手形取引がきても大丈夫!手形の基礎知識から受取手形の会計処理方法まで
取引先から商品やサービスの代金を手形で決済することを希望される場合があります。また、通常取引は掛取引で行っていても、資金繰りの問題から手形による支払いを求められることもあるかもしれません。そんな場合でも、問題無く会計処理ができるように受取手形についての処理方法を確認していきましょう。
手形取引とは
手形とは、特定の期日に手形額面の金額を支払うことを約束する有価証券のことを言います。その場で現金のやり取りをせずに、決まった期日に代金を支払うという点では掛取引と変わりありません。しかし、掛取引は、支払期日や支払義務について法的な拘束力はそれほど強くないのに対して、手形取引は支払いに関して法的な強制力を持ちます。
掛取引については、「今月は資金繰りが厳しいから支払いを遅らせて欲しい」という申し出に対して、取引の当事者間で支払期日を話しあうなどして調整を図りますが、手形取引ではそうはいきません。支払期日までにその金額が当座預金に入っていない場合は、「不渡り」となります。
半年の間に2度の不渡りを出してしまうと、銀行取引が停止となり、その事業について大きな支障が出てきます。
手形取引は、手形を振り出す企業にとっては、支払いを先延ばしにするという面で資金繰りを調整するメリットもありますが、資金を用意できなかった場合のリスクもあります。
受取手形の会計処理
では、実際に受取手形の経理処理を見ていきましょう。
- A社に50,000円商品を販売し、その対価として受取手形を受け取った
<仕訳>
借方科目 金額 貸方科目 金額 (受取手形) 50,000円 (売上) 50,000円
- 決済期日に受取手形の決済がされ、普通預金に入金した
<仕訳>
借方科目 金額 貸方科目 金額 (普通預金) 50,000円 (受取手形) 50,000円 受取手形の決済については、銀行に手形の取立てを依頼することになります。取立て依頼は、決済期日よりも前もって行う必要がありますので注意してください。
- 受取手形を決済期日の前に銀行で割り引いた。割り引いた際に、割引手数料として10,000円を割り引かれ、差額として40,000円を普通預金に入金した。
<仕訳>
借方科目 金額 貸方科目 金額 (普通預金) 40,000円 (受取手形) 50,000円 (手形売却損) 10,000円
その際には、手形の額面から利息相当額や手数料分が割り引かれた金額で現金化されます。この割引分については、手形売却損として処理されます。
受取手形のその他の会計処理について
受取手形について、受取から決済までの基本的な流れを確認してきました。では、手形の裏書譲渡や不渡りとなった場合についても見ていきましょう。
- B社から商品を50,000円で仕入れ、その支払いとしてA社の受取手形を裏書譲渡した。
<仕訳>
借方科目 金額 貸方科目 金額 (仕入) 50,000円 (受取手形) 50,000円
このケースで見ていくと、自社はB社から商品を仕入れたので、B社に対して50,000円の支払い行う必要があります。そこで、そのB社に対する払いについてA社振り出しの50,000円の受取手 形を譲渡することで済ませたということになります。
当然、受取手形をB社に譲渡したので、流動資産に計上していた受取手形を打ち消す処理を行います。
- 受取手形が不渡りとなった場合
<仕訳>
借方科目 金額 貸方科目 金額 (不渡手形) 50,000円 (受取手形) 50,000円
ですから、受取手形を打ち消して新たに「不渡手形」の勘定科目を使って処理します。
最後に
受取手形について、会計処理方法を中心にご紹介していきましたが、いかがでしたか?
受取手形については、取立ての期日もあるため、処理方法だけでなく、常に貸借対照表上の計上額とその内訳も把握しておくことも重要です。
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。