決算賞与を利用した法人税の節税とは

決算賞与とは

企業では、思いのほか業績が良くなり利益が大幅になったところで決算を迎えてしまうということがあります。そのまま申告となると税金も多額となるため、決算前に急いで行う節税方法のひとつに決算賞与という方法があります。

決算賞与とは就業規則等で支給予定日を定めている夏や冬の賞与とは異なり、決算の前後に支払われる賞与のことです。
決算賞与は、要件を満たせば決算時に未払であっても今期の損金と認められます。
以下より、決算賞与を出すことによる節税方法について説明していきます。

 

決算賞与で節税する場合のメリット

メリットその1:法人税の節税になる

決算賞与は本来決算月に支払うものですが、要件を満たしていれば、決算月に未払であっても損金とすることができます。

例えば課税対象となる利益を1,500万円とします。
法人税の税率を約40%とすると、600万円の法人税額となってしまいます。
そこで従業員にも還元するため、期末に決算賞与を全従業員に支払うことにし、決算賞与を全額で500万円支払った場合、課税対象となる利益は1,000万円となり、法人税額は1,000万円×法人税率の40%の400万円で、200万円の法人税の節税になりました。

メリットその2:従業員のモチベーションが上がる

決算賞与は夏と冬の賞与以外の臨時の賞与です。
会社の利益が大幅に上がるということは従業員も大幅に貢献していることになるので、頑張った従業員に還元することで、予期せぬ利益がでて納税するより従業員のモチベーションも上がります。

 

決算賞与で節税する場合のデメリット

デメリットその1:お金を支払うので会社の留保額が減る

節税になるので法人税は減額されますが、従業員に決算賞与として支払を行うので会社の留保額は減ることになります。

メリットその1で、利益1,500万円のときの法人税額は600万円でした。決算賞与を500万円支払ったあとの法人税額は400万円なので、法人税額だけみれば200万円節税されていますが、決算賞与の500万円を支払っています。

手元の留保額である現預金は単純に支払が必要な金額で比較すると、何もしなかった場合の法人税額が600万円と、決算賞与を支払った場合は決算賞与500万円と法人税額の400万円を合わせた900万円が減少することになります。

来期の資金繰り等を考えると、もしかしたら法人税を600万円支払ったほうがよい場合もあるかもしれないので、決算賞与を支払うか、またいくら支払うかは慎重に検討する必要があります。

デメリットその2:来年以降ももらえるものと社員に思われる可能性がある

今年は利益が大幅に出たので決算賞与を支払うことができたと説明しても、従業員は来年も出るのではないかと期待してしまいがちです。
来年は今年ほど利益が上がらず通常通りの夏と冬の賞与で、決算賞与の支払いがされなかったときに逆に従業員のモチベーションが下がってしまう可能性があります。

そのため、これだけ利益が出たら決算賞与をこのくらい支払うといった具体的な基準を示すなどの工夫が必要です。

 

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決算賞与で節税するための要件

決算賞与を決算月に支払しておらず、未払金として損金経理するためには、3つの要件があります。

  • ①支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受ける全ての従業員に対して通知すること
  • ②通知をした金額を通知した全ての従業員に対し、決算日の翌日から1ケ月以内に支払っていること
  • ③支給額につき、①の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること

決算賞与を出すと決めたときには上記3つの要件を満たしていたけど、翌月末までに支払をする段階で予期せず要件を満たさなくなる、という場合があるのでご注意下さい。

例えば会社の就業規則で賞与は在職者のみに支払う旨の規定がある等で、決算賞与の通知をしたけど、翌月末までに突然退社した人がいて、在職者にしか支払をしなかった場合や、突然退社した方に支払をしようとしたけど連絡がつかず支払ができなかったなどといった場合です。

もし3つの要件を満たさずに未払金として今期の損金と認められない場合は、原則通り支払月の属する翌期の損金になります。

 

まとめ

決算賞与は法人税の節税になることに加え、会社の留保額や社員のモチベーションに関わってきます。法人税の節税目的だけではなく、次期以降の資金繰り等も考慮し、決算賞与の金額を決めてください。

また決算賞与は法人税の節税に多く利用されるので、税務調査でも確認されます。

上記の要件を満たしていれば、決算までに支払をしていなかったとしても決算賞与として損金経理できますが、もし資金繰り等の都合がつくのであれば決算日までに支払を済ませておく、全従業員への通知は書面で行う、支払いは現金より証拠を残せる銀行振り込みにするなどをしておく等、決算賞与の要件を満たしていることを確認しやすいようにしておくと税務調査があっても安心です。

せっかく決算賞与を支払ったのに、今期の損金に認められなかったということのないよう要件をしっかり確認して下さいね。

 

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● 著者

添田 裕美 (ソエダ ヒロミ)

添田 裕美 (ソエダ ヒロミ)

添田裕美税理士事務所 税理士 平成13年税理士登録。税理士事務所において延べ中小企業100社以上に関与。その後独立し添田裕美税理士事務所を開設。 経営計画書作成の支援や決算分析、節税、相続対策など、中小企業経営者の身近な相談役を目指す。