示談金受領書・領収書のテンプレート|書き方や注意点も解説

示談金を受け取った際、証拠を残すために受領書や領収書を発行します。発行するにあたっては、安易に文言を決めないことや控えを保存することが大切です。

本記事では、示談金の受領書(領収書)の書き方や、手軽に作成するための無料テンプレートを紹介します。

示談金受領書・領収書のエクセル無料テンプレート

会社が受けた損害について加害者から示談金を受け取った際に、受領書や領収書を発行します。そこで、初めての方でもエクセルを使って簡単に領収書を作成できる無料テンプレートをご用意しました。テンプレートを活用して必要事項を埋めていけば、スムーズに示談金を受け取った際に発行する受領書も作成できます。

示談金を受け取った際にどのような書類を発行すべきかよいのか迷った場合は、ぜひテンプレートをご活用ください。

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示談金の受領書(領収書)を発行する場面

示談金の受領書は、会社が損害を被ったことで示談に至り、示談金を受け取る際に発行することが一般的です。会社によっては、「受領書」の代わりに「領収書」のタイトルで発行することもあります。

そもそも、示談金とは当事者同士の話し合いを経て、紛争を解決するために加害者側(もしくは加害者側の保険会社)から被害者側に支払われる金銭のことです。個人間では、主に交通事故などの各種事故が発生した際に、示談金のやり取りをすることがあります。また、会社が自社の商品や備品を盗まれたなどの窃盗事件や、従業員が会社のお金を着服するなどの業務上横領事件でも、示談金が発生することがあるでしょう。

なお、慰謝料とは被害者が受けた精神的損害に対する賠償金のことで、示談金の一部に含まれます。

示談金の受領書(領収書)が必要な理由

示談金の受領書(領収書)が必要な理由は、主に以下のとおりです。

  • 証拠を残すため
  • 会計処理に必要なため

それぞれ解説します。

証拠を残すため

証拠を残すために、示談金の受領書を発行することが必要です。

一般的に、示談金はトラブルを解決するための金銭として支払われます。加害者側は、示談金を支払ったにもかかわらず、後で被害者側から「受け取っていない」と主張されることを防ぐために、「いつ」「いくら」支払ったか分かる証拠として受領書の発行を依頼するでしょう。被害者側も、受領書を発行して控えを残しておくと、後にトラブルにつながることを避けられます。

なお、銀行振込で示談金のやり取りを済ますケースであれば、支払いに関する明細の控えが残るため、受領書の発行は基本的に必要ありません。ただし、加害者側から受領書の発行を依頼された場合は、対応しましょう。

会計処理に必要なため

会計処理で使うことも、示談金の受領書の発行が必要な理由です。経費精算では、二重払いや虚偽申告を防いだり、支払内容に間違いがないか確認したりするために、レシートや領収書を使います。

加害者側が事業者で、示談金の対象が業務に関する出来事であれば、内容によって「雑損失」として経費計上できる場合もあるでしょう。また、被害者側は、受け取った示談金を「雑収入」の勘定科目で処理します。

なお、示談金100万円を現金で受け取って受領書を発行する際、被害者側の仕訳方法は以下のとおりです。

借方貸方備考
現金1,000,000円雑収入1,000,000円○月○日付示談書による示談金として

経理プラス:雑収入とは?仕訳例・雑収入との違いや税区分のポイントを解説

示談金の受領書(領収書)の書き方・記載事項

示談金の受領書(領収書)の記載事項は、主に以下のとおりです。

  • タイトル
  • 日付
  • 宛名
  • 金額
  • 金額の内訳
  • 但し書き
  • 発行者情報
  • 収入印紙の欄

ここから、以下の領収書の見本を使ってそれぞれの書き方について解説します。

①タイトル

受領書に関する用紙であることが分かるように、中央もしくは左側にタイトルを入れます。タイトルは、シンプルに「領収書」や「受領書」などと記載しましょう。

また、ひと目で分かるように、他と比較して大きめの文字で記載するなどの工夫も必要です。見本のように、領収書の箇所に背景色をつけておくと強調できます。なお、従来使用している領収書の書式を活用しても構いません。

②日付

受領書の右上には、日付を記載しましょう。

日付は、実際に示談金を受け取った日を記載します。なお、「発行日:」と「領収日:」を別々に設けておけば、受領書を発行する日と示談金を受け取る日が異なるケースにも対応可能です。

また、日付の上に連番(通し番号)を記入する欄を設けることもあります。受領書の連番とは、各用紙につける個別の番号のことです。連番をつけておくことで、受領書の管理や検索がしやすくなります。

③宛名

受領書の左側には、相手先(加害者側)の氏名や会社名などを記載します。

宛名を記載する際は、「(株)」「(同)」のように省略せず「株式会社」「合同会社」などとすることが大切です。さらに、社名の前につけるか後につけるかといった表記の順序や、漢字の誤記にも注意しましょう。名刺やメールの署名欄などで、正式な名称や氏名を確認し、ミスなく正確に記載しましょう。

④金額

受領書の中心には、受け取った示談金の額を記載します。

金額を記載する際は、改ざんを防ぐために金額の先頭に「¥」をつけ、末尾に「-」もしくは「※」をつけることが大切です。また、読みやすくするために下3桁ごとにカンマを打つようにしましょう。たとえば、100万円を示談金として受け取った場合には、「¥1,000,000-」のように記載します。

改ざんのリスクをさらに抑えるには、漢数字(大字)を使用する方法も有効です。漢数字を使用する場合は、数字の頭に「金」、末尾には「也」をつけます。

さらに、とくに改ざんされやすい「一」「二」「三」「十」について、漢数字を使う場合は「壱」「弐」「参」「拾」を用いる点も重要です。100万円を示談金として受け取った場合、漢数字では「金壱百万円也」と記載します。

⑤金額の内訳

インボイス制度に対応させるため、金額の近くに金額の内訳を記載した受領書や領収書もあるでしょう。内訳には、税率8%対象の金額や消費税額、税率10%対象の金額や消費税額を記載します。

しかし、示談金は一般的に消費税の課税取引にはあたらないため、消費税を上乗せしません。盗まれた商品を示談金と引き換えにそのまま加害者に引き渡すなど、実質的に通常の売買と同様の扱いとみなされる場合に限り、消費税を上乗せすることがあります。

なお、複数の案件に関する示談金をまとめて受け取った場合は、消費税の内訳とは別に案件ごとの金額内訳欄を設けるとよいでしょう。

⑥但し書き

受領書の金額の下には、「但し書き」の欄を設けます。

受領書の但し書きとは、受け取った金銭が何に対するものなのかを示すための項目です。一般的には「(支払対象の内容)として」のように記載します。

示談金を受け取った場合は、「示談金」の文言を入れるだけでなく、いつ交わした示談書なのかも記載して案件を特定させることがポイントです。「但し 2025年12月5日付示談書に基づく示談金として」のように記載しましょう。

⑦発行者情報

受領書の右下には、発行者の情報を記載します。自社の社名・住所・電話番号を記載しましょう。ただし、住所や電話番号の記載は義務ではありません。加害者側との今後の関係などを考慮し、記載するか判断するとよいでしょう。

なお、受領書が偽造されることを防ぐなどの観点で、発行者情報の横に角印などの印鑑を押すこともあります。

⑧収入印紙の欄

収入印紙の貼付が必要なケースに備えて、受領書の右下には収入印紙の欄を設けておきます。

エクセルやワードを使う場合は、点線で長方形を囲むとよいでしょう。長方形の内側には、収入印紙欄であることが分かるように「収入印紙」と記載しておきます。

なお、収入印紙貼付の必要性や金額は、示談金を受け取る経緯や示談金の額によって異なる点に注意が必要です。

示談金の受領書(領収書)の作成方法

示談金の受領書(領収書)は、エクセルやワードを使って作成できます。エクセルを使って作成する際の流れは、以下のとおりです。

  1. 受領書の大きさを決めて、「ページレイアウト」タブの「サイズ」で用紙のサイズを選択する
  2. 上部で複数のセルを結合して、タイトル(「領収書」「受領書」)を入力する
  3. 受領書のレイアウトを考える
  4. 「日付」「宛名」をそれぞれの配置に入力していく
  5. 「金額」「金額の内訳」「但し書き」をそれぞれの配置に入力する
  6. 「発行者情報」を入力する
  7. 枠線を使って「収入印紙の欄」を設ける
  8. 印刷する

エクセルやワードを使う場合でも、最初から作ろうとすると時間や手間がかかります。そこで、領収書のテンプレートやフォーマットを活用したほうがスムーズに作成できるでしょう。

通常の領収書のテンプレートを使う際は、消費税がかからない可能性がある点や、但し書きに「示談金」に関する文言を盛り込む点に注意しましょう。

示談金の受領書(領収書)を発行する際のポイントと注意点

示談金の受領書(領収書)を発行する際のポイントや注意点は、以下のとおりです。

  • 収入印紙の貼付が不要な場合もある
  • 文言を安易に決めない
  • 控えを保管する

それぞれ内容について詳しく解説します。

収入印紙の貼付が不要な場合もある

示談金を受け取った際は、受領書に収入印紙の貼付が不要な場合がある点に注意しましょう。収入印紙とは、経済的な取引に伴って作成した書類に対してかかる税金のことです。作成した文書が法律で定められている第1号文書から第20号文書に該当する場合に、収入印紙を貼らなければなりません。

一般的な売買は「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」(17号の1文書)に該当するため、記載金額が5万円以上の場合に金額に応じた収入印紙の貼付が必要です。一方、示談金を受け取った際に発行する受領書は、17号の1文書に該当しない可能性があります。

たとえば、「保険金の受取書」「損害賠償金の受取書」は「売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書」(17号の2文書)に該当するため、5万円以上の記載額に対して貼付が必要な収入印紙の額は一律200円です。また、そもそも営業に関係しない示談金の場合は、収入印紙の貼付が必要ありません。

しかし、示談金が実質的に商品代金の弁償の性格をもつものと理解される場合には、受領書が17号の1文書に該当する可能性があります。加害者が商品を購入したとみなされるため、受領書の記載金額によって異なる収入印紙を貼らなければなりません。たとえば、5万円以上100万円以下なら「200円」、100万円超200万円以下なら「400円」、200万円超300万円以下なら「600円」を貼る必要があります。

示談金の受領書は、ケースによって収入印紙貼付の要否を判断しなければならないため、迷った場合は専門家に相談したほうがよいでしょう。

参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

文言を安易に決めない

受領書の但し書きの部分について、安易に文言を決めないこともポイントです。

とくに「今後一切請求しない」などの趣旨の文言を入れると、後で追加の支払いを受けるべきことが発覚した場合などにトラブルにつながる可能性があります。加害者側から伝えられた文言をそのまま但し書きに入れず、「適切な内容か」「別の意味に解釈できるような曖昧な表現になっていないか」などを検討したうえで、極力細かく記載しましょう。

また、「但し ○○年○月○日付示談書に基づく示談金として」と記載する際は、日付に間違いがないよう示談書の内容を確認しておくことが大切です。

控えを保管する

示談金の受領書を作成する際、控えを保管することもポイントです。受領書を発行すると加害者側には支払ったことの証拠が残りますが、被害者側には示談金のやり取りに関する証拠が手元に残りません。そこで、会計処理時に金額を確認したり、加害者側とのトラブルを避けたりするために、被害者側も控えを残しておくことが必要です。

「最初から2枚同じ受領書を作成して割印を押し、1枚を保管する」「発行した受領書を渡す前に、コピーをとって割印を押し、写しを保管する」などの方法で受領書の控えを残せます。

示談金の受け取りで押さえておきたいポイント

示談金の受け取りについて、受領書関連以外で押さえておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 示談書を作成しなければならない
  • 時効を迎えると請求できなくなる
  • トラブルを防ぐため弁護士などに相談する

ここから、各ポイントについて詳しく解説します。

示談書を作成しなければならない

示談金を受け取るまでに、示談書の作成などの手順を踏まなければならないことを理解しておきましょう。一般的に、示談は以下の流れで進められます。

  1. 当事者の一方が示談案を提示する
  2. 当事者の一方が示談書を作成する
  3. 双方で、示談書に記載されている事実関係や内容に誤りがないかを確認する
  4. 合意したら、双方が署名捺印する
  5. それぞれ示談書を保管する
  6. 示談書の内容に従って、示談金が支払われる

示談書とは、トラブルについて双方で交渉して合意した事項をまとめた文書のことです。契約書と同様に、法的拘束力を持ちます。

なお、口頭でも示談が成立することはあるため、示談書の作成は必須条件ではありません。ただし、後に言った・言わないでトラブルにつながる可能性が高いため、示談書の作成が望ましいです。

時効を迎えると請求できなくなる

損害を被っていても、時効が到来すると加害者に請求できなくなる点も押さえておかなければなりません。民法第724条で、不法行為による損害賠償請求権は「損害・加害者を知ってから3年間(※)行使しないとき」や「不法行為から20年間行使しないとき」に時効で消滅することが定められています。そのため、示談金を受け取れなくならないよう、早めに加害者と交渉することが大切です。

まだ時効が到来していない場合でも、月日が経つにつれて当事者の記憶が曖昧になったり、証拠が失われたりして示談金を受け取りにくくなる可能性があります。

※人の生命や身体を害する不法行為の場合は「5年間」

参考:e-Gov「民法第七百二十四条」

トラブルを防ぐため弁護士などに相談する

示談に至るまでには、加害者側と金額について交渉する、示談書を作成するなどの手順を踏む必要があるため、専門的な知識が求められます。そのため、今まで示談の経験がない場合は、弁護士などの専門家に相談したほうが安心して手続きを進められるでしょう。

専門家に相談することで、「自分に不利な条件で進められてしまう」「示談書の内容に問題があり後に無効と判断される」などのトラブルが生じるリスクも軽減できます。

まとめ

業務中の事故や、盗難事件・横領事件などで加害者側から示談金を受け取った際には、基本的に受領書を発行することが一般的です。本記事で紹介した領収書の無料テンプレートを活用すれば、スムーズに示談金の受領書も作成できます。

示談金の受領書には、但し書きで「但し ○○年○月○日付示談書に基づく示談金として」などの文言を盛り込むことがポイントです。また、受領後にトラブルが発生した際に証拠として提示するため、発行した受領書の控えを保存しておきましょう。

示談には示談金の交渉や示談書の作成など専門的な知識を問われる場面も多いため、自分だけで判断せずに専門家へ相談することも大切です。

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監修 安田亮

Author Yasuda

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。 大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。 連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。