特別償却または税額控除か? 設備投資で検討すべき手段とは

業種によっては、数年に一度は大きな設備投資をすることもあるでしょう。資産に計上しなければならないような高額な設備などは、特別償却や税額控除という節税につながる選択肢があります。聞いたことはあっても、曖昧なイメージだけの人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、特別控除と税額控除の違いやどちらを選択することがよいかをお伝えします。すでに設備を購入した、またはこれから購入を検討している企業はぜひ参考にしてください。

特別償却をおさらい

特別償却とは、一定額以上の機械設備やPCソフトなどを含む資産を購入した際に、当期分の減価償却に上乗せして償却計上することが可能になるものです。一定額以上の高額資産とは、おおよそ30万円以上が目安となります。

通常であれば、機械設備などは、決められた耐用年数の当期減価償却分のみしか、経費計上はできません。しかし、特別償却は、当期減価償却分を越えて計上することができるため、利益を抑えることができ、税金の負担を減らすことにつながります。また、減価償却を前倒しして費用化することは、固定資産比率を下げることになり、対金融機関などからは財務状況として安全性が高い企業であると判断してもらえる可能性が高まるメリットがあります。

特別償却は、制度に沿って一定の割合で減価償却に上乗せして計上できますが、もしも当期で決められた特別償却分を消化できなかった場合は、1年間に限り繰り越すことが可能です。当年度の利益が少なかった場合などには有効かもしれません。

ちなみにこの制度は、資本金1億円以下の法人や個人事業主などの中小企業が対象であることに注意しておきましょう。

特別償却をする場合の例

特別償却は、通常の減価償却に上乗せできます。どのようなことなのか、わかりやすくイメージできるように図で確認してみましょう。

・機械設備500万円を購入し、減価償却は年に100万円ずつ、特別償却率は30%(150万円)とする

減価償却だけなら、当期分は100万円のみですが、特別償却の150万円をあわせて、250万円が経費計上できることになります。また、特別償却には月割りという概念がありません。1年の内、どの時期に購入したとしても変わりませんので、月割りでの計算はありません。

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特別償却と税額控除の違い

特別償却以外に、「税額控除」という選択肢もあります。特別償却は減価償却に上乗せして計上することにより、利益から差し引かれて法人税などが抑えられるというものです。一方税額控除は文字通り税金から差し引かれるもので、購入額の一定割合分を直接税額から引くことができます。この点が特別償却と税額控除の大きな違いです。

特別償却の仕組みについては、先に図で解説した通りです。税額控除の仕組みと比べてみましょう。仮に税額控除の割合は7%とします。

・特別償却の場合 減価償却

・税額償却の場合 減価償却+法人税                   

特別償却は経費として計上することで税金を削減し、税額控除は算出された法人税から税金を削減します。イメージとしては似ているように思えますが、まったく別の方法であるといえるでしょう。

ただし、税額控除で注意しなければならないことは、控除できる金額は法人税の20%が上限であることです。

上記の例で説明すると、もしも法人税が100万円であった場合、もともと税額控除で差し引く予定の金額は500万円×7%=35万円です。また、法人税の20%は、100万円×20%=20万円です。この場合、20%の上限分である20万円だけが控除されることになります。

これでは満額の控除ができずに損をしてしまうのでは?と心配になるかもしれませんが、実は控除できなかった残りの分は、1年間に限り繰り越すことが可能です。あくまで法人税の20%が上限という条件はあるものの、特別控除とおなじように翌年にも税額控除ができます。

節税効果があるのはどちらか?

高額な機械設備などを購入したときには、特別償却と税額控除のどちらを選択する方がより節税になるのでしょうか。

厳密には、申告をする財務状況によっても判断が分かれるところではありますが、一般的には税額控除の方がより節税効果が得られるでしょう。

なぜなら、特別償却と税額控除では、計算方法に明確な違いがあるためです。先にも述べた通り、特別償却は通常の減価償却に上乗せして経費計上ができるものです。初年度に比較的大きな節税効果が得られることがメリットですが、2年目以降に償却すべきものを前倒ししているに過ぎません。

特別償却をしたい年度に利益が大きく計上されそうな見込みがある場合は、節税効果として有効にもなりますが、トータルでも減価償却が増えるわけではないのです。

一方で税額控除は、減価償却とは別の法人税から差し引きができます。減価償却とは別途に税額負担を削減しているという点で、より節税効果が得られるのは税額控除の方といえるでしょう。

しかし、企業にとって何が有利に働くのかは個々のケースにも左右されます。そもそも利益が少なく、税額も少額であるケースや、利益がまったくでないケースなどもあるでしょう。

また、税額控除には控除できる上限額が決められているなど一定の条件があります。どちらを選択することが最適であるかは、税理士などとしっかりと検討するとよいでしょう。

まとめ

今回は、高額な設備投資などをした場合の節税対策として、特別償却と税額控除についてご紹介しました。どちらの方法にも、企業にとってメリットとなることがあり得ます。そのため、一概にどちらかだけをおすすめすることはできませんが、初年度となる当期分を含め次年度の見込みはどうなのか、といったように単年度だけではなく複数年度での計画をたてながら、専門家と相談して判断していくことが大切です。最適な選択ができるようにしっかりとシミュレーションしていきたいですね。

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● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。