【申込受付中】12/13(水)@東京コンベンションホール

「RAKUS Cloud Forum2017」

繰延税金資産を正しく計上するため税効果会計を理解しよう

税効果会計と繰延税金資産とは

企業会計と税務会計では、収益や経費の考え方に違いがあります。例えば、経費に関して、税務会計で、何でもかんでも経費として認めてしまうと全体として徴収できる税額が減ってしまいます。そのため、税務会計上、経費(損金)として認められるためには要件が定められているものがあります。これに対して、企業会計上では、事業に関連して生じた通常の経費であれば、計上が認められます。多くのケースで、企業会計上、先に経費となるが、その時点では税務会計上損金とならない、というものが生じます。
これを一時差異と言います。

一時差異が生じているときは、企業会計上、経費に計上したものが税務会計上損金として認められないため税金を先に支払っているということとなります。それは、いずれ、税務会計上も損金として認められることとなります。その時点では逆に、企業会計上は経費が出ていないのに税務会計上の損金が出て税金が少なくてすむこととなります。

企業会計上、この先に支払ったと考えられる税金について、税金の前払い(資産)のようなものと考え、一定の要件の下に繰延税金資産として計上します。これを税効果会計といいます。

 

回収可能性とはどういうことか

回収可能性とは、将来、税金を減らす効果があるかどうか、ということを言います。回収可能性ありと判断され、将来の税金を減らす効果が認められるときは繰延税金資産を計上することができますし、そうでないときは繰延税金資産を計上することはできません。

例えば、これまで赤字が続いていて、今後も赤字が続きそうな会社で、一時差異があったとします。そのような場合は、将来、一時差異が解消しても、そのタイミングでそもそも課税所得がなく税金が生じないのであれば、税金を減らす効果はないこととなります。このような場合には回収可能性がない、ということとなり、繰延税金資産は計上できません。

このように、赤字続きの会社であれば、回収可能性があるかどうか、というのは比較的わかりやすいです。しかし、会社の事業には黒字のときもあれば赤字のときもあるというように業績に波があるのが通常ですし、一時差異がどれくらいあって、どのタイミングで解消するか、によっても回収可能性があるかどうかが変わってきます。将来を予測しないとわからないことが多いので、回収可能性を検討する、というのは非常に専門的で難しいものとなります。

 

経理プラスメルマガ登録 交通費

 

回収可能性の判断方法とスケジューリングの仕方

繰延税金資産の回収可能性の判断は、非常に専門的で難しいものです。企業会計基準委員会より「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」というものが公表されており、それに基づいた判断を行う必要があります。

ここでは詳細の説明はできませんが、同適用指針では、企業をその業績に応じて5つの区分に分類し、区分ごとに繰延税金資産を計上するための要件を定めています。

例えば分類1は、一時差異を十分に上回る課税所得を継続して生み出している会社です。
このような会社であれば、将来一時差異がいつ解消したとしても、そのときに相当の課税所得が生じていて税金を減らすことができるものと考えられるため、繰延税金資産の全額について回収可能性があると考えることができます。

一方で、分類5は、過去(3年)及び当期において、重要な税務上の繰越欠損金が生じていて、翌期も繰越欠損金が生じると見込まれる場合です。このような会社の場合は、将来一時差異が解消したときにも課税所得がなく、税金を減らすことができない可能性が高いと考えられるため、原則として、繰延税金資産の回収可能性はない、ということとなります。
分類2~4については、業績がその間に位置する会社で、その段階毎に要件が変わってくることとなります。分類2~4の会社は、無条件に繰延税金資産の回収可能性があるとも、回収可能性がないとも言えないため、スケジューリングを行い、回収可能性があるかどうかを判断します。

スケジューリングとは、将来の課税所得と一時差異の解消見込みを年度別に並べて、回収可能性があるかどうかを検討する方法です。上記の分類により、どれくらいの期間について、スケジューリングをするかどうかが変わってきます。

 

回収可能性がなくなったときはどうする

繰延税金資産は一度計上したら、一時差異が解消するまで計上できる、というものではありません。毎年、会社の状況は必ず変わるので、決算の時点で回収可能性の検討を行います。これまで繰延税金資産を計上していたとしても、決算時点で回収可能性が見込まれなくなったら繰延税金資産の取り崩しをしなければなりません。

特に業績が変化したことにより、繰延税金資産の回収可能性の検討を行う会社区分(分類1~分類5)が変更となったようなときは、多額の繰延税金資産を新たに計上することとなったり、取り崩しが必要となったり、大きな変化が起こることとなります。
そのような場合、決算に重要な影響を与えることとなりますので、税効果会計に関する検討はできるだけ早めに行っておく必要があるでしょう。

 

まとめ

税効果会計をいざ決算で適用するとなったときには、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に従って、繰延税金資産の回収可能性の判断を行います。しかし、各企業の業績や態様というのは多種多様で必ずしもすべての企業が基準に従って画一的に判断できる訳ではありません。そのようなときは、税効果会計の基本的な考え方に立ち返って個別に検討しなければなりませんので、基本的な考え方をしっかりと理解するようにしてください。

 

「経理プラス」メルマガでは、定期的に記事のランキングやおすすめ情報などをお届けしています。読み逃しがないよう是非ご登録ください!

「経理プラス」メルマガ登録は・・・ こちらから

 

WEB帳票発行システム「楽楽明細」

● 著者

松本 佳之

松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士 1980年兵庫県に生まれる。2001年公認会計士二次試験合格。2002年関西学院大学商学部卒業、朝日監査法人(現あずさ監査法人)入所。2005年公認会計士三次試験合格、公認会計士登録。2007年税理士登録後独立し、北浜総合会計事務所を開設。監査法人勤務時代は企業公開部門に所属し、さまざまな実績を重ねる。