節税と脱税、租税回避の違いを説明できますか?税理士がわかりやすく解説します

皆さん、「脱税」という言葉は聞いたことがあると思います。
また、「節税」という言葉も聞いたことがあると思います。
それでは「租税回避」はどうでしょう?聞いたことがあるでしょうか?
聞いたことがあるという方でも、それぞれの違いを説明できるでしょうか?
事業をしているのであれば、この違いをきちんと認識していないと後々大変なことになってしまうかもしれません。
今回はこれら「脱税」「節税」「租税回避」についてなるべくわかりやすく説明したいと思います。

 

脱税とは

脱税とは、課税される要件があるにも関わらず、これを故意に隠して、課税を不法に免れようとする行為です。
例えば、売上をわざと除外したり、架空の経費を計上したりして、所得を圧縮する行為は脱税となります。
脱税の罰則はかなり厳しく、延滞税、加算税、刑事罰の3つがあります。
延滞税とは利子のようなもので、税金を期限までに納めなかった時、期限後申告をした時、修正申告をした時などに課されます。
加算税には、申告期限内に申告したものの納税額が過少であった場合に課される「過少申告加算税」、申告期限までに申告しなかった場合に課される「無申告加算税」、源泉徴収税額を納付期限までに納付しなかった場合に課される「不納付加算税」、事実を仮装隠蔽した場合に課される「重加算税」の4つがあります。
特に加算税については先日公表された「平成28年度税制改正大綱」においても加重措置を導入することとされましたので、適時に適切な申告・納税をしなければ、多くの税金が課されてしまいます。
脱税の刑事罰としては、確定申告書等をその提出期限までに提出しない場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科となり、偽りその他不正の行為により課税を免れた場合には、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれを併科となります。

 

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節税と脱税の違い

脱税には延滞税、加算税の他にも懲役も含めた厳しい刑事罰があることがお分かりいただけたと思います。
その脱税と一文字違いで「節税」というものがあります。
節税とは、税法が予定している範囲で税負担を減少しようという行為です。例えば、必要経費を適切に計上して課税所得を圧縮したり、税額控除などを利用して税金の額を少なくすることは、税法によって認められた行為ですので脱税にはあたりません。むしろ、余分な税金を支払って資金繰りに窮してしまわぬよう、積極的に利用していくべきものです。
この点において、顧問税理士はクライアント対し、節税に関する情報を積極的に提供すべきですし、クライアントからも設備投資などの金額が大きくなる案件は、その実行前に税理士に相談すべきです。
経理部員としては、そういった相談を気軽にできるよう、顧問税理士との良好な関係作りも業務の一環ですし、そのような関係を作れる税理士を顧問として迎えるべきです。

 

租税回避とは

節税と脱税の違いについては、これまでの説明がなくともご存知だった方もいらっしゃると思います。
では、「租税回避」についてはどうでしょうか?
租税回避とは、税法が想定していない形式で税負担を減少させようとする行為です。
脱税が、課税される要件がありながらこれを隠す行為であるのに対し、租税回避は課税要件をくぐり抜けるためだけに、通常ではありえない不自然、不合理な取引形態を採用することを言います。つまり、法の抜け穴を突いて、課税を逃れようとする行為と言えます。
このような租税回避行為を防ぐために、例えば「同族会社の行為または計算の否認(法人税法132条)」など、租税回避行為を否認する規定も存在しますが、税の世界はあくまで「租税法律主義」、つまり法律に定められず税を徴収されることはないというのが大前提です。
そのためこれまでも、租税回避を巡って様々な争いが行われてきました。
例えば、かつて海外居住者への在外財産の贈与が課税対象外とされていた時代に、受贈者を海外に住まわせた上で多額の株式を贈与し、贈与税を免れた事案において、最高裁は租税法律主義のもと、国の追徴課税処分を取り消しました。
つまり、たとえ租税回避に該当する行為であっても、課税する法律がないのであれば、課税することは適当ではないと判断したということです。
一見すると、「租税回避を認めるなんて不公平だ」と思うかもしれませんが、法律に定められていないにも関わらず税を課されるとすれば、そちらの方が不公平だと思います。
予測可能性を高め経済を安定させるためにも、租税法律主義に則った最高裁のこの判決はまっとうなものと言えるのではないでしょうか。

 

まとめ

いかがだったでしょう。脱税、節税、租税回避の違いがお分かり頂けましたでしょうか?
特に脱税の場合には、最悪の場合には懲役まで課されてしまいます。
不安であれば必ず顧問税理士に相談し、申告や納付は必ず適時・適切にするようにしましょう。

 

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● 著者
大野 修平

大野 修平

公認会計士・税理士 前職の有限責任監査法人トーマツでは銀行、証券会社、保険会社など金融機関向けの監査、デューデリジェンス、コンサルティング業務などに従事。 トーマツ退所後は会計事務所シンシアにて「ビズバ!」というオウンドメディアの企画、編集を担う。また、会計や税金を身近に感じてもらえる様々なイベントを運営している。 無類の読書好きで、蔵書が3,000冊を超えないようコントロールすることに頭を悩ませる日々。

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