課税・非課税取引が混在する請求書テンプレート|インボイス制度への対応も解説
「新しく始めた事業が非課税取引だった」「1枚の請求書に10%対象と非課税の取引が混ざってしまった…」 課税取引のみを扱ってきた経理担当者にとって、税区分が混在する請求書作成は「本当にこの書き方で合っているのか?」と不安がつきまとうものです。
請求書への記載ミスが取引先の税務リスクに直結するため、より正確な知識が求められます。
本記事では、課税・非課税が混在する場合の正しい書き方や注意点を、実務目線で分かりやすく解説します。そのまま使えるインボイス対応テンプレートも用意しました。この記事を読めば、迷うことなく正確な請求書を発行できるようになります。
【インボイス対応】課税・非課税が混在する請求書テンプレート
取引には基本的に消費税が伴いますが、消費税が課税されない「非課税取引」も存在します。その場合は、課税取引と非課税取引を明確に区分した請求書を発行しなければなりません。
下記のフォームより、課税取引と非課税取引が混在する場合に使える請求書の無料テンプレートをダウンロードできます。インボイス制度にも対応しているため、ダウンロードしてぜひご活用ください。

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課税・非課税取引が混在する請求書の書き方
課税取引と非課税取引が1通の請求書に混在する場合は、それぞれの税区分を記載する必要があります。
インボイス制度に登録した適格請求書等発行事業者には、税区分・税率の記載が義務付けられています。適格請求書等発行事業者が発行したインボイス(適格請求書)は、取引先が仕入税額控除を行う際に必要であるためです。
インボイス制度に未登録の事業者の場合は、税区分・税率の記載は義務付けられていません。しかし、取引の内容を相手に正確に伝えたり、トラブルを防止したりするためには、正確な税区分や税率を記載することが通例となっています。
1通の請求書で、通常の課税取引に加えて非課税取引等が含まれる場合は、下記の税区分のいずれに該当するかを、それぞれの取引の明細にて明確に記載しましょう。
- 標準税率(10%)
- 軽減税率(8%)
- 非課税(もしくは不課税)
非課税とは別に不課税という税区分もあります。それぞれの税区分について、詳しくはのちほど解説します。
なお、税区分・税率以外の項目は通常の請求書と同様に作成して問題ありません。
取引における税区分の種類
消費税の税区分には、下記の4つがあります。
- 課税取引
- 不課税取引
- 非課税取引
- 免税取引
それぞれどのような取引なのかを知っておけば、請求書に記載する際にも迷いにくくなります。以下で詳しくみていきましょう。
課税取引
課税取引とは、消費税が課される取引のことです。消費税は、次の要件をすべて満たす取引において課税されます。
- 国内において行うもの(国内取引)であること。
- 事業者が事業として行うものであること。
- 対価を得て行うものであること。
- 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること。
引用:国税庁「消費税のあらまし|2.どんな取引が課税対象?」
法人や個人事業主が国内で行う、金銭の動きを伴う商品やサービスの取引は、原則として課税取引に分類されます。
課税取引には、税率10%の標準税率と、税率8%の軽減税率があります。軽減税率の対象は、酒類・外食を除く飲食料品と、定期購読契約に基づき週2回以上発行される新聞のみです。このほかの商品・サービスに関しては、標準税率が適用されます。
不課税取引
不課税取引とは、上で説明した課税取引における4つの要件を満たさない取引のことです。つまり、国外との取引や対価を伴わない資産の譲渡などが該当します。
具体的な不課税取引には、次のものがあります。
- 寄附
- 贈与
- 保険金・共済金
- 株式の配当金・分配金
- 補助金・助成金 など
不課税取引はそもそも課税取引の要件を満たさないため、課税売上割合の計算には関係しません。課税売上割合とは、消費税の納税額を計算する際に重要な指標です。
取引先が消費税を計算するには課税売上割合を計算しなければなりません。不課税取引を含めた税区分を記載するのは、自社のためというよりも、取引先が課税売上割合を正確に計算し、消費税の申告を正確に行うためといえます。取引先と良好な関係を保つためにも、正確な税区分の記載が不可欠です。
非課税取引
非課税取引とは、消費税における課税取引の要件を満たしているものの、消費税の性質や社会政策的な配慮から、課税対象とならない取引です。
非課税取引の具体的なものには、次のものが挙げられます。
- 土地の譲渡・貸付
- 有価証券の譲渡
- 預貯金・貸付金の利子
- 保険料・信用保証料
- 商品券の譲渡
- 健康保険が適用される医療
- 介護保険サービス
- 社会福祉に関する給付・サービス など
消費税とはそもそも、商品・サービスの生産や流通の過程で生み出される付加価値に課税されるものです。
たとえば、土地の譲渡や貸付、有価証券の譲渡などは、商品を購入して消費するという性質のものではありません。課税取引の要件は満たしていても、消費税という税の性質にそぐわないため、課税対象からは外れます。
医療や介護、社会福祉に関するものなどは、社会政策的な配慮から消費税の対象となっていません。社会政策とは、所得や家庭環境にかかわらず公平な社会を実現するための施策のことです。こうした観点からの配慮により、消費税は課税されていません。
非課税取引の具体例については、下記の記事も参考にしてください。
経理プラス:消費税の非課税取引の具体例と間違いやすい取引を解説!
免税取引
輸出取引は免税取引として扱われます。
輸出は消費税の課税取引の要件「1.国内において行うもの(国内取引)であること」を満たさないと思う方もいるかもしれません。しかし、国内取引とは「資産の引き渡しが国内で行われるもの」です。
海外の取引先と資産の売買契約が成立すると、実際に資産を輸出する前に資産の所有権は海外の取引先に移ります。これが「資産の引き渡し」と見なされ、資産が国内にある状態で成立するため、国内取引に該当します。
しかし、国外で消費されるものに消費税を課すのは適切ではありません。そのため、消費税率0%、すなわち「免税」という形で取り扱われています。
なお、輸出による免税の適用を受けるためには、「輸出許可証」を揃えるなど一定の条件を満たすことが必要です。
インボイス制度と税区分の関連性
インボイス制度と消費税における税区分には密接な関係があります。消費税を正確に計算・納税するための仕組みが、インボイス制度であるためです。
同じ事業者でも、消費税の課税対象となる取引と、課税の要件を満たすものの、課税されない非課税の取引の両方を行っている場合があります。「取引に消費税が課されるのか」「課されないのであればどのような税区分であるのか」という情報は、消費税額を正確に計算する上で重要です。
以下では、インボイス制度と税区分の関係性を解説します。インボイス制度に対応した、取引の種類別の対応方法についても知っておきましょう。
税区分を明確にすることが重要
インボイス制度に対応し、取引先が仕入税額控除を正確に行えるようにするためには、取引の税区分を明確にしなければなりません。
インボイス制度とは、そもそも消費税を正確に計算し、適切な税額を納められるようにするための制度です。該当する税区分と税率ごとの消費税額を明確にすることで、取引先は税額の正確な計算が可能です。このことから、請求書をインボイスとして使う場合は税区分を明確にすることが求められます。
請求書の明細に税区分を記載する欄を設けると、該当する税区分を一目で把握できます。「課税(10%)」「課税(8%)」「非課税」など、文字で税区分を記載するとよいでしょう。
下記の請求書サンプル画像にある軽減税率の記載方法を応用して、記号を使って非課税を区別する方法もあります。明細の下部分に「『◆』は非課税であることを示します」という文言を添えて、非課税に該当する取引の税区分欄に「◆」を記載する方法です。

課税取引が含まれるならインボイスが必要
消費税の課税取引が含まれていれば、インボイスの発行が必要です。課税取引のみの場合はもちろん、非課税や不課税など他の税区分の取引が混在する場合も、インボイスを発行しなければなりません。
課税取引が1つでも含まれていれば、その課税部分について取引先は仕入税額控除を行えます。仕入税額控除により納付すべき消費税額が減るため、金額が少額であっても、要件を満たす場合は必ずインボイスを発行しましょう。
非課税・不課税・免税取引のみならインボイスは不要
非課税・不課税・免税取引のみの場合、つまり取引の中に課税取引が含まれない場合は、適格請求書等発行事業者であってもインボイスを発行する必要はありません。この3つの区分では消費税が発生せず、消費税の計算にも関係がないためです。
たとえば、非課税・不課税・免税の取引が複数組み合わさっていても、インボイスは不要です。
消費税の計算はインボイス1通につき1回
インボイスにおける消費税計算の回数は、法律により「1通につき税率ごとに1回のみ」と定められています。つまり、税抜の合計金額を税率ごとに計算したうえで、それぞれの税率を掛けて消費税を計算する、もしくは税込合計額を税率ごとに計算したうえでそれぞれに10/110または8/108を掛けて計算し、端数処理をしなければなりません。
なお、端数処理の方法については企業にゆだねられています。切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれの方法でも構いません。
| 品目 | 税率 | 金額(税抜) |
| 卵 | 8% | 3,116 |
| 砂糖 | 8% | 2,980 |
| ラップ | 10% | 3,150 |
| ビニール手袋 | 10% | 5,231 |
たとえば、1通の請求書に上記の項目が記載されている場合は、次のように計算して端数処理をする必要があります。なお、端数処理の方法は四捨五入とします。
【8%】(3,116+2,980)×8%=487.68≒488
【10%】(3,150+5,231)×10%=838.1≒838
【消費税合計】488+838=1326円
一方で、下記のように品目ごとに消費税を計算して端数処理をする方法は認められません。
【8%】(卵)3,116×8%=249.28≒249
(砂糖)2,980×8%=238.4≒238
249+238=487
【10%】 (ラップ)3,150×10%=315
(ビニール手袋)5,231×10%=523.1≒523
315+523=838
【消費税合計】487+838=1,325円
従来の区分記載請求書等では、商品・項目ごとに消費税計算をすることも認められていました。しかし請求書をインボイスとして発行する場合の計算方法は厳格に決まっており、この方法は認められません。
なお、インボイス制度に未登録の事業者は、従来の消費税計算の方法を継続して使えます。項目・商品ごとに計算してもよく、請求書1通につき1回の計算でも問題ありません。これは、インボイス以外の請求書における消費税の計算方法については、法律で定められていないためです。
インボイス制度に登録した適格請求書発行事業者は、従来通りの端数処理をしないように注意しましょう。
まとめ
1通の請求書に課税と非課税の取引が混在する場合は、それぞれの税区分を明確に記載しなければなりません。課税取引には標準税率の10%と軽減税率の8%があり、非課税取引のほかにも「不課税」「免税」という税区分があります。
課税取引が請求書に1つでも含まれる場合、適格請求書等発行事業者は税区分を明記したインボイスを発行しなければなりません。トラブルを防止して円滑に取引を行い、取引先が仕入税額控除をスムーズに行えるよう、請求書には税区分を明確に記載しましょう。
















