固定資産台帳と減価償却の関係とは?記載方法や計算方法を解説

固定資産台帳と減価償却の関係とは?記載方法や計算方法を解説

会計処理をしている中で、固定資産台帳をきちんと整理できておらず、確定申告のときに減価償却をスムーズに進められない方もいるのではないでしょうか。

金額にもよりますが、主な固定資産は償却資産として減価償却を行います。その際の資料の1つが固定資産台帳です。今回は、固定資産台帳について解説するとともに、減価償却をする際の計算方法、固定資産台帳の作成方法などを詳しくご紹介していきます。

固定資産台帳とは

固定資産台帳とは、事業用の固定資産を管理するための台帳を表し、「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」の3つに分けられます。この固定資産台帳を作成する主な理由としては、「税務処理」「会計処理」「資産管理」などが挙げられます。

固定資産台帳を作成すると、「税務処理」において減価償却を正しく行っているか明確することが可能です。税務調査の際に、固定資産台帳の提示を求められることも少なくありません。固定資産台帳は正しい減価償却と計上を証明する資料になります。また、決算時には減価償却をする際に固定資産台帳が必要不可欠ともいえるでしょう。

「会計処理」という点でいえば、確定申告の際に作成する貸借対照表と損益計算書において役立ちます。このときに減価償却勘定が使われるわけですが、その内訳を確認する資料として固定資産台帳が用いられます。

さらに、「資産管理」においても固定資産台帳は重要な役割を担います。企業が保有する固定資産の種類、所在、内容、耐用年数など必要な情報が記載されているため、台帳を確認し不要な固定資産があれば処分するなど適切な税務処理に繋げられるからです。

固定資産台帳は特に定められた書式はなく、企業が記載内容を自由に決めることができますが、一般的には次のような項目が記載されています。

  • 資産管理番号
  • 資産名
  • 資産区分
  • 勘定科目
  • 取得年月日
  • 取得価額
  • 個数 ・管理部署(ある場合)
  • 設置場所
  • 償却方法・償却率
  • 耐用年数
  • 減価償却額

固定資産台帳は、資産を取得するたびに増えていきます。一度台帳に記載して減価償却方法を確定してしまえば、基本的には台帳の内容に沿って償却されていきます。

なお、固定資産台帳については、こちらの「固定資産台帳とは?見方や作成方法、テンプレートを解説」で詳しくご紹介していますので併せてご覧ください。

固定資産台帳と減価償却

固定資産台帳に記載する項目には、減価償却方法や償却率、耐用年数など、減価償却にかかわるものが含まれます。固定資産台帳は、単に保有する資産管理のために作成するだけではなく、減価償却を計上する際の重要な資料になります。

減価償却とは

減価償却とは資産の取得費用を複数年にわたって費用計上することを指します。企業が保有する建物や車両運搬具、機械装置、器具備品などの一定の資産は、取得したときから時間の経過とともに価値が減少します。価値が減少する資産を「減価償却資産」といいます。

「減価償却資産」は、取得したときに全額を必要経費に計上するのではなく、先述の通り該当する耐用年数に応じて毎年分割し、一定の金額を必要経費として計上します。

なお、同じ固定資産でも土地や骨とう品といった時間が経過しても価値が減少しない資産は、減価償却資産に該当しません。

減価償却の計算方法

減価償却資産は、主に「定額法」と「定率法」の2つの計算方法を用いて減価償却を行います。

定額法

定額法は、基本的に毎年一定額を経費として計上する方法です。年度の途中で取得した資産は1年分を月割りで計算します。定額法の計算式は次の通りです。償却率は資産の耐用年数により異なります。

  • 減価償却費=取得価額×定額法の償却率

定率法

定率法は、残存価額を一定の割合で減価償却していく方法です。「定率」であるため、取得した初年度が減価償却は多くなり、徐々に少なくなります。定率法の計算式は次の通りです。

  • 減価償却費=初年度取得価額×定率法の償却率
  • 翌年度からは未償却残高×定率法償却率

少額減価償却資産の特例

企業の規模にかかわらず、10万円未満の少額減価償却資産は、取得価額の全額を損金算入できる即時償却が可能です。また、1つあたりの取得価額が20万円未満の場合は、残存価額なしで3年間の均等償却が可能です。

一定の要件に該当する中小企業においては、取得価額が30万円未満の少額減価償却資産に対して全額を損金算入できる特例があります。ただし、同じ事業年度内に適用できる資産の上限は300万円までと定められています。

実務での注意点については下記記事でご紹介していますので参考にご覧ください。

経理プラス:少額減価償却資産の基本と応用 ―決算月の節税も!日常の経理処理も!―

また、中小企業の特例措置は、令和4年3月31日から再度2年間の延長が見込まれていますが、最新の税制改正を確認するようにしましょう。

なお、以下の記事では定額法や定率法など減価償却について詳しくご紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。

経理プラス:【税理士執筆】定率法と定額法の違いって何?減価償却の基本を解説

固定資産台帳の作成方法

減価償却を正しく行うためにも、固定資産台帳を作成する際は上述でもご紹介したような資産の種類、取得価額、耐用年数、償却方法といった重要な項目を整理して記載する必要があります。ただし、書式として決められたものはないため、エクセルなどで作成したもので管理することも可能です。下記からエクセルで作成した「固定資産台帳テンプレート」をダウンロードいただけます。台帳作成の見本やサンプルとしてぜひご活用ください。

経理プラス:固定資産管理台帳テンプレート

まとめ

今回は、固定資産台帳の概要や作成理由、記載内容、減価償却の計算方法、固定資産台帳の作成方法などをお伝えしました。減価償却資産となる固定資産は実質10万円以上が対象です。個別に管理しなければならないため、煩雑になりがちです。

即時償却できない資産は年単位で管理することになるため、継続的に管理するためには社内で共有できる固定資産台帳の記載が重要になります。不要な固定資産を処分するなど一覧で判断することも容易になりますので、固定資産台帳の正確によって節税にも役立てましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」

著者 渡部 彩子

大学卒業後、自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門に在籍。経理・総務・人事の実務を経験し、同法人在籍中に日商簿記2級を取得。その後、保険・金融業界での経理業務の経験を経て、ライターとして独立。これまでの実務経験を元に経理業務をテーマとしたコンテンツ制作を中心に執筆。