地方税の中間申告って必要? 中間申告の概要と申告方法

地方税の中間申告って必要? 中間申告の概要と申告方法

中間申告とは何か?

事業年度が一年の法人の場合などで一定の要件に該当する場合は、事業年度開始から6か月が経過した日を基準にして中間申告をしなければなりません。
これは法人税も地方税(都道府県民税、市町村民税、事業税等)も同様です。

地方税の概要と中間申告が必要な法人とは

一概に地方税といっても、その種類は複数あります。法人が関連してくる主な地方税としては、都道府県民税、市町村民税、事業税、地方法人特別税、固定資産税(償却資産税)が挙げられます。このうち、固定資産税(償却資産税)には中間申告という制度はなく、年一回1月31日まで申告を行えば済みます。残りの都道府県民税、市町村民税、事業税、地方法人特別税は、一定の要件に該当した場合に中間申告をしなければなりません。ここでは、この4つの都道府県民税、市町村民税、事業税、地方法人特別税を「地方税」として解説していきます。

地方税の中間申告をしなければならない法人は、法人税で中間申告をすることが必要な法人です。法人税で中間申告をしないといけないのは、原則として、前期の法人税額が20万円超である法人です。該当する法人は、当期が開始してから6か月を経過した日から2か月以内(12月決算の会社であれば8月末までに)、中間申告を行い、納税をしなければなりません。

地方税の中間申告の方法

中間申告の方法には、1.予定申告という方法と2.仮決算に基づく中間申告があります。
予定申告という方法は、前期の税額の1/2を税額として納付する方法です。
仮決算に基づく方法は、中間申告の基準日までの6か月間を1事業年度とみなして、年度末と同じように地方税額を計算し、計算された税額を納付する方法です。

どちらにするかを事前に申請する必要はありませんし、一度選択して翌期に違う方法を選択することもできます。予定申告の方が手間はかかりませんので、手間と税額を勘案してどちらかを選択することとなります。たとえば、前期は特別利益など計上され多額の利益があったが、当期はそれほど利益が出ない(もしくは赤字となる見込み)ときなどは、予定納税だと税額が多くなるので、仮決算に基づく中間申告を選択することが考えられます。

どちらの方法によっても、事業年度末に精算することとなるため、事業年度を通じた最終的案税額が変わることはありません。中間申告で地方税を多く払っていれば、その分事業年度末で支払う地方税が少なくなったり、還付されたりすることとなります。
また、中間申告の期限までに申告書を提出しなかったときは、自動的に予定申告の方法で申告されたものとみなされます。つまり、申告書を提出しなくても大丈夫です。もちろん納税はしなければなりません。

地方税の連結納税とは?

連結納税制度とは、一定の関係にあるグループ会社について、そのグループ会社をあたかも一つの法人とみなして、税金を計算しようとする、法人税法上の制度です。この連結納税をすると、グループ会社全体で所得と欠損を通算することができ、法人税の計算において、連結納税をしないときよりも有利になることがあります。しかし、地方税においては、この連結納税制度は設けられていません。そのため、法人税の連結納税制度の基で計算された各グループ会社の所得や法人税額(連結法人税個別帰属支払額)をもとに、法人ごとに地方税額を計算することとなります。

法人の合併があった際の地方税の中間申告について

地方税の中間申告が必要かどうかの判定は、前述したとおりです。ただし、合併があった場合などは所要の調整が必要です。適格合併をした合併法人は、前期の合併法人の法人税額に、被合併法人に係る一定金額を加算した金額等が、中間申告が必要かどうかの判断基準となります。つまり、合併法人の法人税額が20万円以下であっても、被合併法人の調整税額を足すと20万円を超えるような場合は中間申告が必要となります。

地方税の計算の仕方

地方税といっても、都道府県民税、市町村民税、事業税、地方法人特別税のそれぞれで税率や計算方法が定められており、計算の仕方はバラバラです。しかし、基本的には、法人税の計算を基にして計算します。事業税や地方法人特別税の所得割と言われるものは、法人税の計算で算定された課税所得に、それぞれの税率を乗じて計算します。
都道府県民税や市町村民税の法人税割と言われるものでは、法人税額に対してそれぞれの税率を乗じて計算します。また都道府県民税や市町村民税には均等割額というものがあり、均等割額は資本金と従業員数に応じて決定されます。

まとめ

法人税等や消費税等と同様に、地方税についても、一定の要件に該当する場合には中間申告が必要となります。そのため、中間申告のことも考慮に入れた資金繰り計画を検討しておくことが重要です。また、中間申告の際は、予定申告をするか、仮決算による中間申告によって、税額が変わりますので、どちらがよいかを検討することも忘れてはいけません。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 公認会計士 松本 佳之

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税理士・公認会計士・行政書士 1980年兵庫県に生まれる。2001年公認会計士二次試験合格。2002年関西学院大学商学部卒業、朝日監査法人(現あずさ監査法人)試験合格、公認会計士登録。2007年税理士登録後独立し、北浜総合会計事務所を開設。監査法人勤務時代は企業公開部門に所属し、さまざまな実績を重ねる。

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