株式報酬型ストックオプションとは 株式報酬制度の種類と課税関係

株式報酬制度とは?

株式報酬制度とは、役員や従業員等に対して金銭を支給するのではなく、自社や親会社などの株式やストックオプションを付与するものです。ただし、その行使等については、自社の株価、勤務状況や業績達成等の一定の制限が掛けられることが多くあります。制限があることによって、付与された人にとっては制限をクリアすることがインセンティブとなります。

株式報酬制度は、自社の株価次第で、その人が得ることができる利益が変わってきますので、付与された人は自社の株価を意識するようになったり、株価をあげるための企業価値の向上により努力するようになったりすることなどが期待されます。
日本では、株式報酬型ストックオプション(新株予約権)が活用されることが多いですが、諸外国では、RSU(譲渡制限付株式:Restricted Stock)やESPP(従業員株式購入プラン:Employee Stock Purchase Plan)など様々な方法での株式報酬制度が用いられています。
日本でも法人税における役員報酬についての株式報酬の取扱いが明確されるなど、より利用しやすい環境が整備されてきています。

 

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株式報酬制度の種類と課税関係

株式報酬型ストックオプション

株式報酬型ストックオプションとは、将来の一定期間において、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で決められた株式数を購入することができる権利(新株予約権)のことをいいます。購入することができる権利ですから、行使するかどうかは権利を所有している人に委ねられます。

例えば、役員や従業員に今の株価が1株1,000円であるときに、権利行使価格1,000円で新株予約権を付与します。新株予約権を付与された人は、将来株価が上がったときに、権利行使をして、値上がりした株価と権利行使価格の1,000円との差額を利益として得ることができます。逆に値下がりしていれば、権利行使をしなければよいだけです。
株価が上がれば、役員や従業員が利益を得ることができるので、それがインセンティブとなって業績向上への寄与を期待することができるのです。

ストックオプションには、税制適格ストックオプションに該当するかどうかによって権利行使をした場合の課税関係が変わってきます。
付与された新株予約権が税制適格ストックオプションに該当する場合には、付与された時点や権利行使した時点で税金がかかることはありません。最終的に権利行使した株式を売却したときに売却価額と権利行使価格との差額が「譲渡所得」となり、所得税がかかります。

税制適格ストックオプションに該当しないときは、まず、付与されたときに新株予約権の時価相当額が所得となり課税されます。従業員の場合は、通常、労働の対価と考えられるため給与所得となります。さらに、権利を行使したときに、権利行使した時点の時価と権利行使価格との差額が所得となり課税されます。同様に通常は「給与所得」となります。
なお、最終的に株式を売却したときは、売却価額と権利行使した時点の時価との差額のみ「譲渡所得」となります。
所得税において、「譲渡所得」は分離課税になるのに対して、「給与所得」は総合課税で最高税率が45%(他に復興特別所得税、住民税あり)となるため、税制適格ストックオプションの方が付与を受けた者にとっては通常有利となります。

RSU(譲渡制限付株式:Restricted Stock)

RSUとは、一定期間の譲渡制限が付された現物株式を報酬として付与されるもので、通常、譲渡制限が解除されるには期間の要件の他、勤務条件や業績達成等の要件がつけられます。譲渡制限期間中は株式の譲渡ができず、要件を達成しないときは株式が没収される設計となっていることから、業績向上のインセンティブが付与され、中長期での企業価値の向上が期待されることとなります。
RSUは欧米でよく用いられています。欧米の親会社を持つ日本の会社の役位や従業員が、親会社からRSUの付与を受ける、というのもよく見られます。
RSUの付与を受けた者は、その譲渡制限が解除されたときに所得税の課税関係が生じます。具体的には、譲渡制限解除日の株式の時価と取得価額との差額が「給与所得」となります。

ESPP(従業員株式購入プラン:Employee Stock Purchase Plan)

ESPPとは、従業員が自社株式を購入できるようにする制度です。自社株購入をする際、その時点での時価よりもディスカウントされた価格で購入できるようにするケースもあります。ESPPは実際に従業員が対価を支払って、株式を取得するため、株価が下がれば損をしてしまう可能性もありますが、他の株式報酬制度と同様に企業価値向上へのインセンティブとなります。
なお、ESPPを利用して、ディスカウントされた価格で株式を取得した場合には、取得日の時価と取得価額(ディスカウントされた価格)との差額が「給与所得」となります。

 

まとめ

株式報酬制度は、付与された者は、利益を得ることができてメリットのあるものですが、忘れてしまいがちなのが税金のことです。特に給与所得となるものは確定申告をして、納税しなければなりません。忘れてしまうとペナルティがかかることもありますので、制度や課税関係を理解して、税金のことも忘れないようにしてください。

 

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● 著者

松本 佳之

松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士 1980年兵庫県に生まれる。2001年公認会計士二次試験合格。2002年関西学院大学商学部卒業、朝日監査法人(現あずさ監査法人)入所。2005年公認会計士三次試験合格、公認会計士登録。2007年税理士登録後独立し、北浜総合会計事務所を開設。監査法人勤務時代は企業公開部門に所属し、さまざまな実績を重ねる。