ソフト市場は、消費税増税、マイナンバー制度など法改正がある都度ソフトのアップデートが必要であり、毎年20万社以上が起業している実態や、クラウド型ソフトの提供といった付加価値の高いサービスの拡充が図られているなど、魅力的な成長市場であると言えます。

・新たな事業シナジー
オリックスとしては、弥生の顧客向けにオフィスレンタル事業、節税メリットのある商品など、弥生の顧客基盤を活用してサービスの提供を想定しています。平日に休みを取ることの多い個人事業主に対して顧客サービスの一環としてグループが運営するホテルやゴルフ場、水族館などのレジャー施設の利用を優遇して集客し、平日の稼働率を高めることなども検討されています。
 

買収完了後、オリックスは複数の役員を派遣しますが、社名・商品名はもとより、事業内容を大幅に変更することなく、弥生の現経営体制そのままに事業拡大をはかっていく予定となっています。

どう弥生が変わっていき、新しいビジネスが生まれるのか、とても楽しみですね!
 

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● 著者

服部 峻介

服部 峻介

北海道大学経済学部卒。有限責任監査法人トーマツ入社後、上場企業の監査、内部統制、IPO支援、株価算定、M&A、不正調査等を実施。経営コンサルティング会社役員を経て、Seven Rich会計事務所を開業。スタートアップ企業を中心に、3年で160社以上の新規クライアントに対して会社の設立から会計税務、総務、ファイナンス、IPOコンサルなど幅広い支援を行っている。

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