【2022年度税制改正】電子帳簿保存法とインボイス制度の改正内容を解説

【2022年度税制改正】電子帳簿保存法とインボイス制度の改正内容を解説

2021年12月に令和4年(2022年度)の税制改正大綱が発表されました。今回の改正のポントのひとつは、インボイス制度導入によるいくつかの見直しです。このほか、賃上げや地方拠点強化税制など法人に関わる税制なども見込まれています。

なお、令和4年度の税制改正大綱は前半、後半に分けて解説していますので、以下の記事も併せてご覧ください。
経理プラス:【2022年度税制改正】経理担当者必見!押さえておきたい8つのポイント

2022年(令和4年)度税制改正の概要

はじめに、令和4年度の税制改正大綱の概要についてご紹介します。

「成長と分配」と銘打たれた国の指針を実現させるべく、景気回復と経済成長の促進を見据えた税制改正が盛り込まれています。大企業のみならず中小企業にも賃上げを促す税制措置やオープンイノベーション促進税制拡充、5G導入促進税制の見直しや大法人の法人事業税所得割の軽減税率見直しなどが法人事業者に関わりの深い改正です。

また、電子帳簿保存法と消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関する見直しは、急きょ対応が決定されたものも含まれます。インボイス制度は令和5年10月1日から適用開始となるため、事業規模にかかわらず改正部分はしっかり確認しておきましょう。

なお、この記事では、電子帳簿保存法とインボイス制度にフォーカスして解説していきます。

電子帳簿保存法の見直し

電子データの保存が、現状では移行の準備が完全に整備されていないことを踏まえて、電子帳簿保存法の見直しがされます。

請求書、領収書の書面保存について(改正前と改正後)

令和3年度の改正により、本来であれば令和4年1月1日から電子データで授受した請求書や領収書は「紙出力」での保存方法は認められず、電子データとして保存することが義務化されていました。しかし、納税者に「やむを得ない事情」があると認められた場合には、令和5年12月31日まで2年間の猶予期間が設けられることとなります。つまり、2年間は「紙出力」でも可能ということです。

 改正前改正後
令和4年1月1日以降電子データのみで保存やむを得ない事情がある場合は、令和5年12月31日まで紙出力保存も可能

電子取引データの保存の義務化は、実際にはシステム導入などが十分に間に合わないことが予想されていたこともあり、一定要件を満たすことで紙出力の保存も可能とする宥恕(ゆうじょ)措置が適用され、税務署等への事前申請などの必要もありません。

経理プラス:【経理ニュース速報】領収書の電子保存義務化が2年間の宥恕措置へ!政府は電子帳簿保存法義務化に猶予期間を設定する

宥恕措置の一定要件とは

宥恕措置が適用される期間中は、請求書や領収書などの電子取引情報による電子データを従前と同様に書面で出力保存すること、必要な書面を速やかに提出できること、税務調査の際に職員に対して「整備が間に合わなかった」「今後システム整備をする意向だ」という事情を説明することなどが必要となります。

宥恕措置があるとはいえ、限られた期間のみですから、その間に電子データ保存に対応する準備は具体的に進めていくことが必要です。

参考:国税庁 電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明) 7-10、7-11

実務での注意点

2年間の宥恕措置期間は、従来通り紙出力で保存できますが、あくまで令和5年12月31日までの取引分についてのみ適用されるものです。令和6年1月1日以降は電子データ保存のみとなるため、宥恕措置で対応することとは別に電子化の整備を具体的に計画し進めていく必要があります。

システムの導入や宥恕期間終了後にトラブルなく移行できるようにするためにはできる限り早くシステム導入を検討していく必要があります。具体的な電子化の整備の導入イメージについては下記記事で紹介していますので、併せてご覧ください。
経理プラス:2022年改正の電子帳簿保存法のポイントと導入事例を紹介!

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「電帳法対応進むクラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2021年6月号: https://mic-r.co.jp/micit/)より

インボイス制度

令和5年10月1日から適用されるインボイス制度の事業者登録について改正があります。制度導入については、まだまだ理解されていない部分もありますので、改めて確認しておきましょう。

適格請求書発行業者の登録手続き見直し

改正により、免税事業者が任意のタイミングで適格請求書発行事業者の登録を受けられるようになります。

改正前は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受けるには、令和5年10月1日の属する課税期間を除いて途中からの登録をすることはできませんでした。しかし、改正によって柔軟な登録日を設定できるようになります。

実務での注意点

課税事業者となった場合、2年間は課税事業者が固定されます。登録後にすぐ免税事業者に戻すことはできないという点には注意しなければなりません。

インボイス制度の導入が間近にせまっているものの、今まで消費税が非課税となっていた小規模事業者などには、その制度内容が十分に理解されていないことが考えられます。課税事業者との取引において互いに影響がある制度であるため、取引先に非課税事業者が含まれている場合、必要であれば制度について確認しあうと良いでしょう。
普段の取引に関わる請求書の受領についても、電子化になります。請求書は受け取るというだけではなく、発行する側にも関係します。書類の保存と管理が煩雑になる可能性が高いですから、クラウドサービスなどを活用して管理しやすい環境にすることがポイントです。

まとめ

令和4年度の税制改正について、主に電子帳簿保存法の見直しとインボイスの登録見直しについてご紹介しました。電子帳簿保存法の見直しは、現状のシステム整備が進んでいないとの声から急きょ対応できるようになったものです。

一定の宥恕期間中に電子データ化に対応できるように整備する必要がありますので、設備導入を計画的に進められるようにしていきましょう。令和5年からのインボイス導入など新しい経理知識が増えていきますので、最新の改正内容をチェックしておくことをおすすめします。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」

著者 渡部 彩子

大学卒業後、自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門に在籍。経理・総務・人事の実務を経験し、同法人在籍中に日商簿記2級を取得。その後、保険・金融業界での経理業務の経験を経て、ライターとして独立。これまでの実務経験を元に経理業務をテーマとしたコンテンツ制作を中心に執筆。