法人が持つ社用車の会計上のメリット・デメリット

法人が持つ社用車の会計上のメリット・デメリット

社用車には会計上どのような特性があるのでしょうか?
法人が社用車を持つ場合、購入とリースの2パターンがあります。また、新車を買う場合と、中古車でも会計処理は異なります。社用車の保有において、どのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。

新車/中古車を買う場合のメリット、デメリット

新車を購入する場合は、6年で減価償却を行います。
つまり、全額が経費として会計処理できるのは、6年後になります。この6年という期間は、法定耐用年数と呼ばれ、このぐらいの期間なら使えるだろうという国が定めた耐用年数です。これに対し中古車の場合は、耐用年数の算定法には下記のように特例が設けられています。

  1. 法定耐用年数の全部を経過した中古車の場合
    その法定耐用年数の20%に相当する年数となります。
  2. 法定耐用年数の一部を経過した資産の場合、
    その法定耐用年数から経過した年数を差し引きした年数に、経過年数の20%に相当する年数を加えた年数となります。

ただし、これらの計算の結果、1年未満の端数がある場合は切り捨て、その年数が2年未満の場合は2年とします。またこの計算は月数で算定し、一番最後に年数に戻します。購入年度の途中で購入していたら、購入日から決算日までの月分しか経費になりませんので注意が必要です。決算間近に購入してしまった場合は、節税効果は薄いですので気をつけましょう。

利益が残りそうな年は、早めの節税対策としての中古車購入をおすすめします。そして、中古車を購入する場合は、4年落ちだと節税効果は高くなります。

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リースのメリット・デメリット

カーリースを利用する場合のメリット・デメリットも色々あります。

まず、リースの場合は、資金を温存できます。車を購入するわけではないので、車両価格や初期登録費などでまとまった現金が必要なのが、浮かせることが可能です。浮いたお金を人材採用や研究開発などに投資することで、売上の増加が見込めます。

会計処理の帳簿上は、固定資産として計上する必要がありますので、購入の場合は現金の減少と借入金の増加など財務比率の悪化を招くことになります。ですが、リースを利用する場合、こういった状態を避けることができ、会計処理上綺麗な帳簿を維持することができ健全な財務体質とみなされて対外的な信用力の強化につながります。

また、会計処理上は、税金・保険・メンテナンス費なども全額経費扱いとできますので、節税効果は高いです。また、リース料金が毎月一定のため、車にかかるコストが一定になり、キャッシュフローの見通しが立てやすくなります。つまり事業計画や予算が立てやすくなるのです。

そして、最も大きなことには、税金や保険がリース会社負担のため、支払いの義務がないことです。これによって事務費なども削減できます。

ですが、デメリットもあります。

途中解約ができないため、やむを得ない場合は多額の中途解約金が必要となることです。また、盗難や事故にあった際のリスクが大きく、車の改造にも支障をきたします。リース終了時に、残価が当初設定残価に満たない場合は、差額を要求されることがあります。リース会社の利益が乗っているので、購入の方がお得なのはいうまでもありません。また走行距離が想定を超過すると、追加費用が発生するなど、さまざまなデメリットがあります。会計上のデメリットはそれほどないのですが、リースを使う際には、こうした条件とのトレードオフを良く見極めて、借りるか借りないか決めることが大切です。

メリット・デメリットを見極めて

いかがでしたでしょうか?
新車を買う場合、中古車を買う場合、リースで済ませる場合など、さまざまな条件が社用車にはあります。社用車の金額、走行距離、税金などを踏まえた上で、社用車の選定を行うといいでしょう。また、これらのメリット・デメリットを良く注視して、会計上の良い点と悪い点を見極めた上で、購入かリースか、新車か中古車かを決定してください。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。