平成28年度の税制改正で経理担当者が知るべき5つの要点

平成28年度の税制改正で経理担当者が知るべき5つの要点

平成28年度の税制改正の要点は、すでに理解していますか?

経理担当者であれば、最低限の知識は得ていることと思います。

しかし、税制改正について詳しく知りたいけど、時間がなくて情報収集する時間がないといった方も中にはいるのではないでしょうか?

すこしだけ補足すると、たとえば法人税については、法人実効税率の20%台への引下げのみでなく、以下のような課税ベースの拡大措置が施されています。

  • 減価償却制度の見直し
  • 欠損金の繰越控除の見直し

ちなみに、廃止が見込まれていた「交際費の損金不算入制度」については、2年適用期限が延長されましたが、一方で配偶者控除など、社会全体への影響が大きい個人所得税制の見直しは、先送りされました。

今回は、平成28年度の税制改正項目のうち、特に経理担当者が知っておくべき5つの要点に絞って解説します。時間がないあなたにとって、必見の内容です!

法人税率の引き下げ

平成28年度の税制改正、1つ目の要点は「法人税率の引き下げ」です。

今回の法人課税に関する最大の改正だと言えます。

これは、企業の収益性・競争力を高め、前向きな設備投資や賃上げに積極的に取り組んでいくよう促すための改正です。

法人税の税率については次のとおり段階的に引き下げられます。

  • 平成27年4月1日以後に開始する事業年度の法人税率  23.9%
  • 平成28年4月1日以後に開始する事業年度から法人税率 23.4%
  • 平成30年4月1日以後に開始する事業年度から法人税率 23.2%

※中小法人の所得 800 万円以下の部分については、軽減措置の特例廃止により、29 年度より引上げられる予定です。

結果、法人実効税率は28年度に29.97%、30年度に29.74%と、目標の20%台となります。

なお税効果会計を適用している場合、法人税率引下げにより企業の税負担は軽減されますが、会計上の決算については、繰延税金資産・繰延税金負債の修正差額が発生するため、留意する必要があります。

減価償却制度の見直し

平成28年度の税制改正、2つ目の要点は「減価償却制度の見直し」です。

法人実効税率引下げによる財源確保の一環として、平成28年4月1日以後に取得をする建物と一体的に整備される建物附属設備や、建物同様に長期安定的に使用される構築物について、定率法が廃止され、償却方法が定額法に一本化されます。

この改正は所得税も同様です。

定率法に比べて定額法は取得初期の償却額が少なくなるため、その分初期の税負担が増え、設備投資計画へ影響を及ぼすため注意が必要になります。

欠損金の繰越控除の見直し

平成28年度の税制改正、3つ目の要点は、「欠損金の繰越控除の見直し」です。

法人税の欠損金の繰越控除制度については、青色申告書提出事業年度の欠損金、青色申告書未提出事業年度の災害損失金、連結欠損金の繰越控除制度の控除限度額の段階的な引き下げ措置を下記に見直しました。

大法人の控除限度額(※中小法人等は現行と同様に対象外)
平成28年度 所得金額×60% → 平成29年度 所得金額×55% → 平成30年度以降 所得金額×50%

また、27年度改正で全法人について繰越期間が10年(現行:9年)に延長されましたが、平成30年4月1日以後(27年度改正では 平成29年4月1日以後)に開始する事業年度において生じる欠損金額に、開始時期が1年延期されました。

なお、帳簿保存期間、欠損金に係る更正期間、更正の請求期間も同様となります。

納税のクレジットカード納付の創設

平成28年度の税制改正、4つ目の要点は「納税のクレジットカード納付の創設」です。

平成29年1月4日以後に納付する国税について、納付手段の多様化を図る観点から、納税者がインターネットを利用したクレジットカード決済による納付が可能となります。

ちなみに現在は、納付の方法として以下があります。

  1. 税務署、金融機関の窓口で納付する方法
  2. 指定した金融機関の預貯金口座から振替納税する方法
  3. ダイレクト納付又はインターネットバンキング等を利用して電子納税する方法
  4. 延納・物納(相続税・贈与税)

今回の改正により納付手段の選択肢が広がるとともに、金融機関などへ出向く手間も省け、利便性が向上されます。

なお、納税証明書の発行は、クレジットカード会社による日本銀行(歳入代理店)への納付が完了してからでないと発行できないと想定されるため、日数を要することが考えられます。

消費税増税と軽減税率

平成28年度の税制改正、5つ目の要点は「消費税増税と軽減税率」です。

本来は、平成29年4月1日から消費税率を8%から10%へ引き上げ、同時に消費税の軽減税率制度を導入する予定でした。

しかし平成28年5月31日に、消費増税を平成31年10月まで2年半延期することが表明されました。(消費税は不確定な部分が多いので、今後の推移を注視する必要があります。)

最後に

平成28年度の税制改正の要点を振り返ると、以下の通りです。

  1. 法人税率の引き下げ
  2. 減価償却制度の見直し
  3. 欠損金の繰越控除の見直し
  4. 納税のクレジットカード納付の創設
  5. 消費税増税と軽減税率

まずは5つの要点を理解して、自身の業務への影響を検討してみてはいかがでしょうか?

また、今回取り上げた以外にもいくつかの改正が行われています。早い段階で自社への影響を見極め、決算や今後の方針策定に活かしていきましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 公認会計士 椿 祐輔

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椿公認会計士事務所 代表 公認会計士・税理士。 大手監査法人、会計事務所等を経て2012年椿公認会計士事務所(東京都渋谷区)開業。医療法人等などへの会計監査、富裕層に対する相続、事業承継業務などの経験を活かし、主に開業医やベンチャー企業の会計顧問などに従事。現在、開業歯科医院向けクラウド会計活用サービスハイシアを展開。主な著書に「50歳になるあなたが親と相談するとき最初に読む相続の本」(中央経済社)、「サラリーマンのために公認会計士・税理士が書いたお金の取説」(サンライズ)など。

椿公認会計士事務所