経理担当者が知っておくべき決算報告書の種類と作成方法

経理担当者が知っておくべき決算報告書の種類と作成方法

経理担当者であれば、決算報告書は聞き慣れた言葉の一つかもしれません。しかし、実際にどのような種類の書類から成り立っているのか、その詳細までは理解できていない方もいるのではないでしょうか。

今回は、決算報告書の種類や作成の仕方、提出期限などについて解説していきます。あらためて、しっかりと理解しておきましょう。

決算書報告書とは

決算報告書とは、企業における1年間の事業の結果をまとめた書類のことです。毎年作成して、税務署に提出しなければなりません。簡易的に「決算書」と呼ばれることもあります。

決算報告書の開示義務

決算報告書は、税務署への開示義務があるほか、上場企業や大会社の場合は金融商品取引法による開示義務があります。「大会社」とは、最終事業年度の貸借対照表上で資本金が5億円以上または負債の合計が200億円以上の株式会社のことです。

また、議決権比率3%以上の株主や債権者から請求があった場合にも、開示義務が発生します。この場合、会社の規模は問われません。

決算報告書の目的

決算報告書は、企業の収支状況から負債、資産状況なども把握することができる書類です。正確に作成され、開示されることによって、取引先や株主、債権者が著しく不利益を被らないように判断することができます。

決算報告書は、外部に向けて開示することだけが目的ではありません。自社の経営状況を客観的に分析する資料にもなるため、社内においても重要な役割を担う資料といえるでしょう。

決算報告書の種類

決算報告書と聞いて、貸借対照表や損益計算書のような代表的な書類をイメージされる方も少なくありません。しかし、実際には7つの書類から成り立っています。以下が決算報告書の種類です。

  1. 貸借対照表
  2. 損益計算書
  3. 株主資本等変動計算書
  4. 個別注記表
  5. 計算書類の付属明細書
  6. 事業報告書
  7. キャッシュフロー計算書

※製造原価報告書
(製造業の場合に減価報告書が損益計算書に添付される)

貸借対照表

貸借対照表はB/Sともいわれるもので、企業の資産、負債、純資産が記載されたものです。資産は、現金・預金などの流動資産と不動産などの固定資産、開業費などの繰延資産が記載されます。

負債は、返済1年以内の流動負債と1年以上の固定負債が記載され、純資産は自己資本と返済の必要がある他人資本が記載されます。

貸借対照表では、企業がどのように資金を調達しているか、どのように運用しているかを把握することが可能です。そのため、企業の財務状況を読み取る上でも重要な書類といえます。

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ビジネス書式テンプレート:貸借対照表

損益計算書

損益計算書はP/Lともいわれるもので、企業の1年間の営業成績が記載されたものです。損益計算書では、売上純利益、営業利益、当期純利益などが記載されます。売上高から一般経費(販売費及び一般管理費)を引いたものが営業利益です。

そして、営業利益から法人税、住民税および事業税などを引いたものが、当期純利益として記載されています。損益計算書はいくつかの「利益」項目があり、混同しがちですが、それぞれの利益項目を正確に読み取ることが重要です。

ビジネス書式テンプレート:損益計算書

株主資本等変動計算書

株式資本等変動計算書は、貸借対照表のうち純資産の主に株主に帰属する部分となる株主資本の項目が変動した理由を記載するものです。利益がなぜ変動したのかを開示する資料となります。

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ビジネス書式テンプレート:株主資本等変動計算書

個別注記表

個別注記表とは、会計方針に関する注記、貸借対照表や損益計算書に関する注記、およびその他の計算書に記載されている注記を一覧でまとめて記載しているものです。上述の株主資本等変動計算書と個別注記表は、平成18年の会社法改正により、決算報告書に追加されました。

各計算書に記載される注記は従来からあり、必ず一覧としてまとめなければならないというわけではありませんが、会計監査人設置会社かどうかによって記載しなければならない項目が区分されています。

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計算書類の付属明細書

貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などの計算書類の内容を補足するものとして記載したのが付属明細書です。各書類で補足すべき重要な項目について作成します。

付属明細書には、有価証券明細書や固定資産等明細書、社債明細書、借入金等明細書、引当金等明細書などがあります。

事業報告書

事業報告書とは、年間の事業の状況を記載したものです。貸借対照表や損益計算書は事業の状況を数字として表したものですが、事業報告書では計算書には記載されない企業情報を補足します。従業員や役員に関する情報などが記載されることもあります。また、詳細な情報を記載する場合には、付属明細書を添付します。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、1年間でキャッシュ(お金)の収支にスポットを当てた計算書です。計算書で作成されるキャッシュとは、現金及び現金同等物を指しており、現預金や預入期間が3ヶ月以内の定期預金、極めてリスクが少ない短期投資などが含まれます。

計算書には、「営業・投資・財務」の3つのキャッシュフローがあり、営業は本業となる事業でのキャッシュの流れ、投資は固定資産や投資有価証券の売買等でのキャッシュの流れ、財務は借入金や返済でのキャッシュの流れになります。

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製造原価報告書

製造原価報告書は、製造業が事業年度中に売上計上した分の製造原価を計算したものです。損益計算書の添付書類となるもので、製造原価には原材料や労務費、外注費、製造のための経費などが含まれます。一般的には、ものづくり産業では製造原価報告書が必要です。

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決算書の作成方法

会計ソフトを利用していると、ある程度は決算報告書が自動作成される機能がありますが、あらためて決算報告書の作成方法を確認していきましょう。

決算報告書は、日々の取り引きを1年間で集計したものです。そのため、毎日の取り引きを記帳していることが、正確な決算報告書の作成につながっていきます。

仕訳帳 → 総勘定元帳 → 月次表 → 決算仕訳 → 決算報告書

会計ソフトでは、仕訳帳に入力することで、自動的に総勘定元帳にも反映されます。手作業で元帳に転記する必要がないため、人的ミスを防ぐことが可能です。

自社で決算報告書まで作成しているケースもありますが、決算仕訳では減価償却費の計算や振替なども発生するため、会計事務所に依頼して作成してもらうことが多いでしょう。

決算書の作成期限

通常、決算報告書を添付して法人の確定申告をします。確定申告は事業年度の終了後2ヶ月以内に行わなければなりません。そのため、決算報告書は確定申告書を提出期限までに作成する必要があります。

連結決算の提出期限の延長特例

連結決算の場合、連結確定申告書の提出期限の延長特例の承認を受けられると、さらに2ヶ月間の延長が認められます。親会社の事業年度終了から最大で4ヶ月以内となるわけです。ただし、税務署からの承認が必要となることに注意しましょう。

経理プラス:なぜ連結?連結財務諸表の見るべきポイントと連結決算のメリット
勉強会動画:連結決算書の工程

まとめ

決算報告書がどのような種類の計算書から作成されているか、ひとつひとつ確認していきました。決算書といえば、B/SやP/L、キャッシュフロー計算書がメインと思われがちですが、その他の計算書も補足説明などにおいて大切な書類です。

また、日々の取り引き業務が決算書につながることも忘れてはなりません。提出時に慌てることがないように、日々の取り引きを正確に進めていきましょう。

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● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。