なにから教えればいい?新人経理の教育方法

経理部門に配属された新人を、どのように教育していくのがいいのでしょうか。
経理といっても会社の規模や組織により、求められるものは異なります。規模が大きい会社ほど業務は細分化され、深く狭い専門的な仕事を任され、小規模な会社の場合は浅く広く仕事をしなければなりません。小売業と製造業といった業種によっても処理方法が異なります。経理の代表的な仕事である伝票入力も、システムの自動処理で行う会社もありますし、CSVなどのデータを一括で取り込んで処理を行う会社もあります。
つまり会社によって必要となる教育方法は異なります。
今回はどのような会社の経理でもおさえておきたい内容をまとめてみました。

流れとしては

  1. 会社の全体像を教える
  2. 経理の全体像を教える
  3. 任せる仕事を教える

となっています。

 

会社の「お金」や「情報」の流れを教える

事業を営むからには、規模にかかわらず「お金」・「情報」・「人」・「もの」が動きます。
これらが動くことにより「売上」や「費用」が発生し、「資産」や「負債」の増減が生じます。
これらの動きを「取引」といい、これらを帳簿に記録して管理することが経理の仕事です。
そのためには、会社においてどのような時に「取引」が生じるのかを理解しておくことが大切です。

売上の計上基準を例に考えてみます。
小売業、卸売業、建設業、製造業、サービス業、派遣業など業種によって売上の計上基準は異なります。商品販売をしている会社の場合、売上と認識するのは、原則、商品が取引相手に引き渡された時点です。しかし、引き渡しの時点をいつとするかは、「出荷基準」「納品基準」「検収基準」と基準がいくつもあります。会社がどの基準でどのように処理をしているかを理解させましょう。仕入れやその他諸経費に関しても同様です。

 

書類や証憑について教える

業務を行う上で書類や証憑のやりとりが発生します。外部の会社とやりとりする書類としては、見積書・注文書・注文請書・検収書・納品書・請求書・領収書などがあります。これらの書類の目的は、「契約」や「取引」を証明するためです。各業務で「どの時点」で「どの書類」のやりとりがあるのかを教えましょう。

また独自の書類を利用している会社もあるでしょう。それらの書類はどういう意味があって、どの業務で必要となるものなのかを教えましょう。私の会社では各部門で発生する経費の請求書は、各部門長の確認を得て支払処理を行います。その際に、部門長が確認した経費の請求書の束に、「支払依頼書」という頭紙をつけて提出してもらいます。これは、確認した請求書の業者名と金額がリスト表示されている書類です。請求書の支払合計金額を確認するとともに、経理と各部門の間で請求書の授受がきちんとなされたという記録のために利用しています。

経理は「取引」を帳簿に記録して管理するのが仕事と書きました。
「取引」が発生する場合、必ず書類や証憑があり、それに基づいて記録しますので、業務の流れと合わせて理解させることが望ましいです。

 

交通費・経費精算システム「楽楽精算」 交通費・経費精算システム「楽楽精算」

 

経理規定を一読させる

経理業務の大枠を一通り理解するのに役立ちます。
マニュアルについて後述していますが、マニュアルは細かい処理方法を説明したものであることに対して、規定は経理処理のルールをまとめたものです。処理方法の判断に迷った際に、上役に判断を仰ぎますが、規定ではどう書かれているのか確認する習慣をつけさせることは大事です。

 

経理のスケジュールを教える

経理だけではありませんが、はじめての仕事を担当したときは、仕事の優先順位がつかめません。
またいつまでにこの仕事を終わらせればよいのかわからないものです。そこで「毎日の仕事」「毎月の仕事」「四半期の仕事」「年1回の仕事」と経理として行う仕事のスケジュールを大まかに教えましょう。

 

ファイリングのルールを教える

経理には各所からさまざまな書類が届きます。問い合わせがあったときに、すぐに答えられなければなりません。そのためルールに基づいてファイリングされていなければなりません。どのような業務の流れで経理に届き、どのような処理を経て、どのようにファイリングをするのかを教えましょう。

 

マニュアルに基づいて処理させる

仕事の属人化は企業によくあることです。新人の加入は属人化している仕事を標準化する良いきっかけになります。マニュアルがあるならマニュアル通りに処理をさせましょう。ない場合はそれまでに作成しましょう。マニュアルを読んで処理ができない場合、マニュアルに不足があると考えて修正します。新人に業務を任せると同時に、言い方は悪いですが新人を利用して仕事を標準化させるマニュアルを整備しましょう。

 

数字の確認方法を教える

入力作業を終えた後、必ず入力したものが合っているか確認をする習慣をつけさせましょう。
書類の数字を入力したのであれば、書類と一致しているか確認。データを取り込んで入力したのであれば、データの合計金額と取り込まれた合計金額が一致しているかを確認。どのような確認を行うかは、処理内容によって異なりますが、必ず何かしらの確認をするようにさせましょう。

 

自分の仕事の意味を考える習慣をつけさせる

入社当初は、会計ソフトや業務システムへの入力が主な業務になると思います。ただ入力させるのではなく、それらの数字がどのように資料に落とし込まれていくのかを考えて仕事をするようにさせましょう。

 

簿記の勉強をさせる

経理であるからには「簿記」の理解は必須です。
「簿記」を理解するなら資格取得の勉強が効率的です。4月入社であれば6月の試験に間に合いますので、その試験で3級合格を目標にして勉強をさせましょう。

 

情報に興味を持つこと

経理にはさまざまな情報が書類を通じて集まりますが、重要な情報は書類だけで入ってくるわけではありません。雑談などで出てくる話でも重要な情報はあります。未確定の情報でも、それが実現した場合にどのような影響があるのかを想定しておく必要があります。この能力は経験によって身に付く部分が多いですが、自分に関係ない話と思わずに興味を持つようにさせておくとよいでしょう。

 

まとめ

当たり前ですが、経理だからといって経理だけの仕事を理解していればいいわけではありません
むしろ経理はどの業務についてもある程度理解していなければなりません。
そのためにも、経理の立場から全体を見るだけでなく、会社全体の中でどのように経理へ情報が集まってくるのかを意識させることが大切です。

 

「経理プラス」メルマガでは、定期的に記事のランキングやおすすめ情報などをお届けしています。読み逃しがないよう是非ご登録ください!

「経理プラス」メルマガ登録は・・・ こちらから

 

WEB帳票発行システム「楽楽明細」

● 著者

小栗 勇人

小栗 勇人

1980年生まれ。上場企業と上場企業子会社で経理を10年経験。ExcelやAccessの活用、クラウドサービスの導入、社内基幹システムの構築など、経理業務だけでなく、会社全体を効率化させることを日々実践中。運営ブログ「経理と事務の効率化」をきっかけにExcelの本『経理の仕事がサクサク進むExcel超活用術』を出版。

経理と事務の効率化