連結納税制度を導入すべき会社とは

連結納税制度を導入すべき会社とは

連結納税制度導入のメリットとデメリットは、制度に加入する連結親法人と連結子法人がそれぞれ個別に法人税の申告を行う場合と連結納税制度を導入すべき会社は、換言すれば、それによりメリットを受けることができる会社ということです。先に見た連結納税制度のメリットがデメリットを上回るのみならず、経営上もメリットとなることが必要でしょう。

他方で、連結納税制度は一度始めると連結親法人の都合で安易に終わることが出来ないので、導入の適否を考える際には、短期的視点よりも中長期の視点が必要になります。現在親会社が多額の欠損を抱えており、これを単独で解消することは難しい。しかし、100%子会社は利益を上げている。この欠損金を利益と合算し、親会社の欠損金で子会社の法人税を削減するというような目的で、連結納税制度を開始すると、その子会社の時価評価により含み益が表面化して、結果として法人税額が多くなってしまうということもあり得ます。

この観点から、

  1. 連結親法人が赤字体質で連結子法人が黒字体質なので合算して法人税を削減したい
  2. 連結子法人が経営上の要請により設立され、連結法人間で生じる所得に対する法人税はコストと受け止められてきたがこのコストを削減したい

という2つの考えが適当に思えます。

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連結親法人が赤字体質で連結子法人が黒字体質

基本となるのは、連結法人間での取引形態・価格設定やそれぞれの経営上の役割から、基本的に赤字体質なのか黒字体質なのかということです。赤字体質と黒字体質を合算し、法人税を最適化する観点から連結納税制度を採用することは合理的でしょう。

しかし、連結納税制度には取止めの難しさ、維持費が掛かり、更に地方税や事業税といった他の税金には影響を及ぼしにくいことを考えることも必要です。この点からは、まず何故赤字体質なのかを十分に分析し、その原因を特定して対策を立てる必要があるでしょう。連結法人間の取引形態や価格設定の見直しがまずなされる必要があるでしょう。その結果、その赤字体質が連結グループ経営上改善することが難しく、他方で黒字体質は継続するとの確信があれば、連結納税制度の開始は合理的な結論になります。

例えば、持ち株会社が連結グループの頂点にあり、すべての子会社が実業に携わり利益を上げている。持ち株会社は、経営指導料やロイヤリティを子会社から得ているが、それだけでは赤字体質脱却に困難を伴う。こういった場合、連結納税制度の導入は合理的になります。

子会社による事業展開により生じた法人税コストの削減

これは冒頭の2.にあたります。
もし、経営上必要が無ければ子会社という形で事業を展開する必要性を見出すことは難しくなります。逆にいえば、経営上必要だから子会社という親会社とは別の法人格で事業を展開してきたということです。これにより経営上のニーズや目的は達せられましたが、反面で、複数の法人格に分かれることから、黒字体質の子会社には課税が生じ、赤字体質の子会社は繰越欠損金を以降の所得で生かすことが難しいという税金問題が生じてきます。経営はトップダウンで行われても、課税関係はトップダウンとは異なるところで決まってしまう。もし、子会社という事業展開という経営判断を取らなければ、法人税は増加しなかったかもしれません。
このように経営上の必要性から子会社展開を行ってきた会社にとって、連結納税制度は合理的と考えることが出来るでしょう。

最後に

どのような条件があれば連結納税制度を導入すべきという議論は、経営ニーズと切り離してするものではないと思います。上記の2つの例も、連結納税制度の採用を無条件で勧めるものではありません。連結子会社の時価評価や欠損金の持込制限、導入並びに維持コストを検討し、その採用が中長期で合理的か否かを慎重に判断する必要があるでしょう。連結親会社にお勤めの方と連結子会社にお勤めの方々が連結納税制度を十分に理解し、自社の置かれている状況、中長期経営計画などを踏まえて検討することが必要です。
そして、必要に応じ税理士や税理士法人、更には監査法人などに支援してもらうことを考える必要があるでしょう。あくまでも支援であって、丸投げしてはいけません。会社を一番判っているのは、そこにお勤めの方なのですから。

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● 著者

富永 和也

富永 和也

センチュリー監査法人(現、新日本監査法人)に勤務し、一般事業会社(電気関係・投資関係)・地方銀行・学校法人・労働組合(百貨店・商業関係)等の監査業務を担当。その後、個人事務所を開業。 一般事業会社・学校法人・公益財団法人等の監査業務、会社財産評価業務、内部統制の構築・点検、記帳指導・税務代理申告等の税務業務、経営コンサルティング業務等を行い、現在に至る。