医療費請求書の無料エクセルテンプレート|記載項目や書き方

「企業向けの健診費用を請求する際、インボイス制度にはどう対応すべき?」「診療明細書があれば、別途請求書を発行する必要はあるのか?」 クリニックの医療事務を統括する責任者にとって、窓口会計とは異なる「対法人・対組織」の請求業務は、意外と判断に迷うことが多いものです。

本記事では、クリニックの実務ですぐに使える「医療費請求書テンプレート(無料)」を提供するとともに、記載すべき必須項目やインボイス制度への対応方法を分かりやすく解説します。この記事を読めば、請求ミスを防ぎ、事務作業の標準化をスムーズに進められます。

医療費請求書の無料エクセルテンプレート

医療費請求書は、医療機関が診療にかかった費用の内訳や金額を示す書類です。診察料、検査料、処置料などが項目ごとに記載され、支払うべき金額が記載されています。患者にとっては費用の内容を把握するための資料であり、正確な記載が必要です。

ここでは、医療費請求書を簡単に作成できる無料テンプレートをご用意しました。必要な項目を一通り揃えているため、作成の手間を軽減できます。ぜひご活用ください。

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医療費請求書とは?

医療費請求書とは、診療や健診、検査などによって発生した医療費を請求する際に作成する書類です。どのような医療行為に対して、いくらの費用が発生したのかを明確に示す役割があります。ここでは、医療費請求書と診療明細書との違いや、医療費請求書が必要になるシーンについて解説します。

診療明細書との違い

医療機関が発行する書類には、医療費請求書のほかに診療明細書があります。診療明細書とは、医療機関が患者に対して発行する医療文書であり、実施された治療内容や検査項目、算定された診療報酬点数、処方箋薬剤などが記載されています。

患者がどのような医療を受けたのかを確認するための資料で、原則として支払い後に交付されます。

一方、医療費請求書は、発生した医療費を相手方に請求することを目的とした書類です。診療明細書が「治療内容を説明する書類」であるのに対し、医療費請求書は「金銭の支払いを求めるための書類」である点が大きく異なります。

医療費請求書が必要になるシーン

医療費請求書を受け取った側が使用するシーンは、さまざまです。たとえば、支払った医療費をいったん個人で支払ったあと、会社の福利厚生制度で精算する場合や、保険給付の申請を行う場面で提出を求められたときに使用します。

また、交通事故や労働災害による治療では、加害者側や労災保険などの関係機関に対して治療費を請求する必要があり、その際に医療費請求書が用いられることがあるでしょう。
そのほか、企業が従業員の健康診断や人間ドックの費用を一括して処理するなど、法人間の精算業務で利用されるケースもあり、さまざまな場面で活用される書類です。

医療費請求書の書き方

医療費請求書を作成する際は、必要な記載項目を漏れなく、かつ正確に記入することが大切です。診療内容や金額、日付、宛名などの基本項目は慎重に確認する必要があります。

ここでは、一般的なテンプレートをもとに、各項目の書き方について解説します。

①タイトル

冒頭には、請求書であることが一目で分かるタイトルを記載します。「医療費請求書」や「健診費請求書」など、請求内容に即した名称を用いると、より明確です。

タイトルが曖昧だと、何の費用に関する請求なのか分かりにくくなり、確認や精算に時間がかかる可能性があります。医療費に関する請求であることが明確に伝わるよう、簡潔かつ分かりやすい表記を心がけましょう。

②請求書番号

請求書番号は、書類を管理・識別するために付与する任意の番号です。企業や保険会社とのやり取り、また社内で複数の請求書を扱う場合、番号があることで照合や問い合わせ対応が円滑になります。

発行日や連番を組み合わせるなど、重複しないルールをあらかじめ決めておくと、あとから見返す際にも管理しやすいでしょう。

③発行日

発行日には、請求書を作成した日付を正確に記載します。発行日は、いつの請求であるかを判断する基準となり、支払期限の設定や経理処理を行う際の重要な情報です。

発行日が不明確だと、支払処理が遅れたり、書類の差し戻しが発生したりすることもあります。請求の時系列を明確にするためにも、必ず漏れなく正確に記載しましょう。

④宛名

宛名には、医療費を請求する相手の正式名称を正確に記載します。企業宛ての場合は、会社名だけでなく部署名や担当者名を記載すると、確認や処理がスムーズになります。

敬称は、会社や部署には「御中」、個人には「様」を用いるのが一般的です。誤った表記は信頼性を損なうおそれがあるため、事前に正式名称を確認しておくと安心です。

⑤発行者情報

発行者情報として、請求書を作成した組織の名称、住所、電話番号などの連絡先を記載します。請求内容について確認や問い合わせが生じた場合に、速やかに連絡が取れるよう、最新かつ正確な情報を記載することが重要です。

法人名義で発行する場合は、法人名や代表者名を明記すると、書類としての信頼性も高まるでしょう。

⑥診療内容・費用の明細

診療内容、検査や処置の項目、実施日、各費用の金額などを一覧形式で分かりやすく記載します。明細を具体的に示すことで、請求金額の根拠が明確になり、相手も内容を確認しやすくなるでしょう。

診療明細書や領収書がある場合は、それらと内容や金額が一致しているかを確認したうえで記載してください。差し戻しや問い合わせなどを防止できます。

⑦合計金額

最後に、明細に記載した各費用を合算した合計金額を記載します。計算ミスがないかを必ず確認し、消費税が含まれる場合は税込・税抜の区別も分かるようにしておくと親切です。

合計金額が明確に示されていることで、支払金額が一目で把握でき、精算や振込などの手続きがスムーズに進みます。

医療費請求書もインボイス対応が必要?

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を適正に行うための制度で、正式には「適格請求書等保存方式」と呼ばれます。インボイス制度では、買い手(支払う側)が消費税の仕入税額控除を受けるために、一定の要件を満たした請求書(インボイス)を保存することが必要です。

医療費請求書のすべてがインボイス制度の対象になるわけではありません。しかし、請求の相手が企業である場合や、課税対象となる取引が含まれる場合には、インボイス対応が必要になることもあります。

そのため、医療費請求書であっても、取引内容や請求先によってはインボイス制度への理解と適切な対応が求められます。ここでは、インボイス対応が必要になるケースと、インボイスに必要な記載項目についてみていきましょう。

インボイス対応が必要になる場合

基本的に、患者個人に向けて発行される診療費や治療費の請求書については、消費税が非課税となる医療行為が多く、インボイス制度の影響を受けないケースが一般的です。保険診療は非課税取引に該当するため、その医療費請求書はインボイス制度の対象外であり、インボイス対応は不要です。

自費診療は消費税の課税対象となりますが、患者側が事業者ではない場合、医療機関に対してインボイスの発行を求める必要はありません。

一方、インボイス対応が必要になる代表的なケースには、企業を請求先とする医療サービスがあげられます。

たとえば、企業が従業員に実施する健康診断や予防接種、人間ドックなどの費用を病院が企業へ直接請求する場合です。これらは消費税の課税対象となることが多く、買い手側である企業が仕入税額控除を行うためには、インボイス対応の請求書が必要になります。

そのため、こうした業務を行う医療機関は、適格請求書発行事業者として登録するかどうかを含め、インボイス制度への対応を検討する必要があります。

経理プラス:インボイス制度とは?これだけでインボイスの基本的な内容が分かります

インボイス対応で必要な項目

インボイス対応の医療費請求書には、通常の請求書項目に加えて、制度で定められた情報を記載しなければなりません。具体的には、以下の項目の記載が必要です。

  • 適格請求書発行事業者の登録番号
  • 発行者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 税率ごとに区分した対価の額および適用税率、消費税額

これらの項目が正しく記載されていない場合、買い手側が仕入税額控除を適用できない可能性があります。そのため、インボイスが必要な取引では、必要項目の記入漏れや誤記がないよう慎重に作成することが大切です。

医療費請求書でテンプレートを利用するメリット

医療費請求書は、正確さと分かりやすさが求められる書類であり、作成にはテンプレートの活用が便利です。

エクセルのテンプレートを利用すれば、必要な項目があらかじめ用意されているため、記載漏れを防ぎ、作成の手間を軽減します。ここでは、医療費請求書の作成でテンプレートを利用する主なメリットを解説します。

自由にカスタマイズできる

エクセルのテンプレートは、項目の追加や削除、文字サイズや表現の調整が容易に行えるため、利用シーンにあわせて柔軟にカスタマイズできます。たとえば、診療内容が多い場合には明細欄を増やしたり、提出先から指定された記載項目を追加したりすることも可能です。

医療機関名やロゴの挿入、備考欄の設置なども自由に行えるため、医療費の内容や請求先の要件に応じて最適な形式に調整できます。

幅広いケースに対応しやすく、汎用性が高い点が大きなメリットです。

関数による自動計算ができる

エクセルのテンプレートを使用すれば、金額の合計や消費税の計算を関数によって自動化できることがメリットです。これにより、手作業による計算ミスを防ぎ、正確な請求書を作成しやすくなります。

また、明細の金額を入力するだけで合計金額が自動で反映されるため、確認作業の手間も軽減されます。

計算結果を即座に修正・反映でき、請求内容の変更が生じた場合でも迅速に対応できます。正確性と効率性を両立できる点は、エクセルならではの大きなメリットといえるでしょう。

レイアウトを整えやすい

エクセルは、書式設定や印刷設定を自由に調整できるため、見やすい請求書を作成しやすいことがメリットです。A4サイズでの縦・横レイアウトの切り替えや、セルの結合による見出し作成、罫線や背景色の設定なども手軽に行えます。

文字の配置や余白を調整することで、情報を整理して伝えやすくなる点もメリットです。読みやすいレイアウトに整えることで、提出先での内容確認がスムーズになり、問い合わせの削減にもつながります。

繰り返し活用できる

一度作成したエクセルのテンプレートは保存しておくことで、次回以降は日付や金額、診療内容などを差し替えるだけで簡単に利用できます。 

毎回ゼロから請求書を作成する必要がなくなるため、書類作成にかかる時間と労力を大幅に削減できる点がメリットです。さらに、フォーマットを統一することで記載漏れや表記のばらつきを防ぐ効果も期待できます。

継続的に医療費請求書を作成する業務においては、作業効率の向上だけでなく、業務の標準化や品質の安定にも役立つでしょう。

医療費請求書を作成する際の注意点

医療費請求書を作成する際は、診療内容や金額に誤りがないかを十分に確認し、正確に記載することが重要です。記載ミスや計算誤りがあると、支払いの遅延や差し戻し、再提出につながるおそれがあります。

また、患者氏名や診療内容、受診日などの個人情報を扱うため、第三者に漏えいしないよう保管方法や送付手段にも十分配慮しなければなりません。
あわせて、提出先ごとに指定されている書式や記載ルール、添付書類の有無を事前に確認しておくことも大切です。必要な情報が不足していると、確認作業が発生し、手続きが滞る原因となるでしょう。

誰が見ても内容を正確に把握できる、分かりやすい医療費請求書を作成することで、精算手続きが円滑に進み、不要なトラブルを未然に防止できます。

まとめ

医療費請求書は、請求内容を正確に分かりやすく伝え、精算手続きを円滑に進めるための重要な書類です。エクセルの無料テンプレートを活用すれば、必要な項目を漏れなく記載できるだけでなく、関数による自動計算で計算ミスを防ぎ、作成にかかる時間や手間も大幅に削減できます。

記載項目や書き方のポイントを押さえ、提出先の要件に合わせて適切に作成することで、後々のトラブルを防ぐことができます。用途に応じて、テンプレートを上手に活用しましょう。

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監修 安田亮

Author Yasuda

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。 大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。 連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。