法定調書とは?知らないとマズい種類や提出期日、提出先とは?

法定調書とは?知らないとマズい種類や提出期日、提出先とは?

企業が税務署に提出する書類のひとつに「法定調書」というものがあります。法人であれば、一般的に毎年のように作成されるものですから、経理担当者であれば耳にする機会も多いでしょう。しかし、法定調書の目的や種類、記載する内容について詳しく理解できていない方も少なくありません。

今回は、法定調書の概要や記載の内容、提出時期や作成時の注意点などについて解説してきます。いざ作成のときに戸惑うことがないよう、しっかりと理解しておきましょう。

法定調書とは?

法定調書とは、税務署への提出が義務付けられているもので、「所得税法」「相続税法」「租税特別措置法」「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」などで提出が規定されています。

法定調書を提出する目的

法定調書を見れば、企業や個人事業主が一定の給与や報酬、不動産の使用料などを支払った場合に、どこにどれくらい支払ったのかを容易に把握することができます。また、支払う側が提出することで、金銭を受け取った相手側の会社名や個人名も知ることができます。仮に、金銭を受け取った相手側に申告漏れがあったときでも、支払った側から辿っていけば金銭の流れを知ることができます。

つまり、金銭を支払った事実、受け取った事実を把握し、申告漏れや脱税がないかをチェックすることが、税務署が法定調書を提出させる目的なのです。

法定調書の種類

法定調書の種類は、給与など所得税法に関するものや、生命保険・退職手当など相続税法に関するものなど、実に60種類にも及びます。個人に関わるもの、法人に関わるものなどさまざまですが、ここでは、主に法人の提出義務に関わる法定調書についてご紹介していきます。

給与所得の源泉徴収票

企業や個人事業者は、1年間に社員やパート・アルバイトなどに支払った給与や賃金をまとめた給与所得の源泉徴収票を作成します。そして、作成した源泉徴収票と同じ内容を法定調書として税務署に提出します。ただし、税務署へ提出する必要があるのは一定の場合(たとえば、年末調整済みの役員では給与などの支払金額が年間150万円を超える場合)に限られます。

報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書

報酬・料金・契約等に関する支払いのうち支払調書の作成が必要な取引はかなり広い範囲に渡ります。弁護士や税理士、コンサルタントなどの報酬や、作家への原稿料、講演料が年間5万円を超える場合には、支払調書の提出が必要です。スポーツ選手などに支払う報酬・契約金も同じく対象になります。たとえば、税理士と顧問契約を結んでいる企業なら、一般的に支払調書の作成が必要です。

不動産の使用料等の支払調書

不動産(土地・建物)の賃借料や地上権、権利金、礼金、契約金などを支払った場合に支払調書を提出します。提出義務は、同一人物への支払いが年間15万円を超えるときです。これは税務署が、不動産の使用料を受け取る側(大家)の、家賃収入の申告漏れについてチェックする目的があります。ただし、法人に対して支払う賃借料は、支払調書を提出する必要はなく、対象となるのは権利金や更新料のみです。区別して理解しておきましょう。

法定調書の提出者や提出期限は?

法定調書の提出は義務であることはお伝えした通りですが、「誰が」「いつまで」に提出しなければならないのでしょうか。

提出義務者

提出義務者は、給与や退職金、報酬や契約金などを支払う会社(人)になります。

提出期限と提出先

提出期限は、原則的に、支払いが確定した年の翌年の1月31日までとされています。また、提出先は住所地を管轄する税務署です。なお、書面に代えてe-Taxや光ディスク等での提出も認められています。

法定調書を作成するときの注意点

次に、税務署に法定調書を提出するときの注意点について確認しておきましょう。

支払が確定した日が基準

法定調書に記載されるものは、1年間(1月1日から12月31日まで)の間で「支払いが確定したもの」です。たとえば、12月分の弁護士顧問料は12月末で「支払いが確定した」と考えるため、12月末時点で未払いであったとしてもその年の支払調書に記載する必要があります。

消費税の取り扱い

消費税の取り扱いがどのようになるかは迷いやすい部分ですが、原則としては消費税込みで記載し、提出義務の判断も消費税込みの金額で行います。
一方、支払いを受ける者が発行した請求書等に報酬等の金額と消費税の額が明確に区分されている場合は、消費税抜きの金額で記載し、提出義務の判断も消費税抜きの金額で行うことができます(消費税抜きの金額で記載する場合は、支払調書の「摘要」欄に消費税の額を記載することが必要です)。

提出を忘れたとき

法定調書の提出は義務であり、法定調書を期限までに提出しなかった場合は所得税法の規定によって1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があるため、必ず期日までに提出するようにしましょう。

法定調書合計表について

法定調書の書類は、給与所得の源泉徴収票や報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書など各項目の合計を算出し、次に、法定調書合計表にまとめて記載します。一枚の用紙にそれぞれの項目をまとめ記載できる書式になっていますので、事前に項目ごとの合計を計算しておくとスムーズです。

合計表の詳しい記載方法については、以下の記事を参考にしてください。
経理プラス:法定調書合計表の書き方!年末調整前必見のチェックポイント!

まとめ

経理担当は、年末特有の業務が複数あります。支払調書もそのひとつとなるわけですが、提出義務となる取引がいくつあるか、また合計表の書類作成が問題なく記載できるかなど、年末に慌てることなく、しっかりと理解して準備しておくと安心です。給与や報酬などは、年末調整の際に同時に作成できるものでもありますので、その後の調書に必要となる書類を整理しておきましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」

監修 税理士 川口 拓哉

税理士(近畿税理士会)。2017年の税理士試験で官報合格。個人の税金から法人の税金までの幅広い税目について知識と実務経験を有する。川口拓哉税理士事務所所属。

川口拓哉税理士事務所