法定調書合計表作成の業務概要
経理担当者の年末年始は、年末調整、給与支払報告書、法定調書合計表、償却資産税申告書と作成と提出期限のある手続きが短期間に集中するため忙しくなりがちです。
みなさんはいかがですか?
年末調整、給与支払報告書については下の記事で紹介しています。
<年末調整>
経理プラス:今年も年末調整がやってくる ―概要のおさらいと、押さえておきたいポイント―
経理プラス:年末調整の実務でよくあるQ&Aまとめ
経理プラス:年末調整の失敗事例・業務ポイント
<給与支払報告書>
経理プラス:「給与支払報告書」とは?ちゃんと提出していますか?
経理プラス:給与支払報告書のQ&Aー経理担当者が知りたいちょっと深いところー
今回の記事では、経理担当者が年明けから早速とりかかる業務である法定調書合計表作成の概要について書きます。
これまで作業として淡々と合計表の作成を行っていた方も、その背景やちょっとした裏話を知って、合計表の理解を深めて頂けると幸いです。
法定調書合計表とは何か?
法定調書とは
法定調書とは、税法により税務署への提出が義務づけられている資料のことです。全部で59種類もの法定調書があります。
もっとも馴染みが深い「給与所得の源泉徴収票」から始まり、たとえば「金地金等の譲渡の対価に関する支払調書」は金の売買が行われたときに誰が金を売ったのか、何グラム取引したか、いつその代金が支払われたかなど、知らない間にも細かい情報も法定調書を通じて様々な情報が税務署に報告される仕組みになっています。
法定調書合計表とは
一般的に「合計表」と呼ばれている法定調書合計表は正式には「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」といいます。
法定調書合計表は文字通り「法定調書」を「合計」した「表」で、税務署が適正な課税を確保することを目的に6種類の取引について作成を要請されています。
何を提出するのか?―法定調書合計表の添付資料―
対象となる法定調書 ―提出しなければならない支払調書―
法定調書は全部で59種類あると説明しましたが、「合計表」の対象となる支払調書はそのうち下の6つです。
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の譲受けの対価の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払い調書
・実務で判断に迷うポイント ―合計表作成をスムーズに進めるために―
源泉徴収票や各支払調書には提出基準があり、提出するものは条件にあてはまるもののみです。その判断と仕分け作業をスムーズにできるかどうかが、合計表作成を順調に完了できるかのポイントです。各基準をしっかりと把握して作成することが重要なので、国税庁が作成している「作成と提出の手引き」は手元に置いておくとよいでしょう。
国税庁HP:法定調書の作成と提出の手引き
どこに出すのか? ―法定調書合計表の提出先―
所轄の税務署に提出します。郵送で出す際の注意点は、控えの返却が必要である場合、必ず「返信用封筒(切手貼り付け)」を同封してください。返信用封筒がない場合、返却してくれない可能性があります。ここだけの話ですが、税務署によっては切手を貼り付けなくても税務署の負担で貼ってくれる場合もあります。
いつまでに出すのか? ―法定調書合計表の提出期限―
翌年の1月31日までの提出になります。1月31日が土日祝と重なる場合には次の平日となります。郵送で出す場合には、提出期限のまでの消印が必要となります。もしも提出期日の最後の集荷が終わってしまった後も夜間窓口に日付が変わるまでに出しに行くという荒業もありますが、手続きはスピードと精度を持って作業し期日に余裕を持ったスケジューリングが大切なので、夜間窓口での提出なんてことにならないよう年内からでもできる部分から準備を進めてください。
提出が遅れた場合の取り扱い
納税に絡む書類ではありませんので、納付期日が遅れたからといって何か罰則があるわけではありません。しかし、税務署は法定調書合計表を納税者との対応の基礎資料としますので、虚偽の記載はせず全て正直に記載するようにしましょう。
最後に
今回の記事では法定調書合計表の概要についてお伝えさせて頂きました。
次回は、法定調書合計表作成のQ&Aについての記事を公開する予定です。
実際の作業で提出義務の判断で特に悩むポイント、税込表示・税抜表示により有利な取扱いをする方法など、実務に携わる経理担当者なら知っておきたいポイントをお伝えします。
お楽しみに!
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。