決算修正について!前期損益修正損は、利益余剰金を使って今期で修正しよう

決算修正について!前期損益修正損は、利益余剰金を使って今期で修正しよう

株主総会で決定した前年度の決算に、誤りが見つかった場合、どうするべきでしょうか。もう覆せませんので、今期で修正しなくてはなりません。その修正を行う決算の処理が、前期損益修正損です。そして、前期損益修正損は、もう大企業では使えなくなっていますので、利益剰余金で処理することが大切になってきます。中小企業では、まだ使えるはずですが、前期損益修正損はなるべく使わないようにしましょう。前期の決算に誤りが見つかった場合は、当期の決算書の中で損益計算書の修正をする必要があります。

前期の決算のミスが発覚した場合

前期の決算でミスが発覚した場合、何ができる?

過年度の決算にミスが発覚した場合、株主総会で決定された決算を過年度に遡って修正することはできません。ですので、今期の決算で修正する必要が生まれます。そんなときには、これまでは、前期損益修正損勘定を使っていました。
ですが、企業会計基準24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」というものがあります。それによって、過年度の修正は、前期損益修正損を使って当期に反映させることができなくなっています。ですので、特別損失として、別に計上する必要があります。

前期の決算ミスを修正する方法

前期のミスを修正する場合は、どうしたらいいでしょうか。これまでは、たとえば現金が帳簿よりも1000円少なかった場合、下記のように仕訳します。
これまでは

 前期損益修正損/現金 1000

と書いていたものを、

 利益剰余金/現金 1000

のように仕訳します。これで、決算書上は、当期の利益と、利益剰余金の区別が付きますので、ぱっと見て特別損失だと理解することができます。

前期のミスが利益剰余金に及ぼす影響

前期損益修正損と利益剰余金との関わり

前期の修正が、当期の利益剰余金と関わってくるのですから、仕訳の勘定科目を変える必要があります。中小企業には、「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」や「中小企業の会計に関する基本要領(中小要領)」がありますので、まだこの前期損益修正損は使っても良いようです。大企業のように強制はされていません。

決算書に与える影響

上記の例では、現金が少なかった場合です。たとえば売掛金が多かったり少なかったり、買掛金が多かったり少なかったり、棚卸資産の評価修正損があったりします。そういった時も、上記の仕訳を応用して、当期の決算書に適用してください。これによって、当期の決算書に影響がでないように、利益剰余金で仕訳することができるようになります。当期の損失に属ないため、損益計算書上では、当期の経常損益から除外する必要があります。そのため、特別損失として計上するのです。

過年度損益修正損が毎年出るとどうなるのか

前期のミスが毎年出るとこうなる

この科目が、毎年毎年出てくると、いい加減な経理をしていると思われます。毎年経理にミスが発覚するわけですから、それは事実ではないでしょうか。税務署の会計監査の対象にもなりやすくなります。ですので、できる限り、過年度損益修正損は出さないことが懸命です。ですが、出してしまったものは仕方ないので、利益剰余金を使って、利益から除外して、特別損失とします。

過年度損益修正損は、出さないに越したことはない

過年度損益修正損は、出さないに越したことはないでしょう。ですが、経理の過ちを早期に発見し、当期で特別損失として処理することは、とても大切なことです。経理をごまかしたりしないためにも、重要な勘定科目です。過年度の損失が発生した場合は、この前期損益修正損や利益剰余金などの勘定科目を使ってください。

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