RPA、AIとは?経理がおさえておくべき活用方法と事例を解説

RPA、AIとは?経理がおさえておくべき活用方法と事例を解説

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

「働き方改革」という言葉が聞かれるようになってから、RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)というものが業務効率化の手段として注目を集めています。
しかし、その違いや特徴を正しく理解している方は、必ずしも多くないようです。どちらも業務を自動化するという点は似ていますが、それぞれの特徴を理解していないと使いこなすことは難しくなります。
今回はRPAとAIの概要や活用事例、また経理として押さえておくべきポイントについて解説をしていきます。

経理部門におけるRPAの重要性 ~ RPAで働き方改革を推進

RPAとは、あらかじめ設定されたルールに従って人間の代わりに業務を効率化するシステムのことです。特に経理部門は他の部門以上に定型的な業務が多いため、業務を効率化する上でRPAは最適なソリューションとなり得るでしょう。

RPAという言葉が注目されるようになったのは2015年頃からです。
当時、海外では業務の外部委託サービス(BPO:Business Process Outsourcing)が普及しはじめ、業務の外注化が拡大していました。BPO事業者がRPAツールを導入して受託業務の効率化を進めていったことでRPAは広く認知されるようになったのです。日本においても、少子高齢化で労働人口が急激に減少している中にあり、労働生産性は相変わらず先進国中最低と低空飛行していましたので、RPAはこれらの課題を解消する有効なソリューションになり得ると評価され、認知が広がっていったのです。

この経緯からも分かるように、RPA導入によって作業量の削減や労働時間の短縮などが実現可能となります。それにともない従業員の仕事内容も変化し、より高度な判断力を必要とするものや創造的な業務に時間を割けるようになります。上手に活用することで労働時間の削減と生産性の向上を同時に達成することが可能になるわけです。

RPAとAIの違い

RPA

RPAとは、先述の通り、決められたルールに従って、自動で業務を行うロボットシステムのことです。RPAは一定のルールに従うため、定型業務に向いており、販売管理システムへの売上入力や報告書への転記、仕訳作業といった業務を効率化できます。ルールに従って決められた業務を自動で行うため、人が作業するよりもミスなく短時間で処理できます。
RPAの特徴は以下の通りです。

  • 定型化できる作業が得意
  • 独自に判断軸を持たない
  • 比較的リーズナブルな価格で導入・業務自動化できる
  • プログラムを組まなくてもロボットとして機能する

AI

AIは学習・記録・判断など人間の脳ができることをコンピューターが行う技術を指し、それを具現化したシステムの総称です。たとえばAIが搭載されたOCR(光学的文字認識)では領収書などの紙から文字を読み取りデータ化することができ、手入力の作業を効率化できます。読み取り内容に間違いがあった場合でも、人が修正することでその内容を機械学習データとして蓄積し、読み取り精度が向上します。自己学習機能を持つシステムなので、繰り返し学習することで識別能力が発達するのが特長です。
AIの特徴としては以下の通りです。

  • 膨大な学習データを分析し、求められた「解」を短時間で導き出すことが得意
  • 学習するうちに記録していくので自律した判断軸を持つようになる
  • 高価な製品が多く開発段階でも億単位の金額を必要とする場合がある
  • 業務内容を学習する必要があるので取り扱いにはそれなりの能力が求められる

特に最後の取り扱う側の能力については、機械学習やディープラーニングに関する知識だけでなく、AI開発に適したプログラミング言語の利用や数学的知識が問われることもあります。その場合ある程度プログラミング言語を理解していないと扱うのは難しくなります。

さらに、RPAにAIを組み合わせるという両者の特長を活かした先進的な取り組みも始まっています。これにより、RPAでは難しいと言われてきた非定型的な作業や複雑な判断が必要になる作業にも対応することが可能となります。また、コスト面や取り扱う側のスキル面でハードルが高いとされるAI導入も、RPAと組み合わせることで新たなシステム構築なしで可能となり、ローコストかつ短期間での業務オートメーション化も夢ではなくなります。

RPAとAIの活用事例

すでに多くの活用事例があり、それぞれに大きな効果を上げています。以下はほんの一例です。

東京都(資料の整理や文書チェックなど)

東京都ではRPAによる作業自動化の実証実験を行いました。実験の結果、年間438時間の作業縮減効果、縮減率は平均で66.8%となっています。
参考:東京都「RPAによる作業自動化の共同実証実験」実施結果について

つくば市(市民税課業務)

RPAによる業務プロセスの自動化を推進し、大幅な業務時間削減に成功しています。
参考:RPA を活用した定型的で膨大な業務プロセスの自動化 共同研究実績報告書

株式会社ディー・エヌ・エー(タクシーの需要供給予測)

AI(次世代タクシー配車アプリ MOV )により、タクシーの需要供給予測を行い、収益性向上と、人手不足解消を目指す。
参考:株式会社ディー・エヌ・エー AIでタクシーの収益性向上と人手不足解消へ 次世代タクシー配車アプリ「MOV」

イトーヨーカ堂(最適な発注空の予測など)

人手不足や人手不足や人件費の上昇、ネット通販などとの競合に対応すべく、AIの需要予測にもとづく発注をスタートし、生産性の向上につなげる。
参考:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所 平成30年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(AIを用いた次世代の流通に関する調査)調査報告書 P48

横浜F・マリノス(適正価格の算出)

Jリーグで初めて、AI(人工知能)が人気や曜日、天候などを考慮した上でチケットの値段を変動させる「ダイナミックプライシング」を本格導入。観客動員数が、目標の1万人超えとなったほか、売り上げも通常の約1割増しとなった。
参考:FNNプライムオンライン 売り上げ1割増! 横浜マリノスが“価格変動制”チケットを初導入

株式会社キャンドゥ(掛売り管理業務をPaidが代行)

未回収リスクや決済業務の手間なく、掛売り決済に対応することを可能とすべく、「Paid」を導入しました。
参考:PRTIMES 大手100円ショップ「キャンドゥ」が、BtoB後払い決済サービス「Paid」を導入!

NTTコミュニケーションズグループ:RPAとAIの組み合わせ事例

同社が開発したRPAツール「WinActor」やAIチャットボット「COTOHA Virtual Assistant」を組み合わせることで、コンタクトセンターの対応から事務作業までの過程を自動化する仕組みを提供し、サービス業や飲食業などで働く人が事務作業ではなく顧客満足度向上のための業務に注力できる環境づくりを支援しています。
参考:NTT コミュニケーションズ 対話型 AI と RPA を組み合わせた「コンタクトセンターDX ソリューション」を提供

RPAとAI導入による効果と課題:経理がおさえておくべきこと

RPAは設定に間違いがなければミスをしません。人間の作業スピードよりも速く正確であり、24時間365日稼働させることも可能です。
RPAが単純作業を担うようになれば、従業員はもっと別の高度な判断力を必要とする作業や創造的な業務など、新たな業務に時間を割くことができるようになります。従業員の成長を促進することにもなり、モチベーション改善につながるというメリットもあるでしょう。

たとえば、RPAを活用することで、仕訳作業や会計システムへの転記作業など時間を投下して作業しなければならなかった業務を自動化させることができ、業務量を圧縮し働き方を改善できます。また、空いた時間で分析業務や決算業務の短縮化等、より高度で重要度の高い業務に時間をあてることができるようになります。それによって従業員の成長やモチベーションのアップにもつながるでしょう。

このように、作業量の削減、労働時間の短縮、コスト削減、そして従業員の成長とモチベーション向上などが実現すれば、効率化はますます進み、生産性はさらに向上するでしょう。RPAを管理するという新たな業務は発生しますが、管理業務のコスト以上に生産性の向上が期待できるのは間違いありません。

一方で、デメリットもしっかり認識しておく必要があります。
RPAやAIを導入することによって重大な情報流出につながるセキュリティ上のリスクが生じるという問題です。社外秘の情報がAIの機械学習によってデータとして組み込まれたり、企業情報や顧客の個人情報、与信に関する情報などをRPAのシステムに組み込まれたりするケースもあるでしょう。その際、セキュリティがしっかりしていない製品を導入すると重大な情報流出につながりかねません。RPAやAIを導入する際はセキュリティ体制が整った製品を慎重に選ぶ必要があります。
また、RPAやAIはコミュニケーションが必要な作業には向いていません。他の部門に比べて定型的な業務が多い経理部門であっても、他の関係部門に確認しながら行う業務も少なくないでしょう。RPAは人間への確認はできませんので、この部分は決して置き換えられないことを忘れてはいけません。

最後に

RPAとAIは混同されがちですが、システム構築の難度や費用などの面でも大きく異なります。すでにRPAやAIによって経理業務や管理業務、営業業務の自動化ができる時代になっていて今後ますます広範囲に利用されていくのは間違いありません。RPAとAIの違いを理解し、状況に応じて使い分けたり、または組み合わせたりすることで業務の効率化し働き方改革を一気に進めることも可能です。

今回はRPAやAIがいかに業務効率化に役立つかについて解説しました。こうした業務効率化の仕組みを社内に取り入れ、生産性を引き上げていくためにも、経理業務の専門性を高めるだけでなく、IT知識の収集も並行して行うことが重要でしょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

著 者 佐藤 義規

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Fortuneトップ100に入る米欧4社でのマネジメント経験と、IT ベンチャーでの起業経験を活かし、ビジネスコンサルタントとして活躍。国内外の事業家支援や企業向けコンサル、起業家や経営者向けセミナーなどを数多く実施。専門は、業績改善や業績アップ。また、心理カウンセラーの認定を持ち、経営幹部のメンタルサポートや社員のマインド改善セミナーなども行っている。