DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? 企業がすべき対応

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

今や毎日のように新聞やテレビ、インターネットなどで「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を見かけます。日本政府においても、菅総理が2020年10月26日の所信表明演説でDXを政権の最重要課題と明言しており、2021年にはDX推進のためのデジタル庁が新設される見込みです。
今回はDXがなぜこんなにも注目され重要視されているのか、中小企業にとってどういった意味があるのかを説明していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? DX=IT化ではない

DXとは「デジタルを利用した変革」のことを指します。経済産業省はDXを以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

経済産業省『「DX推進指標」とそのガイダンス』

簡単に説明すると、会社の成長や競争力を高めるために、デジタル技術を使って業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革しましょうということなのです。
IT化が業務効率化などを「目的」として情報化やデジタル化を進めるものであるのに対し、DXは情報化やデジタル化を「手段」として変革を進める経営戦略そのものと言えます。

なぜDXが必要なのか?

DXが必要な理由は、多くの企業が「2025年の崖」と言われる大きなシステムに関するリスクを抱えている点にあります。この「2025年の崖」というのは、「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」(経済産業省)がまとめたDXレポートで提唱された言葉です。

企業が、古いシステム(以下、レガシーシステム)を放置することでDXが阻害されたりシステムトラブルのリスクが高まったりするほか、既存システムの維持管理費などが高額になることを指摘しています。原因は、補修や機能追加などをたびたび繰り返してきた結果レガシーシステムがブラックボックス化してしまうことや、システムが古いため、システムダウンやデータの損失などのリスクが高まること、古いテクノロジーに対応できる技術者が高齢化したり退職したりしたことで人材の確保が困難になっていくことなどによります。

そして上記の理由により2025~2030年の間で、年間最大12兆円の経済損失が生じると予想しています。

DXレポートでは「既存システムでは生き残れない」と明言していますが、言い換えれば「DXを推進しなければ今後のビジネスで勝ち抜くことができない」ということなのです。

参照:経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』

DXの活用が企業の明暗を分ける

DXの推進は米国や中国の企業は当たり前のようにデジタル活用を前提としたビジネスモデルや価値創造を進めています。
典型的な事例として書店の例を見てみましょう。2020年はAmazonが日本市場に参入してちょうど20年です。参入した2000年時点での日本国内の書店数は2万1,495店でしたが、現在は1万1,024店(2020年5月1日時点)とほぼ半数まで減っています。原因は、Amazonによる書籍のネット販売やAmazon Kindleなどの電子書籍によるものだけとは言えませんが、Amazonという「黒船」の到来によって、それまで「太平の世」を送っていた書店業界が大きく変革の波に飲み込まれたということは言えるでしょう。今後ほかの産業でも同様のことが起こる可能性が高いのです。
大きな変革の中にあっても企業を成長させ続けるためには、常に競争力を確保し続けなければなりません。そのためにもDXは重要な鍵となります。

DXの推進が競争力を向上させる

DXはどのようにして企業の競争力を向上させるのでしょうか。身近な例で言うと、現在は人の手を使って行っている数値の転記や集計、確認などの作業がDX推進によって自動化できれば作業時間の短縮やミスの解消につながり、業務の生産性は大幅に向上できます。
さらに、DXは単に業務の生産性を向上させるだけではありません。生産性向上で大幅なコスト削減が実現できれば、人材や資金、設備などのリソースを新たなデジタル技術の活用によって、それまでできていなかった業務だけでなく、組織、プロセス、企業文化・風土の変革にも充てることができるようになります。また、データの有効活用によりいち早く顧客行動の変化に対応したビジネスを展開することも可能になります。

DXはBCPの拡充につながる

そうした新たなビジネスの創出や競争力確保などによって、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の拡充にもつながるのです。DXによって「黒船」来航への対応力を備えることができるようになると言えるでしょう。
新型コロナウィルスの流行により世界中の企業が急激な働き方の変化を強いられている現状においては、BCPの視点からもDXの重要性が高まっていると言えます。“データとデジタル技術の活用によって、顧客や社会のニーズに基づいた製品やサービス、ビジネスモデルの変革を行おうとする”というDXは、リスクを回避し、かつ企業を存続させるために必要不可欠なものになっているのです。今やDXは事業継続の必須条件と言えます。

DX導入のステップ

DXを実現していく上ではレガシーシステムからクラウドシステムを活用していくケースが一般的ですが、まずは自社の業務の棚卸が必要です。その上で「デジタル化⇒効率化⇒共通化⇒組織化⇒最適化」のステップで進めていくことになります。
棚卸した各業務で使用していたさまざまなツールをデジタルに置き換え、データを蓄積していき、そして蓄積したデータを活用してどのように効率化していくのか、また他部門でも活用できるように共通化していき、さらに効率的な運用のための組織作りへと進める、といったロードマップが必要となります。つまり、IT投資の経営戦略が重要となるのです。

経理プラス:IT経営が中小企業の生死を分ける 経営者に求められるIT活用とは

まずはスモールスタートから

資金や人材面で余力の少ない中小企業にとっては、大きな費用をかけた変革はリスクが高く、踏み出しにくいでしょう。しかし、現在は少額でスモールスタートできるクラウドサービスが充実しており、低リスクで始めることができます。
また、スモールスタートする際には経理部門から始めることがおすすめです。一般的に、経理部門はルーティン化された業務が多く、ハンコや紙の書類が多く使われており、定型的でアナログなプロセスが多く残されているケースが多いでしょう。これらルーティンワークやアナログな業務は、少ないコスト負担でも大きな改善が見込める業務です。

また、効果を確認しながらDXの範囲を広げていくことも可能です。経理は企業の屋台骨のような役割を担っている部署であり、給与の振込、請求書の発行、取引先への支払、経営判断の基となる数字の抽出など、どれか1つでもストップしてしまうと企業の信用や経営判断にも関わります。目立たないながらも非常に重要な業務を行っている部署だからこそ、いかなる時であっても業務が止まらないように仕組みを構築しておく必要があります。DXは単なる業務効率化ではなく「改革」です。経理をデジタル化させることで、経営判断に必要なデータが素早くいつでも確認できるようになり、経営のスピードアップにもつながります。そのため経理部門のDX推進は企業の競争優位を確立していくために優先度が高いといえるでしょう。

まとめ

ビジネスにおけるデータとデジタルテクノロジーの活用は、企業自身のビジネスモデルと向き合い、継続して変化を続ける取り組みです。DXは企業を存続させ、競争力を向上させるために常に続ける必要があるのです。
新型コロナウィルス感染症の影響により業務の見直しを迫られ、当たり前の業務が当たり前でなくなっている現状は従来業務の見直しとデジタル化が真価を発揮する時でもあります。つまり、今がDX推進の絶好の機会と言えるでしょう。ぜひ、今一度業務を見直しDXの推進を検討してください。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

著 者 佐藤 義規

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Fortuneトップ100に入る米欧4社でのマネジメント経験と、IT ベンチャーでの起業経験を活かし、ビジネスコンサルタントとして活躍。国内外の事業家支援や企業向けコンサル、起業家や経営者向けセミナーなどを数多く実施。専門は、業績改善や業績アップ。また、心理カウンセラーの認定を持ち、経営幹部のメンタルサポートや社員のマインド改善セミナーなども行っている。