設備投資を行う上で経理担当が知っておきたい3つのポイント

設備投資を行う上で経理担当が知っておきたい3つのポイント

設備投資は一般的に大きな投資である場合が多く、会社の経営戦略に関わってくることがあります。しかし、設備投資を行う時に経理担当者がやるべきことを聞かれても、経験者でないとピンときませんよね?

実際は、設備投資によって生まれる収益から、材料費や減価償却費、支払利息などの増加する経費を長期間にわたってシミュレーションし、設備投資計画を作り、投資の可否を意思決定することが必要となります。

しかし、口で言うのは簡単でも、いざ担当者になってから慌てて勉強を始めても後の祭りです。そこで今回は、経理担当者向けに、設備投資に関して知っておきたい3つのポイントを簡単に解説していきたいと思います。実は、設備投資を行う上で経理担当者が知っておくといい情報があるのです。では、ご覧ください。

設備投資の資金計画は大丈夫?

設備投資において重要な1つ目のポイントは、「資金計画」です。言うまでもなく、設備投資は多額の投資であるため、資金が必要です。なので当然、設備投資を計画するにあたり、資金計画が重要になってきます。つまり、設備投資を自己資金で賄うか、金融機関からの借り入れで行うかの検討が必要です。

仮に金融機関からの借り入れを行う場合、自己資金のように一時的な資金の減少はないものの、設備投資から回収した資金から融資を返済していく必要があり、設備投資に失敗した際には、融資の返済のみが残ってしまうことになります。金融機関からの借り入れで行う場合、どの金融機関から借り入れを行うか、金利水準、返済期間、担保の必要性など確認しましょう。

資金計画を綿密に練ることは、設備投資を成功に導くポイントでもあります。

活用したい設備投資促進税制

設備投資において重要な2つ目のポイントは、「中小企業投資促進税制」です。

2017年3月末まで施行されていた「生産性向上設備投資促進税制」が終了し、生産性向上やDX(デジタルトランスフォーメーション)などへの設備投資に対して優遇される「中小企業投資促進税制措置」が開始されています。この制度は、国税に対して30%の特別償却または7%の税額控除が受けられるものです。

また、上乗せ措置として即時償却または税額控除10%の「中小企業経営強化税制」もあります。非常に大きな税務上のメリットがあるので、是非有効活用したいものですね。

なお、制度を活用するためには、購入、稼働の前に申請が必要な場合など要件が定められていますので、事前に検討することをおススメします。

設備投資には補助金制度もある

設備投資において重要な3つ目のポイントは、「補助金制度」です。経済活性化の一環として、国や地方自治体が設備投資のための補助金を用意しているケースも増えています。

たとえば、中小企業庁が実施しているものづくり補助金であれば、グローバル展開型で設備投資額の上限補助率の3分の2、上限額3,000万円の補助金が用意されています(2021年現在)。 このような補助金があると、設備投資負担の軽減が図れることになります。とはいえ、募集期間や申込み要件、事業計画での判断などがあるため、会社の設備投資計画に該当するか検討する必要があります。いずれにしても、補助金を活用することができれば、設備投資計画も余裕をもって進むことができるため、会社にマッチする補助金があるか、検討してみましょう。

最後に

「設備投資は自分とは関係ないこと」そう思っていたら、実際に実行となった場合に初動が遅くなります。そして詳細な検討ができないまま設備投資が決定する、などのリスクもあります。すこしでも可能性がある方は、設備投資について積極的に勉強しておくことをおススメします。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 公認会計士 椿 祐輔

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椿公認会計士事務所 代表 公認会計士・税理士。 大手監査法人、会計事務所等を経て2012年椿公認会計士事務所(東京都渋谷区)開業。医療法人等などへの会計監査、富裕層に対する相続、事業承継業務などの経験を活かし、主に開業医やベンチャー企業の会計顧問などに従事。現在、開業歯科医院向けクラウド会計活用サービスハイシアを展開。主な著書に「50歳になるあなたが親と相談するとき最初に読む相続の本」(中央経済社)、「サラリーマンのために公認会計士・税理士が書いたお金の取説」(サンライズ)など。

椿公認会計士事務所