月次決算の早期化を実現させる方法とは?
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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より
経理部の毎月の業務として重要なものに「月次決算」があります。1ヶ月毎に、その時点での集計を行い「月次試算表」を作成しますが、月次決算を完成させるのはできるだけ早いほうが望ましいとされています。それはなぜでしょうか。ここでは、なぜ月次決算が早期に必要なのか、また遅れてしまう原因は何か、遅れを解決し月次決算を早期化させるためにはどのようなことに取り組めばよいかについて解説します。
月次決算とは、本決算との違い
決算といえば、通常は年に一度、会社の任意の決算月に合わせて1年間の収支を集計するもので、「本決算」ともいわれます。一方、月次決算とは、1月ごとに集計をして現在の営業成績や経費の状況、資金の状況などを確認するためのものです。
本決算は、1年間の業績の結果を貸借対照表や損益計算書などを作成することによって把握し、法人税や消費税などの各課税関係も計算します。本決算は、会社にとって最終的な「成績」のようなものになり、税務署への届け出義務も発生します。
月次決算は、日々の取引を正確に処理し、毎月月末で集計をすることで、現状を把握することができる重要な資料です。また、当初に計画した予算計画と実行の比較もでき、その後の軌道修正にも役立ちます。期中で行われる月次決算は、税務署への届け出義務はありません。しかし、金融機関などで資料を求められることもあります。
なぜ月次決算が早期に必要なのか
月次決算が早期に完成するかどうかは、非常に重要なポイントとされています。その理由としては、以下の点が挙げられます。
現状の把握と対策ができるから
月次決算は、年度途中での経営状況を把握するために必ず必要なものです。本決算とほぼ同じような資料を作ることになりますので、その月での経営成績や予算計画との相違などを客観的に把握することが出来ます。もし、現時点での経営成績があまり思わしくないという場合は、即座に対策を考えるなど、軌道修正を図ることもできるのです。
軌道修正を図るためには、なるべく早く手を打っておくことが経営の安定にもつながります。そのため、現状を把握するのはできるだけ早いほうが望ましいのです。言い換えれば、月次決算が1ヶ月も遅れて完成するようでは、すでに何も対策を出来なかった空白の1ケ月が経過してしまっているということです。
予算計画と実行との差異を把握できるから
会社は、年度初めに予算計画(目標)を作成します。それは売り上げであったり、経費削減を見込んだものであったりと様々です。せっかく予算を組んでも、それをリアルタイムで比較しなくては意味がありません。
月次決算を早く完成させることで、予算との差異も早く比較することができ、予算との差が大きい場合には予算を修正したり、対策を図ったりすることが可能になります。
資金繰りの把握と計画を行えるから
会社にとって、日々流れる資金の出し入れがスムーズであればあるほど、経営は安定していると考えられます。数ヶ月後、1年後の資金繰りに問題がないか、また設備投資をすべきタイミングは妥当かどうかなど、資金の現状を月ごとに把握することは大事です。また、資金繰りの相談を金融機関に行う際には、直近の申告済み決算報告書とともに、期中の月次決算も求められることが多いでしょう。
その際、月次決算が2ヶ月も前のものしか完成していないとなれば、金融機関に対しての印象はあまり良くありません。いつでも求められたときに正確な月次決算を提出できるのが理想です。
会計処理のミスを早期に発見できるから
毎月月次決算を行うことで、集計された帳簿にミスがないかを早期に発見することが出来ます。会計処理は日々正確に行っているつもりでも、計算ミスや転機ミスなどが起こりやすいものです。時間が経過すればするほど、ミスの原因を確定するのは難しくなってしまうのです。また、もしもの不正会計処理の場合などにも早期発見が期待出来ます。
月次決算が遅れる原因
上で述べたように、月次決算は会社にとって非常に大事な業務です。しかし、同時に早期に月次決算が完成しなければ、会社のマイナス要因となってしまいます。十分にその重要さを理解している経理部ですが、思うように月次決算を完成させることが出来ないと悩んでいる人も多いでしょう。では、処理が遅れてしまう原因には、どのようなことが考えられるでしょうか。
営業担当など他部署や他社からの提出遅れ
たとえば、営業担当からの請求書発行の遅れや、仕入先などからの請求書の到着遅れ、社員の経費精算の遅れなど外部の要因により、会計処理がスムーズに進まない場合があります。
会計処理の事務に時間がかかる
経費精算や会計処理で手作業の部分が多い場合、様々な業務が集中する月末は事務作業が遅れてしまうことがあります。また、手作業が多い事務処理はミスも発生しやすく、その原因を確認するための時間や労力も必要になってしまいます。
各部署との連携・承認に時間がかかる
各部署との伝票のやり取りや、確認のための承認が必要な場合、どこかで停滞してしまい、スムーズに進行しない場合もあります。
月次決算を早期するためにできること
月次決算は、月末後の集計から約1週間程度で完成することが望ましいとされています。できるだけ早期に月次を完成させるためには、どのような方法があるでしょうか。
書類の締め切り日を徹底する
他の部署からの書類の締切日について、全社的に徹底した体制にすることが大事です。期日までの提出の通達はもちろんですが、経理部からも催促するような働きかけも必要になるかもしれません。また、請求書の送付が遅い仕入先に対しては、個別に期日の指定をしても良いでしょう。特定の取引先が○○日必着と期日を設けてくるのは珍しいことではありません。
経費精算や会計処理をシステム化する
一つひとつ手作業で処理をしていた交通費や交際費などの経費精算を自動化し、会計ソフトにも連動させれば、さらなる業務効率化が期待出来ます。そして、人為的なミスも少なくなるのではないでしょうか。たとえば、株式会社ラクスが提供する「楽楽精算」は旅費交通費の自動計算や交際費の承認までシステム化され、さらに自動仕訳や会計ソフトとの連動により、早期に会計処理まで進めることが可能です。
まとめ
会社の現状把握、今後の対策など、月次決算で見えてくることはたくさんあります。正確に、かつ素早く月次資料を作成することが出来れば、会社の経営安定化にもつながります。意味のある資料となるよう、月次決算の早期化についてぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
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