合同会社と株式会社は何が違う?特長やメリット・デメリットを紹介
法人組織の形態と聞くと、株式会社をイメージされる方が多いかもしれませんが、株式会社の他にも合同会社といわれる形態があります。合同会社は、数としてはそれほど多くはありませんが、株式会社などとは少し異なる部分があります。
今回は、合同会社の特徴やメリット・デメリット、合同会社に向いている組織などについてご紹介します。
合同会社とは
はじめに、合同会社の概要、株式会社との違いについて解説します。
合同会社の概要
合同会社は2006年に法人組織の種類として定められたもので、意外と新しい組織形態です。日本では認知度としてまだまだ不足している印象ですが、海外では1970年代にはすでに存在していました。実は、大手外資系会社であるAppleJapanや大阪府にあるテーマパーク「USJ」を運営する会社、そしてスーパーマーケットの西友も合同会社です。海外では会社の規模にかかわらず、認知度の高い形態といえます。
合同会社の特徴としては、出資者が会社の経営者であることが挙げられるでしょう。そのため、社員であっても出資していれば会社の決定権があることになります。また、出資者は有限責任社員です。
株式会社との違い
出資者が経営者となるのが合同会社ですが、出資者と経営者が別々となるのが株式会社です。この点は、合同会社と大きく異なる部分といえます。
なお、その他の法人組織の形態としては有限会社、合資会社、合名会社があります。有限会社は、平成18年の会社法改正によって廃止されました。現在ある有限会社は改正法以前に設立された組織で、「特例有限会社」として存続しています。
合名会社は、無限責任社員のみの組織で、個人事業主が複数人で共同して事業を行う形態です。また、合資会社は、無限責任社員と資本提供をする有限責任社員が一緒に事業を行う形態です。合名会社や合資会社は、比較的に小規模の組織形態であることが多いでしょう。
合同会社のメリット
合同会社には次のようなメリットがあります。
設立費用が安い
合同会社は、株式会社と比べて設立費用が安いです。登録免許税は1件6万円からで、定款の認証も必要ありません。株式会社は登録免許税の15万円に加え、定款認証に5万円かかるため、かなり費用が抑えられます。
株式会社と同じ有限責任
有限責任であることは株式会社と同じです。万が一、会社が負債を抱えて倒産したときでも、責任は自分の出資した範囲内などで済みます。
法人の節税メリットが受けられる
法人組織であるため、一定の経費が認められるなど、節税メリットを生かすことができます。設立から2年間は消費税納税が免除される点もポイントです。
決算公表の義務がない
株式会社の場合、毎年株主総会後に決算公告を行わなければなりませんが、合同会社は決算公表の義務がありません。公告は費用もかかりますが、合同会社であれば公告費用を削減できます。
自由な組織形態が可能
基本的に出資比率に関係なく利益配分が可能なため、優秀な社員に対して利益配分を高くすることも可能です。自由な組織運営ができる点は、メリットのひとつといえます。
合同会社のデメリット
法人の維持コストが安く、魅力ある法人形態の合同会社ですが、次のようなデメリットもあります。
組織形態の認知度が低い
合同会社の知名度がそれほど高くないため、社会の中での信用度が得にくい可能性があります。実際に国内の合同会社は小規模組織のところが多い傾向で、優秀な人材を集めるのも難しいでしょう。
資金調達の方法が少ない
株式会社は、株式投資をしてもらうことで資金を調達できますが、合同会社には「株式」がないため、資金調達方法が限られます。また、上場もできないため短期間での資金集めは難しいでしょう。
業務執行権でトラブルの可能性
合同会社は出資者が経営者となることは、上述で触れた通りです。そのため、出資した社員が業務執行権を持つことになります。執行権を持つ人が多く存在することで、意見が対立するなどトラブルになる可能性があります。
経理プラス:資金繰りとは?経営者、財務経理責任者必読の基礎知識を解説
合同会社はどんな組織に向いているか
最後に、合同会社が向いているのはどのような法人なのか、ご紹介します。
個人事業主からの法人なり
個人事業主からの法人なりするには、初期のコストも少なく向いています。個人事業主よりも法人の節税の恩恵を受けられるため、メリットがあります。
商品技術など個々のノウハウを持ち寄り起業
得意分野のノウハウや商品技術などを出資者がそれぞれ持ち寄って起業する場合は、出資者と経営者が同じ合同会社が向いています。柔軟性のある形態であるため、商品開発などもスムーズに行える可能性があります。
小規模形態を想定する法人
小規模な法人組織を想定している場合は、合同会社が向いています。初期費用も少なく経営者間の連携もしやすいため、スピード感のある運営が可能です。将来的に会社を大きくしたいと考えている場合でも、当初はコンパクトな組織でスタートする方がリスクは少なく済むと考えられます。
まとめ
今回は、法人組織の形態のひとつである合同会社の特徴やメリット・デメリット、合同会社が向いている組織などについてお伝えしました。日本では株式会社ほどの知名度がなく、数も少ないですが、法人の節税メリットを受けられ、設立時のコストも少なく済みます。
毎年の決算公告がなく手間がかからないため、小規模形態の組織には向いているでしょう。ただし、資金調達が限られることや経営者同士での対立のリスクも考えられますので、メリット・デメリットをよく理解した上で検討していくことをおすすめします。
経理プラス:決算公告の義務は守れている?公告企業がいまだ少ない理由とは
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。