話題の不適切会計、適切な防止策とは?

話題の不適切会計、適切な防止策とは?

2016年に上場企業の不適切会計が世間をにぎわせたのは記憶に新しいところです。経理部門としては、各部署から上がってくる報告をもとに会計処理を行っていると思いますので、もし自社で不適切な処理をしていると考えると、他人事とは思えませんよね。今回は不適切会計の防止策についてお話しします。

不適切会計処理とは?

会計処理が誤っている場合に、不適切会計処理や、不正会計、粉飾などと言われることがあります。では「不適切な会計処理」とはどういうことなのでしょうか?不適切な会計処理と不正については、明確な定義づけがされています。

不適切な会計処理とは、「意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り(監査・保証実務委員会研究報告第25号)」とされています。

他方、不正とは、「財務諸表の意図的な虚偽の表示であって、不当又は違法な利益を得るために他人を欺く行為を含み、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為(監査基準委員会報告書第 35 号)」とされています。

2つの定義の違いは、意図的であるか、意図的であるか否かに関係ないかということになります。最初に報道される段階では、会計処理が誤っていたことは明白ですが、意図的であったかどうかは不明確ですので不適切な会計処理と報道され、その後、調査が進むによって、意図的であることが明白になれば、メディアによっては不正という言葉を用いたりします。
また、粉飾については明確な定義がありませんが、一般的には不正を同じ意味、つまり意図的であることを示唆している言葉のようです。

今後は言葉の定義にも気を付けてニュースを見てみるとよいでしょう。

不適切な会計処理が発生する原因

不適切な会計処理が発生する原因を分析することで、それぞれの防止策が明白になっていくとおもいますので、説明していきましょう。

利益至上主義と目標必達のプレッシャー

東芝が不適切な会計処理を行った背景が主にこちらです。株式会社東芝第三者委員会調査報告書によれば、「チャレンジ」と称した数値目標が各カンパニーに記され、その目標達成を強く迫っていたようです。

不適切な会計処理を実行しやすい脆弱なカバナンス

従業員による着服などがこれにあたります。社内の承認事務が有効に機能していなかったり、一人に権力が集中すると従業員による不正が起こりやすくなると考えられます。上場企業の子会社でも着服の事例は多数発生しています。

経営者主導

オリンパスによるバブル経済期の投資の失敗は、飛ばしなどの手法を用いて、20年近く隠されていました。トップ主導で行うと、情報が秘密主義になり、外部の目が入らず、不適切な会計処理が行われやすい土壌を形成します。

その他にも様々な影響が考えられますが、上記が不適切な会計処理が発生する主な要因です。

不適切な会計処理の防止策

不適切な会計処理を防ぐためには、不適切な会計処理を看過できないような企業側の土壌作りが重要となります。東芝はリーマンショック後、利益が大幅に悪化し、利益至上主義に走ったようです。また、自動車業界はリコールが相次いでいますが、これも利益を圧迫させる原因となります。不適切な会計処理を防ぐためには企業を取り巻く環境について、理解することが必要となります。

また、内部統制を強化することも必要となってきます。内部統制とは、基本的に、「業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセス」とされています。内部統制の運用は、職務分掌や業務効率性を高めることにより確立されていきます。特に、職務分掌は従業員個人による着服などを看過させないために、重要な要素となります。

外部要因も理解した、内部統制もある程度確立しているというような上場企業でも、不適切な会計処理が多く発見されています。この場合は、経営者主導にて不適切な会計処理が行われていることが多いと思われます。内部統制を確立したとしても、すべての不適切な会計処理が看過されないというわけではなく、内部統制のために職務を分掌した職員同士が共謀した場合や経営者主導の場合等は内部統制の限界といって、内部統制が発揮されません。内部統制機能が十分に発揮されないときの防止策は困難を極めますが、一人一人の意識の向上や、内部通報システムの確立などによって、抑止力になるとされています。

最後に

不適切な会計処理の防止策の柱となる内部統制が、SOX法による監査を受けている東芝などでも機能していなかったという現実があります。内部統制機能を有効にするは、ビジネスパーソン全体が企業の不正に対して、厳格な意識を持つことによって高まっていくと思われます。皆様も不適切な会計処理は、絶対に看過しないというプロ意識をもって、内部統制について考えたり、そのような組織風土を醸成していくことが大切だと思います。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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著 者 経理プラス編集部

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