前受収益をマスターしよう!仕訳方法と前受金や仮受金との違い

前受収益をマスターしよう!仕訳方法と前受金や仮受金との違い

日常的な取引では発生しませんが、決算処理を行う時に頻出する科目に「経過勘定」と呼ばれるものがあります。今回はその中のひとつ、前受収益について取り上げます。経過勘定の中ではあまり出てこない科目ではありますが、サブスクリプションなどの事業展開をしていくと、発生してくる可能性もあります。


前受収益とは

前受収益は、企業会計の慣行のひとつである企業会計原則において次のように定義されています。

前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。

ポイントは「すでにお金を受け取っている」という点です。代金はすでに回収していますが、その代金に対応する役務(サービス)の提供はまだ完了していません。サービスを相手に提供した時点で収益が計上されるため、回収した代金は当期の収益ではなく、次期以降に繰り越されるべきものです。

前受収益の具体例

前受収益は、具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 受取利息のうち、当期中に期限が到来していないもの
  • 家賃や地代のうち、翌期以降に充当されるもの
  • 受取手数料のうち、当期中に役務を提供していないもの

仕訳例)一年分の利息を受取。半分は翌期に帰属する

 借方金額貸方金額
現預金(資産)240円受取利息(収益)240円

決算時

 借方金額貸方金額
受取利息(収益)120円前受収益(負債)120円

翌期首

 借方金額貸方金額
前受収益(負債)120円受取利息(収益)120円

このように決算時に計上された前受収益は、通常は翌期首に振り替えられます。

前受金との違い

前受収益と混同される科目に前受金があります。両者の違いは“業態や提供している商品・サービスの性質”による部分が大きいです。
前受金は商品代金の一部や全部を事前に受け取っていた場合に使用します。

前受金の具体例

  • 建設工事における代金の一部入金
  • 不動産取引の手付金など

仕訳例)手付金3万円を受取。受注額は10万円

 借方金額貸方金額
現預金(資産)3万円前受金(負債)3万円

納品がないまま決算を迎えたら、前受金はそのまま計上しておきます。
納品が済んだ時点で以下のように前受金を売上に振り替えます。

 借方金額貸方金額
前受金(負債)3万円売上(収益)10万円
売掛金(資産)7万円
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仮受金との違い

同じ負債科目に仮受金があります。仮受金は文字どおり「仮」に受けるための科目です。入金時点で内容が不明である場合や、最終的な金額が未確定の場合に使用します。


仕訳例)普段取引のない相手から何かの入金があったが、内容がわからない

 借方金額貸方金額
普通預金(資産) 5万円仮受金(負債)5万円

後日、上記の振り込みは商品代金の入金であることがわかった 

 借方金額貸方金額
仮受金(負債)5万円売上(収益)5万円

仮受金は、決算書にそのまま残すことは好ましくない科目です。前受収益は「内容はわかっているが当期に帰属しない分」を振り返るためのものなので、仮受金との区別は容易です。

前受収益が発生しやすい業態

金融業・不動産業・保険業などは、とくに前受収益が出てきやすい業態です。前受収益は投資の世界に近い業態で用いられることが多く、そういった事業を行っている企業が少ないことから、あまり目にすることの多い勘定科目ではありません。

ただし、最近流行のサブスクリプション型のビジネスでは、前受収益が発生する可能性が高いといえます。IT系を中心に広まっている取引形態なので、新しい分野のサービスを展開するような場合には留意が必要です。

まとめ

前受収益は「継続的な役務の提供」を行っている際、代金を前払いで回収するケースにおいて発生します。収益の期間帰属を正しくするために必要な経過勘定科目です。同じ代金の前払いである「前受金」とは、取引の種類に応じて使い分けましょう。
前受収益は、不動産や金融など投資に近い業態で頻出する科目ですが、いわゆるサブスクリプションの形態でも出てきやすいため、新たな分野のサービスを展開する際には注意するようにしましょう。

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この記事は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

楽楽明細

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● 著者

高橋 昌也

高橋 昌也

高橋昌也税理士・FP事務所 税理士 1978年神奈川県生まれ。2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。