経理担当者必読!領収書の「上様」って何? 税務や経費精算で気をつけるべきこと

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

領収書の宛名に、「上様」と書かれたものを見たことがある方は多いでしょう。飲食店などでは一般的に使われますが、経理から会社名で取り直すよう言われることもあります。ここでは領収書の上様が使えるケースと使えないケース、宛名を上様にする場合の注意点などを詳しく解説します。

領収書の上様とは

領収書の宛名は、お金を支払った人の「個人名」や「会社名」を記入します。株式会社であれば(株)と略さず、正式な企業名を記入することが基本です。

「上様」は会社名の代わりに記載する方法で、「うえさま」と読みます。由来は諸説ありますが、上客や上得意から使うようになったと言われています。レジが混んでいたり、会社名が長く伝えにくかったりする場合、宛名を上様にするとお互いに便利でしょう。また、お店側から「宛名は上様でよろしいですか?」と言われるケースもあります。

そもそも、領収書は「商品やサービスに対して金銭を支払ったこと」を証明する書類です。会社の経費として落とすには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 領収書の発行者名(お店の名前)
  • 発行日
  • 購入した商品やサービスの内容
  • 金額
  • 購入者の名称(氏名や会社名)

ただし、小売業や飲食業などでは購入者の名称を省略することが認められており、レシートでも支払いの証拠書類としては有効です。税務上は宛名を上様としても領収書として問題ありませんが、会社名がきちんと記入されたものよりは証明力がやや劣ると言えます。

領収書の詳しい解説は下記リンクを参照ください。

経理プラス:【図解】領収書の書き方とは?知らないとマズいルールや注意点を解説

領収書の上様が使えるシーンと使えないシーンとは

領収書の宛名が上様であっても、税務上は会社の経費とすることに問題はありません。税法上は宛名の記載のみで事業用の支出か否かを判断するわけではなく、たとえば上様と記載された飲食店の領収書に、接待伺いを添付することで会社支出と証明できるからです。

当然ですが、宛名が会社名であっても、個人のための支出であれば会社経費とは認められません。宛名の記載は、会社支出かどうかを判断する一要素と理解しましょう。なお、「上様」の領収書は税務調査で疑義を持たれやすく、説明を求められることがあります。そのため、基本的には会社名でもらう方が無難です。

上様宛の領収書が使えないシーンとして挙げられるのが、会社の経費ルールとして上様や個人名を認めていないケースです。会社の規模が大きくなると、経理が日々取り扱う領収書も増加します。宛名が上様だと、上位者決済のためにいちいち内容を確認したり、補足資料をつけたりと手間がかかるでしょう。また、個人支出を会社経費と偽って申請する「不正経費」を防止する観点からも、一定規模の会社では会社名以外の領収書を認めていないケースが多いようです。

経理プラス:不正精算を未然に防ぐ!経費精算システムが実現する正確な交際費精算とは

経理が認めない場合は、領収書を修正する必要があります。しかし、自分で修正テープや書き直しなどをしてはいけません。必ずお店側で修正してもらいましょう。修正には二重線の上に訂正印を押してもらう方法がありますが、より望ましいのは再発行をお願いすることです。ただし、お店側には手間がかかる作業なので、必ずしも訂正に応じてくれるとは限りません。最悪の場合、経費申請できず自己負担となることもあります。事前に会社の経費ルールについて経理へ確認しておきましょう。

上様の領収書を経費精算する際の注意点

上様宛の領収書を経費精算に使う場合、それが確かに事業のための費用であることを証明する、補足資料をつけるようにしましょう。物品の購入であれは購入決裁書、社外との接待であれば接待伺い、セミナーの参加費用であれば参加申込書などです。内容が分かれば良いので、たとえばメールのコピーでも構いません。

なお、領収書やレシートの内容を改ざんすることは、有印私文書虚偽罪に問われる可能性がありますので絶対にやめましょう。印字が見えにくくなった項目を上からなぞるといった行為も、改ざんに該当しますので注意してください。税務調査で発覚したときには重加算税を課せられることになり、会社は本来の税金より多くの金額を支払わなければならなくなります。

ただし、領収書の余白や裏面にメモを記入することは問題ありません。会食の目的や人数を書き添えると忘れ防止につながりますので、たくさん領収書を経費処理する方は参考にしてください。

まとめ

宛名が上様の領収書について、注意する点などを解説しました。領収書は、会社が経費に計上する上で大切な書類です。事業に必要な経費かどうかは、領収書の宛名だけではなく内容等を勘案して判断されますので、「上様」宛てでも原則は問題ありません。しかし、証拠能力はやや劣ってしまいますし、紛失したときに悪用されないとも限りません。また、税務調査で上様宛の領収書ばかりだと、調査官に経費処理全体が杜撰との印象を持たれ、内容を厳しく問われることがあるでしょう。場合によっては、経費として認められないかもしれません。領収書の宛名は、基本的に正式な会社名でもらうようにしましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

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著 者 柴藤 唯人

柴藤唯人様

大手製造業(鉄鋼メーカー)の経理財務担当として勤務。財務系は固定資産管理、棚卸資産管理、一般会計を担当。また、原価系は原価計算、月次、半期予算、中期計画、コスト分析、損益分析を経験する。管理職昇進後は会計実務からは離れて、公認会計士対応や内部統制、原価は全体のコスト総括や損益総括を担当。工場だけではなく営業へも情報を提供するなど、販売戦略にもかかわる。日商簿記1・2級保有。