データガバナンスとは 経理担当者が押さえておきたい情報の管理方法

2021年9月にデジタル庁の新設が予定され、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが急がれる中、新聞やテレビのニュースなどでデータ活用やコンプライアンスの話題の中に「データガバナンス」という言葉が度々登場します。しかし詳しい説明なしに使われていることが多く、日常的にデータベースやデータ分析に携わっている方でない限りよくわからないというのが正直なところではないでしょうか。

実はデータガバナンスへの取り組み方次第で、企業の未来は大きく左右されるのです。今回は中小企業のデータガバナンスへの取り組みの重要性について解説します。

データガバナンスとは?

データガバナンスについて、総務省やIT企業、大学などの研究機関などがその重要性について触れています。しかし、定義については明確な記載がなかったり、特定分野に特化して書かれていたりするため、ややわかりにくいといえます。単純に言葉として考えれば「データ」の「ガバナンス(統治)」ですから、そのままの意味で「データをどのように管理していくか」という意味になります。言葉としてそのまま通じてしまう用語であるため、明確な定義が書かれていないともいえるでしょう。

参考:総務省「社会資本分野におけるデータガバナンスガイド」

参考:東京都 ICT先進都市・東京のあり方懇談会「提言」

分かりやすい定義として日本IBMがデータガバナンスを以下の通り定義しています。

「データ・ガバナンスとは、企業内のデータの可用性、関連性、使いやすさ、保全性、セキュリティーの全体的な管理を指します。」

引用:日本IBM「データガバナンスとは?」

つまり、自社のトップから下部組織に至るまで、様々な部門の管理職の意思決定や組織を横断した業務執行を支援するために行われる「データの運用管理の仕組み作り」がデータガバナンスであり、そこには、単なるデータ管理以上に重要なことが含まれているということです。

言い換えると「データの管理・運用ルール」を自社のビジネスの状況や意思決定のスピードと正確性、そしてリスクマネジメントなどの観点からどのように定め運用していくか、ということです。そこには当然、情報漏洩など外部に対するセキュリティ対策やコンプライアンスの遵守、コーポレートガバナンスや内部統制といったモニタリングやチェックを行う仕組みも含まれます。

データガバナンスの不備は企業の存続に関わる

昨今、企業の謝罪会見は珍しくなくなりました。会見で謝罪する内容の多くがデータガバナンスに関わる内容です。例えば、情報漏洩や法令違反などコンプライアンスに関わる問題や、CSR(企業の社会的責任)が問われる事案などです。多種多量のデータを迅速に収集管理し、必要な水準のデータ分析が行われ、さらに法令の順守や社会通念上のルールや企業倫理などを踏まえていないと、適切でない意思決定を行ってしまうリスクが生じることになります。そしてそのリスクは、単なる売り上げや利益を左右するだけでなく、企業の存続につながるようなケースすらありえるのです。

適切な意思決定を行うためには、経営判断やビジネス上の重要決定を行う上で指標となる必要な経理・財務データが「必要な時」に「正確」に「即座」に把握できることが重要です。そして、それらのデータがあらかじめ定めたポリシーに基づいてしっかり運用管理されていることが必要なのです。

なぜデータガバナンスが必要なのか?

すでにデータガバナンスが必要な理由はおわかりでしょう。データガバナンスができていなければ、自社の経営判断や業務の意思決定を誤ってしまう可能性があります。これは経営者として決して歓迎できることではありません。データガバナンスは、単なるデータポリシーやセキュリティではなく、データを活用する人や組織全体がデータを活用しやすい状態に整える、つまり、データをマーケッターや事業責任者、経営者までもが適切に使える状態にすることなのです。収集したデータが間違いだらけだったり、全く形式が揃っていなかったりすると、必要な時に活用できないだけでなく、データ分析の結果すら信用できなくなります。使える状態に最適化しておくためには、データの収集プロセスや形式(型・桁、コード体系など)を標準化しておくことが必要です。それがデータの分析・活用を効率的に進める手段なのです。

また、昨今は企業の情報漏洩や法令違反などコンプライアンスに関わる問題も大きなリスクとなります。企業存続に関わるようなリスクを避けるためにも、データガバナンスに積極的に取り組み、データの取扱い規定や内部統制、法令順守などのポリシーも適切に標準化・ルール化しておくことが必要なのです。

データガバナンスのメリット

データガバナンスによってもたらされるメリットは非常に大きいものがあります。

  • コンプライアンス違反を未然に防止できる
  • 情報漏洩などのミスがあった際にすぐに対応できる
  • 組織間でのデータ連携が円滑になり経営数値の正確性が向上する

データガバナンスによって、あらかじめ定めたセキュリティポリシーに則っているかを常に監視でき、コンプライアンス違反を防ぎ、万一ミスがあっても迅速に対処することが可能となります。

また、経理・財務・営業上で活用するデータの正確性が向上するほか、組織横断的にデータ管理ができるようになります。これによって組織間でのデータの共通認識が取れるようになり、無駄な作業やミス・コスト削減にもつながります。必要な時に、即座に必要とされる正確なデータが把握できるようになることで、常に適切な、もしくは最善の判断を行うことができるようになります。

特に経理の場合、経営判断に直結する数値を扱います。経理周りのデータガバナンスを整備することによって正確な経営判断を素早く行うことが可能になるため、経営への貢献度は非常に大きいといえます。その意味でも、経理部門から率先してデータガバナンスに取り組むというアプローチが推奨できます。特に最近は経理業務に特化した多くのサービスやシステムが登場しており、こうしたシステムやサービスを導入することで、より効率的に整備を進めることが可能になります。

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経理システムを導入する際の進め方と選定基準

経理システム導入の進め方

経理部門に経理システムやサービスを導入することで、データガバナンスの整備を図ることが可能となりますが、その際に重要なことは、データガバナンスに対する社内の理解促進です。従来のデータの管理方法を変えることに対しては現場の抵抗が大きく、一気に組織全体に導入するのは難しいでしょう。成功させるためには、社内の理解を獲得しながら徐々に進めていくことが重要です。特に経理に関しては多くの組織横断的な承認フローが存在し、内容によって細分化されていることでしょう。それをいきなり変えさせるのはかなりの時間と労力を必要としますし、現場の抵抗が強ければ成功させるのは難しくなります。

事前に関係する部署に対して「データガバナンスの考え方に沿って、どのようなシステムを導入するのが良いのか」といった部署ごとの利用者ニーズを確認しておくことが大切です。提供する情報の定義を定め、データごとのアクセス権限設定や承認フローなどを確認しておけば進めやすくなります。データ活用者からの定期的なフィードバックや、経営情報システムのログ分析等からニーズ把握および実際の活用情報を把握することも必要です。

こうした作業を事前に行っておくことで、あらかじめ課題や障害となりそうな項目を洗い出しておくことが可能になりますので、導入する際にはスムーズに進めることができることでしょう。

経理システムの選定基準

実際に経理システムを導入する際の選定基準ですが、事前に関係する部署に確認することに加え、下記5点が重要です。

  1. 手作業が大幅に削減できること
  2. 自社の事情に合ったアクセス権限などの設定の自由度
  3. システムの扱いやすさ
  4. セキュリティ体制
  5. 部署ごとに扱うデータの整合性が取れていること

その上で自社の事業や業務の固有のニーズを満たすことができれば、自社に最適なシステムを選定することができるはずです。

まとめ

どんなに優れた経営者であっても、自社の事業や営業実態を適時に把握せずして、経営上の意思決定を行うことは困難です。同様に、事業責任者や営業責任者も現状を知らずに最適な判断を下すことはできません。IT技術の進化によって、様々なデータを管理することは可能となったものの、必要な水準のデータ品質を維持できず、適切でない意思決定を行ってしまうリスクも増えています。環境変化のスピードが増している中で、データガバナンスを効率的・効果的に整備しなければ、生産性の向上やコスト削減を進めることは難しいでしょう。

データの品質やセキュリティを担保し、あらゆるデータを管理し、最適なタイミングで最適なデータを活用すること、すなわちデータガバナンスの確立が、これからの企業経営に不可欠な条件といえます。

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この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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● 著者

佐藤義規

佐藤義規

Fortuneトップ100に入る米欧4社でのマネジメント経験と、IT ベンチャーでの起業経験を活かし、ビジネスコンサルタントとして活躍。国内外の事業家支援や企業向けコンサル、起業家や経営者向けセミナーなどを数多く実施。専門は、業績改善や業績アップ。また、心理カウンセラーの認定を持ち、経営幹部のメンタルサポートや社員のマインド改善セミナーなども行っている。