「企業会計原則」の基礎知識 7つの基本原則とは

「企業会計原則」の基礎知識 7つの基本原則とは

企業会計原則の基本知識

会社の決算書というのは、利害関係者にとってとても大事なものです。それを見て、お金を貸すかどうか、取引するかどうか、株を買うかどうか、などを利害関係者は判断します。このような決算書が何のルールもなく会社ごとにバラバラの基準で作成されていたとしたら、決算書を見た人はどう判断したらよいかわからなくなります。そのため、会計の普遍的なルールとして定められているのが企業会計原則です。

会社法第431条において「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うもの」と定められており、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行の一つが企業会計原則です。そのため、法令により、企業会計原則に従って会計処理をすることが定められています。

各原則の概要

企業会計原則は、一般原則、損益計算書原則、貸借対照表原則で構成されています。このうち、一般原則には次の7つの原則が設けられています。

1.真実性の原則

「企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。」というのが真実性の原則です。
これは読んでそのとおりですが、会計報告が会社の真実な報告でなければ、何の意味も持ちません。真実でない会計報告は認められません。

2.正規の簿記の原則

「企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。」というのが正規の簿記の原則です。
正規の簿記とは、通常、複式簿記を指します。複式簿記の仕組みに従って、正確に仕訳を記帳し、総勘定元帳その他の会計帳簿を作成しなければなりません。

3.資本取引・損益取引区別の原則

「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」というのが資本取引・損益取引区別の原則です。
例えば、ある入金があったときに、これが資本取引として入金されたのか、それとも損益取引(売上代金など)として入金されたのかでは、大きな違いがあります。そのため、資本取引か損益取引かということを区別しなければならない、というのがまず挙げられています。また、利益剰余金は株主に対する配当原資となりますが、資本剰余金を配当原資とすることはできません。このように剰余金についても性質が異なるものは区別しておかなければなりません。

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4.明瞭性の原則

「企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。」というのが明瞭性の原則です。
会社の財務諸表(決算書)は利害関係者が閲覧しますので、利害関係者が判断を誤らないように明瞭に表示しなければならないという原則です。例えば、ある会社独自の勘定科目を使って貸借対照表や損益計算書を作ると、利害関係者はそれを見ても何のことかわからなくなります。勘定科目なども一般的に使われているものを用いて表示する必要があります。

5.継続性の原則

「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。」というのが継続性の原則です。
例えば、固定資産の減価償却方法について、ある期は定率法を採用し、ある期は定額法を採用するとなると、期間ごとに会計方針が異なることになり、期間比較することが困難になってしまいます。そのため、一度採用した会計方針は、変更するための合理的な理由がない限り、変更することは認められません。合理的な理由というのは、会計処理の前提となるような事実に変更があった場合や変更した方がより正しく会社の財政状態・経営成績を表示することになるような場合などが挙げられます。

6.保守主義の原則

「企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。」というのが保守主義の原則です。
これはとても大事な原則です。例えば、ある会社に対する売掛金が貸倒れになる可能性があるというときは、実際に確定するのを待たず速やかに損失処理しておくことが健全な財政状態を示すこととなります。このように、損失が生じる可能性がある場合は、それを速やかに処理しなければなりません。

7.単一性の原則

「株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。」というのが単一性の原則です。
銀行や株主提出用の決算書は利益を大きく見せて、税務申告用の決算書は税金を減らすため利益を少なくする、など複数の帳簿を作成することを禁止しています。当たり前ですが、いわゆる裏帳簿というものは作ってはいけません。

まとめ

企業会計原則というのは会計処理にあたっての基本的な原則です。上記で説明した一般原則の他にも貸借対照表原則、損益計算書原則もありますし、企業会計原則以外にも会計処理について定めるルールはたくさんあります。まずはこの基本的な原則を理解した上で、その他の会計処理についてのルールも理解していきましょう。

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● 著者

松本 佳之

松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士 1980年兵庫県に生まれる。2001年公認会計士二次試験合格。2002年関西学院大学商学部卒業、朝日監査法人(現あずさ監査法人)入所。2005年公認会計士三次試験合格、公認会計士登録。2007年税理士登録後独立し、北浜総合会計事務所を開設。監査法人勤務時代は企業公開部門に所属し、さまざまな実績を重ねる。