EDINETとは?使い方や経理担当者の活用シーンなど詳しく解説!

EDINETとは?使い方や経理担当者の活用シーンなど詳しく解説!

EDINETは、「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」のことです。有価証券報告書、有価証券届出書、大量保有報告書等のさまざまな資料を、いつでも無料で閲覧することができます。同業他社の事業状況や新規取引先の財務情報を調査するときなどに活用できる非常に便利なシステムです。ここではEDINETの使い方、検索できる開示書類、経理担当者の活用シーンについて分かりやすく解説します。

EDINETとは?

EDINET(エディネット)は金融庁が運営するシステムで、有価証券報告書、半期報告書、大量保有報告書などの開示書類について、提出から閲覧までを電子化するために開発されました。企業の財務情報や事業内容、株の大量取得や保有の状況を適宜開示し、投資に必要な情報をインターネット上で公平に提供することによって、投資家の保護を図ることを目的としています。以前の開示書類は紙媒体でしたが、2001年のEDINET稼働後は、電子データでの提出・閲覧が可能になりました。有価証券報告書等は誰でも24時間、365日閲覧可能です。

EDINETの提出義務や提出方法

EDINETへの提出義務は、東京証券取引所(プライム市場、スタンダード市場、グロース市場)などに上場している企業が主な対象です。金融商品取引法によって有価証券報告書、半期報告書などの開示が義務化されています。

また、上場企業の保有株式が5%を超える場合は、取得日から5営業日以内に「大量保有報告書」を提出しなくてはいけません。EDINETで検索可能できる主な開示書類には、以下があります。

従来までは四半期報告書が義務付けられていましたが、2024年4月以降は廃止され半期報告書に改正されています。

  • 有価証券報告書
    財務諸表といった決算情報や事業の状況、設備投資の概要、株式等の状況といったさまざまな情報が記載されています。売上、当期純利益、配当額などの主要な財務指標の推移、事業の将来性やリスクも記載されています。有価証券報告書は、決算日から3カ月以内に提出することと決められています。
  • 半期報告書
    金融商品取引法の対象となる上場企業等は半期ごとに、財務諸表や事業の状況を開示する義務があります。半期報告書は企業の情報を迅速に開示することが目的ですので、有価証券報告書よりは簡易的な内容です。提出期限は、各半期会計の末日から金融システムを担う企業の場合は60日以内、その他の企業は45日以内となっています。
  • 大量保有報告書
    投資家が上場企業の株式数のうち5%超の株式を取得した場合は、大量保有報告書を提出する義務があります。証券市場の公平性、透明性の観点から導入され、2007年の制度改正でファンドや証券会社も対象となりました。株式を取得してから5営業日以内に提出する必要があります。

有価証券報告書についての詳しい解説は、下記リンクも参照ください。

経理プラス:有価証券報告書とは 提出義務・記載要領と見るべきポイント

EDINETの使い方

EDINETの使い方について解説します。

  1. EDINET(金融庁)トップページの書類簡易検索を開きます。
  2. 提出者/発行者/ファンド/証券コードのいずれかを入力します。
    社名を入力して検索すると、結果が一覧に表示されるので、閲覧したい企業をクリックします。
  3. 書類種別をチェックします。
  4. 提出期間を選択します。
    提出期間は、当日から全期間まで選択できます。最長で過去10年分を閲覧することができます。
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検索を押すと該当する書類の一覧が表示されます。提出日時の新しい順に並んでいますので、見たい提出書類をクリックすると内容を確認できます。

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書類種別で「大量報告書」を選択して検索すると、大量保有報告書や変更報告書がヒットします。保有する企業の株式が全体の5%を超えた場合は大量報告、その後に1%以上増減すると変更報告を行います。

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他に検索可能な書類種別としては、「臨時報告書」と「その他の書類種別」があります。

「臨時報告書」はファイナンスの決定、主要株主や代表取締役等の異動など一定の提出事由に該当した場合、速やかに提出します。また、「その他の書類種別」は、四半期報告書の記載内容が適正に記載されていることを証明する確認書などが検索されます。

経理担当者としての活用シーン

EDINETは、国内上場企業の決算情報が過去10年分も無料で閲覧可能なシステムです。投資家に必要な情報を公正かつ適時に開示することを目的としていますが、経理担当者にとっても有用なツールと言えます。

例えば、同業他社の事業の状況を把握するのに役立つでしょう。有価証券報告書には、貸借対照表や損益計算書といった財務情報だけではなく、従業員数、平均年齢、経営環境のリスク、主な資産の内訳などが記載されています。有価証券報告書や半期報告書は、記載する項目やフォーマットが共通です。そのため、自社分と比較・分析することで、相手方の状況を想定できます。

特に、有価証券報告書の「第3 設備状況」は注目すると良いでしょう。貸借対照表でも有形固定資産の帳簿価額は把握できますが、どこにどのような資産を持っているかは有価証券報告書でしか分かりません。また、「設備の新設、除却等の計画」では、翌期の設備投資計画が分かります。製造業の場合は、工場の新設や増設による生産能力の向上といった計画の有無をチェックしましょう。

他には、取引先の経営状況把握にも活用できるでしょう。事業等のリスク、財政状態、キャッシュフロー状況の分析、主な資産および負債の内容といった項目が注意するポイントとなります。これは、新規取引先の安全性を判断する場合も有効です。

まとめ

EDINETの使い方や、経理担当者の活用方法について記載しました。上場企業であれば各企業のホームページでも決算報告書を開示していますし、ファイナンス情報のまとめサイトなどでも売上や経常利益といった主な財務データは検索できます。しかし、これらの情報は質や量がバラバラといった難点があります。

EDINETで検索できる有価証券報告書や半期報告書は、各企業の詳細なデータが記載されており、記述のフォーマットも統一されているので比較がしやすくなっています。EDINETは有効な情報へアクセスできる手段ですので、ぜひ活用してみましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 柴藤 唯人

柴藤唯人様

大手製造業(鉄鋼メーカー)の経理財務担当として勤務。財務系は固定資産管理、棚卸資産管理、一般会計を担当。また、原価系は原価計算、月次、半期予算、中期計画、コスト分析、損益分析を経験する。管理職昇進後は会計実務からは離れて、公認会計士対応や内部統制、原価は全体のコスト総括や損益総括を担当。工場だけではなく営業へも情報を提供するなど、販売戦略にもかかわる。日商簿記1・2級保有。