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損益計算書の無料テンプレート|主な記載項目とエクセルでの作成方法

経理部門で働く人にとって損益計算書の作成は最後の仕上げともいえる重要な仕事です。この記事では、無料で利用できる損益計算書のエクセルテンプレートを紹介し、損益計算書の基礎知識や主な記載項目について詳しく解説します。

さらに、エクセルを使った損益計算書の作成手順を順番に説明し、初心者でも簡単に正確な損益計算書を作成できる方法を解説します。よくある質問にもお答えしていますので、ぜひ参考にしてください。

損益計算書の無料エクセルテンプレート

損益計算書の無料テンプレートは以下のリンクからダウンロードできます。Excel形式のファイルで、個人・法人を問わずご利用いただけます。

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損益計算書(P/L)の基礎知識

損益計算書とは経理に携わる担当者なら誰でも知っておくべき言葉です。しかし、ベテランといわれる人ですら、自己流の場合は正確に答えられないこともあるので、まず初めに損益計算書(P/L)の基礎知識について解説します。

損益計算書とは?

損益計算書は、会社の一定期間の収益と費用の損益計算をまとめた書類です。取引企業や銀行、官庁や税務署などがその会社の業績を調べる時に第一に求められる書類となります。この書類は、企業の経営成績を把握するために欠かせないものであり、以下の3要素で構成されています。

  • 収益:売上がいくらか
  • 費用:いくら使ったか
  • 利益:最終的に利益がいくらになったか

これらの要素を明確にすることで、自社が一定の期間内にどの事業でどれくらいの利益・損失が発生しているかを把握することができます。損益計算書の英語表記は「Profit and Loss Statement」であり、頭文字のProfit(利益)とLoss(損失)を取って「P/L」とも呼ばれます。

損益計算書と貸借対照表の違い

損益計算書と貸借対照表は、企業の財務情報を提供する重要な書類ですが、それぞれの目的や内容には以下のような違いがあります。

まず、対象期間と記載内容が異なります。損益計算書は一定期間(例えば1年間や四半期)の経営成績を明らかにするもので、利益や損失から会社の収益性や成長性を確認するものです。したがって冒頭に期間の表記をするようになっており、「自〇〇年〇月〇日 至〇〇年〇月〇日」といった表記があります。

貸借対照表は、特定時点の財務状況を明らかにするもので、資産・負債・純資産の3項目から会社の財務安定性や健全性を判断するためのものです。冒頭にその時点の期日の表記をするようになっており、「〇〇年〇月〇日現在」といった表記があります。

このように、損益計算書は期間中の経営成績を示し、貸借対照表はその時点での財務状況を示すという違いがあります。両者を合わせて分析することで、企業の全体的な財務状況をより正確に把握することができます。

損益計算書の主な記載項目

損益計算書は、「損」と「益」を計算して表すものです。企業の損益とは収益と費用のことですが、収益と費用は3段階に分けて考えます。それは次の通りです。

  • 営業損益:本業での経営成績
  • 経常損益:本業以外も含めた経営成績
  • 当期純損益:経常損益に臨時・巨額な特別損益や税金を加味した最終的な経営成績   

各段階で異なる項目が記載されており、これらを理解することで、企業の経営状況をより正確に把握することができます。

損益計算書サンプル

営業損益(本業での経営成績)

売上高

売上高とは、本来の営業活動で得られた収益で、損益計算書の最初に記載する数字です。この数字を見ることによって会社の規模が大体わかります。よく「年商〇〇億円」等という言い方をしますが、その数字になります。

売上原価

売上原価とは、売上を得るために直接かかった費用のことをいいます。考え方としては、この売上に対してどれだけの仕入れがあったのかということになります。
損益計算書の売上原価は当期の単純な仕入高ではなく、期首と期末に商品の在庫がどれくらい残っていたか(棚卸高といいます)を加味して計算がされます。
また製造業や建設業などものを作り出す企業では、材料費や労務費など、製品やサービスの提供に直接関連する費用を指します。

売上総利益

売上高から売上原価を差し引いた残りが売上総利益です。「粗利」(あらり)等という言い方をされることもあります。企業はまず売上総利益が高い割合であることを目指します。企業の収益力を示す重要な指標となります。

販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は営業活動にかかる間接費用です。仕入れのように売上に直結はしないが、商品を販売し、企業活動を維持するためにどうしても必要となる広告宣伝費や人件費、管理費、減価償却費などが含まれます。これら経費の管理と削減が企業の利益を左右するポイントとなるため、決算の度に論点の一つになります。

営業利益

売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益が営業利益です。企業の本業の収益性を示す利益で、この数字が企業の経営効率を評価する指標となります。売上総利益で利益が上及びとしても、販売費及び一般管理費が高すぎる場合は営業利益がマイナスになることがあります。営業利益の数字を見て何故この数字になったのかの分析を行うことが重要です。

経常損益(本業以外も含めた経営成績)

営業外収益

本業以外で得られる収入を集計したものです。これには、受取利息や配当金、受取保険金などが含まれます。国や都道府県からの補助金・助成金もここに集計します。営業利益がマイナスでも営業外収益が大きくて経常利益が黒字になる場合もあります。よって企業の総収益を把握するために重要な科目です。

営業外費用

本業以外で発生する費用をここに集計します。銀行からの借入に対する支払利息や雑損失などが含まれます。この数字がいつもより大きい場合もその理由を調べておくことが重要になります。企業の総コストを評価するための要素です。

経常利益

営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた利益です。企業の通常の経営活動から生じる利益を示します。企業の安定性を評価するために重要です。

当期純損益(最終的な経営成績)

特別利益

一時的に発生する特別な利益です。土地や建物などを売却した際に得られる利益などが当てはまります。毎期行われる通常の経営活動ではなく、企業の特別な収益イベントを反映します。

特別損失

一時的に発生する異常な損失です。災害損失や事業再編費用などが含まれます。毎期行われる通常の経営活動ではなく、企業の特別な支出を反映します。

税引前当期純利益

経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いた利益です。税金を支払う前の純利益を示します。

法人税、住民税及び事業税

決算を締めたら、税務計算を行って当期の法人税等の額を計算し、確定申告を行います。確定申告をしこの数字が決まったら、税引前当期純利益に対する企業が納めるべき税金を明示します。

当期純利益

税引前当期純利益から法人税、住民税及び事業税を差し引いた利益のことをいいます。最終的な純利益を示します。企業の経営成績の最終的な指標となると同時に、株式会社の場合は定時株主総会で株主への配当額などを決める利益処分を決議しますが、この場合の指標となるものが当期純利益です。

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損益計算書をエクセルで作成する手順

損益計算書は、経理システムから自動で出てきますが、企業内で報告するのには、分かりにくかったり、年次の営業報告書を作成するのに向かなかったりするものです。また、専用の経理システムが導入されていない場合は、すべてを自作する必要があります。

経理の担当者としては、経理システムがなくても伝票と帳簿を用いて経理を行うことができるのが本来必要なスキルです。エクセルを活用することで、データの整理や計算が効率的に行えるため、経理業務の精度とスピードを向上させることができます。以下では、損益計算書をエクセルで作成する具体的な手順をステップごとに解説します。

Step1.日常仕訳を実施する

前提として、日頃の取引の仕訳がきちんと行われている必要があります。すべての取引は、適切な勘定科目を使って日付や取引内容、金額などの情報を記載して仕訳することが重要です。この段階での正確な仕訳が、後の作業をスムーズに進める鍵となります。

Step2.必要項目をセルに入力する

次に、損益計算書に必要な項目をエクセルのセルに入力します。これには、売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益、営業外収益、営業外費用、経常利益、特別利益、特別損失、税引前当期純利益、法人税、住民税及び事業税、当期純利益などが含まれます。各項目が正確に入力されていることを確認してください。

Step3.決算整理仕訳を行う

決算整理仕訳とは、該当する会計年度内に行われた仕訳の確認と調整を行う作業です。このステップでは、未払費用や前払費用、減価償却費などの調整を行い、正確な決算を行うための準備を整えます。これにより、損益計算書の正確性が高まります。

Step4.総勘定元帳へ転記する

総勘定元帳とは、勘定科目ごとにすべての取引を日付順に記録する帳簿です。日常仕訳や決算整理仕訳を行う度に、それらの取引を総勘定元帳に転記します。この帳簿により、すべての取引が勘定科目ごとに一元管理され、後の試算表や損益計算書作成の基礎となります。

Step5.試算表を作成する

試算表とは、総勘定元帳への転記の際に発生するおそれのある記入漏れや誤記入を調べるものです。試算表を作成することで、大まかな収益と費用が把握でき、損益計算書作成の準備が整います。試算表により、帳簿全体の整合性を確認し、不足や誤りを修正します。

Step6.損益計算書を作成する

最後に、試算表のデータを基に損益計算書を作成します。エクセルの表計算機能を活用して、各項目の数値を集計し、最終的な経営成績を明確に示す損益計算書を完成させます。この損益計算書により、企業の経営状況を総合的に評価することができます。

仕訳業務についてまとめた資料を以下から無料ダウンロードできます。流れやつまずきやすいポイント、ミスを減らす対策などついて解説していますので、ぜひご参照ください。

経理プラス:仕訳業務の流れとつまずきやすいポイント~ミスを減らす対策も解説~

まとめ

損益計算書は企業の経営成績を把握するための重要な書類です。本記事では、損益計算書の基本知識、エクセルでの作成手順、よくある質問について解説しました。この記事を活用して、経理システムに頼らずとも自分で損益計算書が作れるようになれば経理担当者としては一人前だといえるでしょう。

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損益計算書に関するよくある質問

これまで述べてきたように、損益計算書は、企業の経営成績を把握するために欠かせない書類です。しかし、その作成や取り扱いについては、担当者は日々の業務の中で疑問が生じることもあるのではないでしょうか。ここでは、損益計算書に関してよくある質問に答え、その具体的な処理方法や必要性について解説します。

損益計算書では消費税をどのように処理する?

消費税込みの金額ですべてを処理することを消費税込みの処理、仕訳の際に消費税と税抜き金額を分けて処理する税抜き処理の2種類があります。損益計算書には税込みの場合には税込みの金額が、税抜きの場合には税抜きの金額が表示されることになります。

税法上、損益計算書を消費税抜き・消費税込みのどちらで作成しても問題ありません。事業者の任意で選択でき、それぞれにメリットとデメリットがあります。

税抜経理方式とは?

メリット:仮払消費税、仮受消費税という科目を設けて消費税を本来の勘定科目とは別途で処理します。これにより売上や費用は消費税の影響を受けず、純粋な経営成績を把握できます。

経費管理がしやすく、税務申告時に消費税を別途計算する手間が省けます。

デメリット:日常の取引ごとに消費税を区別する必要があり、経理作業が煩雑になる可能性があります。手作業で行うとなるとかなりの手間になります。

税込経理方式とは?

メリット:受け取った金額、支払った金額を消費税と分けることなくそのまま処理できるので、経理作業がシンプルになります。小規模事業者にとっては管理が楽になります。

デメリット:損益計算書上では消費税の影響を含んだ数値となるため、純粋な経営成績が把握しにくくなります。

個人事業主でも損益計算書は必要?

個人事業主でも損益計算書は必要です。損益計算書は、事業の収益性や経営成績を明確にするための重要な書類です。これにより、自身の事業がどの程度の利益を生み出しているか、費用の管理が適切に行われているかを把握することができます。また、融資の申請や税務申告時にも必要な書類となるため、個人事業主でも作成しておくことが推奨されます。

損益計算書を作らなかったらどうなる?

損益計算書を作成しない場合、以下のような問題が生じる可能性があります。

経営状況の把握が困難:損益計算書を作成しなければ、自分のやっている事業は利益が出ていることを把握できません。したがって経営判断ができず損失を回避しにくくなります。

資金繰りの悪化:経営状態が把握できないということは、収支の管理ができず、資金繰りに問題が発生する可能性があるということです。

税務申告の不備:税務申告時に損益計算書や帳簿がないとなると必要な情報を提供できず、ペナルティを受けるリスクがあります。

信用の低下:金融機関や取引先からの信用が低下し、融資や取引の面で不利になります。

損益計算書は、経営の透明性を確保し、事業の成長を支えるために不可欠なツールです。作成を怠らないようにしましょう。

その他のテンプレート

監修 公認会計士 梶本 卓哉

Kajimototakuya

税務署法人課税部門(税務大学校首席卒業)、大手監査法人や大手投資銀行勤務等を経て公認会計士・税理士事務所開設。税務のみならず会計監査やIPO(新規株式公開)実務に強みを有する。