法人税の中間申告とは?対象や期限、申告方法について解説!

法人の場合、一部の例外を除いて、事業年度の途中で法人税を中間納付することが義務付けられています。
この記事では、中間申告が必要となる条件や申告期限、中間納税の計算方法や申請の流れについて解説します。
法人税の中間申告、納付とは?
法人税の中間申告(中間納付)とは、事業年度の開始から6ヶ月経過した時点を「中間」として、その時点までの法人税を先に納める制度のことを指します。
これは、確定申告をすることによって決める年税額の半分を前払いをしているイメージで、中間申告の際に納付した税額があるときは、確定申告の際にその分の税額が控除されます。また、控除しきれなかったときには払い過ぎとなった税金が還付されます。
法人税の中間申告が必須になる条件
法人税の中間申告が必須になる条件は以下のとおりです。
- 前事業年度の確定法人税額が20万円を超える場合
- 事業年度が6か月を超える法人
上記に当てはまる場合、原則として、法人税の中間申告が必要になります。ただし、NPO法人や公益法人といった、収益事業を営んでいない法人の場合は、中間申告を行う必要はありません。
また、設立初年度の法人であっても、合併による設立の場合は中間納付が義務付けられることがあります。この場合、合併前の法人の実績も考慮して中間納付額を算出する必要があります。
なお、法人税は法人住民税や法人事業税といった地方税とも連動しているため、法人税の中間申告の対象となった場合、地方税においても申告が必要です。
法人税の中間申告の期限
法人税の中間申告が必要となったとき、提出期限と税金の納期限は、事業年度開始後6ヶ月が経過した日から2ヶ月以内です。3月末決算の法人の場合、事業年度開始の日である4月1日から6ヶ月経過した日である10月1日から2ヶ月以内、すなわち11月30日までが申請期間となります。
法人税の中間申告の方法
中間申告には、以下の2つの方法があります。
- 予定申告
- 仮決算に基づく中間申告
予定申告
予定申告は、前事業年度の法人税の2分の1の額を法人税額とする方法です。
法人税額の計算方法は、「前事業年度の確定申告書に記載すべき法人税額を当該前事業年度の月数で除し、これに6を乗じた金額」と規定されています。そのため、まず、前事業年度の確定申告書に記載すべき法人税額を前事業年度の月数で除して(円未満の端数切捨て)、その整数値に6を乗じて計算します。なお、100円未満の端数は切捨てとします。
予定申告をするときは、税務署から送られてくる予定申告書用紙に必要事項を記入した上で、捺印をして税務署に提出します。ただし、この予定申告書用紙については、前事業年度の法人税の確定申告書をe-Taxにより提出した場合は、税務署から送付されません。その場合は、「法人税予定申告のお知らせ」がe-Taxの利用者本人のメッセージボックスへ送信されます。e-Taxソフトを使用している場合には、このお知らせ内容から「法人名」、「納付すべき税額」等の欄が初期表示された予定申告書の作成画面に移り、作成・送信することができます。
仮決算に基づく中間申告
仮決算に基づく中間申告とは、事業年度開始の日から6ヶ月の期間で仮決算を行い、その実績に基づいて法人税額を計算し、納付する方法です。上半期の業績が悪化している場合など、予定申告額よりも税負担を軽減したい場合に選択されます。
仮決算に基づく中間申告を行う場合は、中間申告対象期間で年度決算と同じように法人税の申告書を作成し、提出します。仮決算をした場合は、中間申告書に、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び勘定科目内訳明細書等を添付して提出する必要があります。年度の確定申告書の添付書類とは異なっていますので注意してください。
なお、普通法人の法人税は通常23.2%とされていますが、資本金1億円以下の中小企業の場合は次の通り、金額により軽減措置が適用されます。軽減措置の適用期間は令和7年3月31日まで延長となっています。
区分 | 所得 | 税率 |
---|---|---|
中小法人 | 年800万円以下の部分 | 15% 適用事業者は19% |
年800万円越えの部分 | 23.2% | |
中小法人以外 | 全額 | 23.2% |
参照元:中小企業庁「法人税率の軽減」
法人税の中間申告は電子申告できる?
法人税の中間申告は、事業年度末の確定申告と同様にe-Taxを利用して電子申告をすることができます。法人住民税や法人事業税などの地方税の中間申告については、eLTAXを利用して申告可能です。また、国税については、ダイレクト納付や、インターネットバンキングによる納税も可能です。
法人税の中間申告の勘定科目
法人税の中間申告で納付した法人税等は、あくまで年税額が確定していない段階での仮払いのような状態です。そのため、中間納付時には、納付した法人税等の額を「仮払金」勘定で処理するのが一般的です。年度決算で確定した法人税等の額に基づき、仮払金を取り崩し、確定税額との差額を「未収法人税等」もしくは「未払法人税等」として処理します。
一方で、企業の会計方針や税効果会計を適用していない中小企業などでは、中間納付の時点で「法人税、住民税及び事業税」勘定で直接処理するケースもあります。ただしこの場合、決算時に税効果の繰延税金資産や法人税等調整額との整合性に注意する必要があります。
法人税の中間申告をしなかった場合の特例
中間申告書の提出が必要な法人が、提出期限までに中間申告書を提出しなかった場合でも、法人税法第75条第1項但書の規定により、その提出期限の日に「予定申告」があったものとみなされます。この場合、前事業年度の法人税額の1/2に相当する額が中間申告の法人税額として確定したものとされます。
なお、納付すべき法人税等の納付が遅れた場合、法定納期限の翌日から納付日までの間に延滞税が発生し、実際に納付した日までの延滞税を本税と併せて納付しなければなりません。
まとめ
法人税の中間申告は、納付義務の有無や申告方法、納付額の計算などを正しく理解し、期限内に適切な手続きを行うことが重要です。年度の法人税の支払については把握していても、中間申告については時期や金額を忘れてしまっていることもあるかもしれません。中間申告について理解した上で、事前に資金計画の中に織り込んでおくことがポイントです。制度を正しく活用することで、税務リスクの回避やキャッシュフローの適正管理につながります。不明点があれば、専門家への相談も検討しましょう。
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