【2019年度税制改正】 経理担当者必見!知っておくべき3つの改正点

2018年12月14日、与党が平成31年度税制改正大綱を発表しました。
今回の改正点は、2019年4月1日以降に開始する事業年度から原則適用されることになります。

2019年10月に控える消費税率引上げを前に、自動車税負担の軽減や住宅ローン減税の拡充などの個人に対する負担緩和策が提案されています。また、中小企業の経営支援を意図した改正が多く掲げられていることも今回の改正の特徴です。

設備投資を促す施策や個人事業主の事業承継税制の創設など、本邦経済の基盤を支える中小企業振興のさまざまな策が打ち出されています。

今日は経理担当者が押さえておくべき改正点を中心に、税制改正の内容について詳しく見ていきましょう。

(参照:「平成31年度税制改正大綱 (自由民主党/公明党)」

 

改正点その1:中小企業優遇税制に係る改正

与党は、アベノミクス推進により、GDP拡大、雇用増、2%程度の賃上げが5年連続実現するなど、経済環境は回復基調にあると発表しています。また、デフレ脱却・経済再生を確実なものとするためには、中小企業が収益の拡大を賃金上昇・雇用拡大や設備投資の増加につなげることが重要であるとしています。
今回の税制改正大綱の中でも中小企業を対象としたさまざまな優遇税制の設置・拡充を定めていますので、まずはそれらから見ていきましょう。

中小企業者等に対する軽減税率の延長

中小企業者等の年所得800万円以下の部分に適用される法人税の軽減税率15%(⇔本則税率19%)の適用期限について、改正前の「2019年3月31日までに開始する事業年度」を2年間延長し、「2021年3月31日までに開始する事業年度」としました。
アベノミクスの経済効果を認める一方、中小企業の経営環境は依然として厳しく、公的支援が必要との認識が背景にあるようです。
いずれにしても、中小企業にとって税負担が軽減されることは喜ばしいことです。税制優遇を受ける権利を適切に行使して、財務基盤の安定を図りたいものです。

みなし大企業の範囲拡大

法人税関係の中小企業優遇税制の適用範囲に関連して、「みなし大企業」の範囲が拡大されます。この「みなし大企業」は各種の優遇税制の適用を受けられなくなりますので、結果として中小企業向け優遇税制の適用対象である「中小企業者」の範囲が縮小することになります。具体的に影響のある主な優遇税制としては、以下となります。

  • 中小企業投資促進税制
  • 中小企業経営強化税制
  • 商業・サービス業・農林水産業活性化税制
  • 研究開発税制
  • 所得拡大促進税制

みなし大企業の範囲については、孫会社の取扱いなど一部定義が不明瞭な部分も残っていますので、今後の議論の動向に注意する必要があります。

 

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改正点その2:事業承継に係る改正

与党は、高齢化が急速に進行し生産年齢人口が減少する中で、円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が喫緊の課題であるとの危機感を強めています。このことから事業承継の環境を整備する改正を行う姿勢を打ち出しています。

事業継続力強化設備投資促進税制の創設

青色申告書を提出する中小企業者の内、事業継続力強化計画または連携事業継続力強化計画(仮称)の認定を受けた事業者が、特定事業継続力強化設備の取得費用について、取得価額の20%について特別償却ができることが定められました。
これは頻発する災害発生に備え、事業継続力強化計画(仮称)に基づいて中小企業が行った防災・減災設備への投資に係る特別償却制度が創設されるものです。かつて平成29年度税制改正において、災害発生時の税制措置が常設化されていますが、災害に対する備えを一層強化する目的から同制度が創設されます。尚、所得税についても同様の改正が行われますので、対象となる企業は費用対効果を勘案の上、利用を検討されることをおすすめします。

事業承継ファンドから出資を受けた場合の法人税等の特例

一定の要件を満たす事業承継ファンド(投資事業有限責任組合)を通じた大規模法人による出資が、中小企業向け税制措置のみなし大企業の判定における株式から除外されます。
すなわち、中小企業向けの税制措置の適用要件が緩和され、より広く税制優遇が受けられることになります。

ただし、同特例の適用時期については記載がありませんので、続報を待たなければなりません。また、既存の事業承継ファンドに対する中小企業向け税制措置の緩和の有無についても不確定であり、今後の議論を注視したいところです。

 

改正点その3:国際課税に係る税負担軽減

企業活動のグローバル化に合わせ、その実態に即した国際課税のルール作りが年々進んでいます。特に、過度な租税回避を防ぐための改正が続いており、今回の改正でもさまざまな税制変更が見られます。

過大支払利子税制の見直し

純支払利子等の課税の特例(いわゆる過大支払利子税制)について、各種見直しがなされます。
複数の改正点が含まれますが、代表的なポイントは以下の通りです。基本的に、課税対象範囲の拡大が規定されていますので、海外子会社などとの取引がある企業は注意が必要です。

  • 対象となる支払利子の範囲が拡大されます。第三者を含む国外の者に対する支払利子が対象となることが明記されました。
  • 損金算入限度額を計算するための調整所得金額の範囲が再定義された結果、損金算入限度額が小さくなるため、課税対象範囲が拡大します。

移転価格税制の見直し

無形資産はその評価額や企業間取引価格の妥当性の評価が困難なケースが多いのが特徴です。
BEPSプロジェクト(※)において当該問題の対応策として、「広範且つ明確な無形資産の定義の採用」を行うことなどが勧告された結果、OECD移転価格ガイドラインが改訂されました。これを受けて、本邦税制も改正がなされるものです。

※BEPSプロジェクトとは、多国籍企業が国際的な税制の隙間や抜け穴を利用した租税回避によって税負担を軽減している問題「税源浸食と利益移転」(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に対処するために、OECD租税委員会によって立ち上げられたプロジェクト。

 

まとめ

ここまで、2019年度の税制改正のポイントについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
多岐に亘る改正が予定されていますので、決算や確定申告の時期に慌てずにすむように、前もって変更点を確認するようにしましょう。

 

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● 著者

田中 仁

田中 仁

大手総合商社にて10年間勤務し、新規事業開発を中心に資金調達、財務・会計等を担当。 東京のほか、アメリカのベンチャーキャピタルやイギリスの金融機関等にて勤務経験もあり。